2025 オーストラリア学生ビザの混乱(その1)現状

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コロナあけの国境開放→入国者激増に対応するため、ここ数年のオーストラリアの学生ビザは非常に厳しい状況に陥っています。「厳しい」というか、もうメチャクチャな感じ。

以下現状の紹介と、その考察、さらに個々人としてはどう対応するかを何回かにわけて書きます。

その1は現状紹介です。わりと要領よく書かれている新聞記事を2本紹介します。

その前に、かいつまんで「何がどうして、どうなってんの?」を僕が要約しておきます。

まずは下に紹介した新聞記事にあったグラフ。現状が一目瞭然にわかると思います。オーストラリアの留学生数の推移です。

グラフの赤線と黒線は、留学生数の出入国者数と純増減数とを示したものですが、大体似たようなものです。コロナ禍による国境閉鎖により2020年から留学生数は激減しますが、国境開放の2022年から爆発的に上昇していることがわかります。2年分の蓄積もあるので、こうなるのは見えていたとも言えるのですが、それにしても多い。結果、前にも書いたように(22年12月に書いた「オーストラリア都市部の賃貸クライシス」)オーストラリア社会では住まいが急激に不足し、家賃の上昇やシェア先の枯渇、職の奪い合いなどに直面しました。

これはアカンということで、なんとかコロナ前の水準に戻そうと政府が頑張っているということです。コロナ前の水準って、要するに現状数を半分にするということです。今いる留学生を強制退去させることは出来ない(完全に合法だし)ので、新規発行の学生ビザを思いっきり絞るということになります。それしか出来ない。

一番簡単な方策は年間◯人までと数で上限設定をすることです。永住権などオーストラリアの他のビザは年間予定数が決まってるのだけど、学生ビザは上限数の設定がなかった。政府は上限数を設定しようとしたんだけど、これは野党の反対によって潰された。そこで代替策として、学生ビザの審査を「ゆっくり」やる、チンタラやることで結果的に数を減らそうとした。お役所がよくやる手口です。

その際に、何を先にやって何を後回しにするかという実務的な話になり、「優先順位」というものが出てくる。
政府が排除したいのは「最終目的が勉強ではなく、現地就労や永住権ゲットである人たち」で、そういう人が多い国単位で優先順位をつけようとした。しかしこれは露骨に差別的なので、今度はそういう「不純な」学生が多い教育機関をランク付けして、優先劣後を決めようとした。
そうなると教育機関(大学など)ではランクをあげようと頑張るので(ランクが低いと学生に選ばれない=この大学に申し込んでもビザが取れなさそうと思われる)、問題ありそうな学生の入学申請を許可しないということになります。これによって問題が再生産され、再拡大する。インド周辺系の学生ビザ却下率は50%とすごいことになってますが、ランク下位の大学によっては「インド人全面お断り」になって、100%ダメということになる。50%が100%ダメに再拡大されてしまう。政策ってそういうもんです。だから難しいんだけど。学生数が減れば職員もリストラされるし、現にされている。

大学ですらそうなのですから、「不純」さそのものを売りにしてるような、いわゆるビザ取り学校などの職業系学校(Vocational)は悲惨なことになります。

下の図は学生ビザの承認(成功)率ですが、大学院などはほとんど従前と変わらない成功率だけど、あとは大体下がり、職業系学校の壊滅的な減少を食らっているのがわかると思います。

まずはここまでです。現状を詳細に報告している新聞記事を2つ紹介します。

新聞記事その1
まず、政策を客観的に描写したものとしてここを。The Conversationという准大手なところの解説記事。クリックすると本来の記事のURLに飛びます。

しかし、新聞記事っていつ削除されるかわからないので、本文と機械翻訳したものをコピペしておきます。翻訳も多少僕が手直ししましたし、また重要部分は赤字に変えてます。

もっと読んでみる
International student numbers in Australia will be controlled by a new informal cap. Here’s how it will work
オーストラリアの留学生数は、新たな非公式上限によって管理される。その仕組みは以下の通りである。

Published: December 19, 2024 6.04pm AEDT
2024年12月19日

The federal government has found a new way to manage the number of international students in Australia.
It has instructed immigration officials to prioritise student visa applications for all institutions, until they near the individual caps the government proposed for them earlier this year.
This will work as an informal cap, after the Coalition and Greens blocked Labor’s attempt to pass an international student caps bill in November. How will this work and what does the change mean for international students, universities, private colleges and TAFEs?

連邦政府は、オーストラリアの留学生数をコントロールする新たな方法を見つけた。
政府が今年初めに提案した各教育機関の学生ビザ上限数に近づくまで、すべての教育機関の学生ビザ申請を優先順位を考慮して行うよう移民局に指示した。これは、11月に労働党が留学生数上限法案を可決しようとしたのを自由党連合とグリーンズが阻止したため、非公式の上限として機能することになる。この変更は、留学生、大学、私立カレッジ、TAFEにとってどのような意味を持つのだろうか?

What is being proposed?
何が提案されているのか?

The government has made the change via a ministerial direction. This is an official instruction from a minister to a public body or organisation. For immigration, this means the minister can instruct decision makers on what to consider when processing on a visa application.
政府は、大臣指示によって変更を行った。
これは、大臣から公的機関や組織に対する公式な指示である。大臣がビザ審査の実務において、どんな要素をどのくらい考慮すべきかを指示するのである

Under this ministerial direction, officials will manage student visa applications using a “prioritisation threshold”. This means officials will prioritise new student visa applications for all higher education and vocational training providers up to 80% of their international student allocations for 2025.

この大臣指示に基づき、当局は「優先順位基準」を用いて学生ビザ申請を管理する。これは、すべての高等教育機関および職業訓練機関に対し、2025年の留学生割り当ての80%まで、新規学生ビザ申請を優先することを意味する。

These allocations were set by the government in August, on the thinking legislation to enable their implementation would be approved by parliament before the end of the year.
This week’s new ministerial direction replaces an unpopular one made in December 2023, which instructed officials to prioritise applications for students wanting to go to “lower risk” institutions. Under the outgoing system – heavily criticised by the university sector – prospective students at regional universities and small providers were more likely to experience delays or have their visa applications refused.

これらの割当は8月に政府によって設定され、その実施を可能にする法案が年内に国会で承認されるだろうと考えられていた。
今週の新しい閣僚指示は、2023年12月に出された不評の指示に代わるもので、「低リスク」の教育機関への進学を希望する学生の申請を優先するよう当局に指示した。大学セクターから強い批判を受けていた従来のシステムでは、地方の大学や小規模な教育機関への入学希望者は、ビザ申請が遅れたり、却下されたりする可能性が高かった。

The government says the new approach will manage international student numbers in a “fairer way”, particularly for regional and outer metropolitan universities and TAFEs.
For the university sector, it also provides some much-needed certainty about their ability to enrol international students. Peak body Universities Australia described it as a “commonsense decision”.

政府は、この新しいアプローチは、特に地方大学や大都市圏外の大学、TAFEにとって、「より公平な方法」で留学生数を管理することになるとしている。また、大学部門にとっては、留学生を入学させる能力について、切望されていた確実性を提供することになる。ピークにあるオーストラリア大学協会(Universities Australia)は、この決定を「常識的な決定」と評している。

The caps are part of a bigger immigration issue
上限はより大きな移民問題の一部である

The Albanese government has been trying to introduce caps on international students because of a big increase in net overseas migration. This is the change in the number of citizens and migrants living in Australia.
アルバネーゼ政権は、海外からの純移民が大幅に増加しているため、留学生に上限を設けようとしている。これはオーストラリアに住む市民と移民の数の変化である。

Net overseas migration increased much more quickly than the Australian government expected after international borders reopened in 2021. A 2023 review of Australia’s immigration regime also found the number of temporary migrants had swollen. International students were a big part of that increase.

コロナ後の2021年に国境が再開された後、移民数はオーストラリア政府の予想をはるかに上回るスピードで増加した。2023年に行われたオーストラリアの移民制度の見直しでも、一時的な移民の数が膨れ上がっていることがわかった。その増加の大きな部分を占めていたのが留学生であった。

To exert greater control over the numbers of international students, during the past year, the government has been introducing a raft of changes.
This includes higher English language requirements for students and doubling visa application fees to $A1,600.
Post-study visas allowing international students to stay in Australia after finishing their course were also reduced.
The proposed international student caps were the most recent part of these changes.

この1年間、政府は留学生の数をより厳しく管理するため、さまざまな変更を導入してきた。これには、学生に対する英語要件の引き上げや、ビザ申請料の2倍の1,600ドルへの引き上げなどが含まれる。また、留学生がコース終了後もオーストラリアに滞在できる卒業生ビザも減少させらされた。留学生数の上限設定は、これらの変更の中で最も最近のものである。

Unlike other parts of the migration program, international student visas have not normally been limited. So the proposed student caps bring international education more in line with other parts of the program.
移民プログラムの他の部分とは異なり、留学生ビザは通常制限されていない。そのため、提案されている学生上限は、留学生教育をプログラムの他の部分とより一致させるものである。

We’re already seeing fewer international students arrive
すでに留学生の数は減少している

Recent data shows net overseas migration is not falling fast enough to meet government targets.
There are, however, signs the various “go slow” approaches are working, at least with international students. The number of international students arriving in Australia is beginning to trend downwards.
It’s important to note the government is not necessarily seeking to cut the overall number of international students studying in Australia. Instead, it wants to limit the rate of growth to pre-pandemic levels.

最近のデータによると、海外からの純移民は政府の目標を達成できるほど急速に減少していない。
しかし、少なくとも留学生に関しては、様々な「ゆっくりとした」アプローチが功を奏している兆候がある。オーストラリアに到着する留学生の数は減少傾向にある。
重要なのは、政府は必ずしもオーストラリアで学ぶ留学生全体の数を減らそうとしているわけではないということだ。むしろ、増加率をパンデミック以前のレベルに抑えたいのである。

The federal government has found a new way to manage the number of international students in Australia.
It has instructed immigration officials to prioritise student visa applications for all institutions, until they near the individual caps the government proposed for them earlier this year.This will work as an informal cap, after the Coalition and Greens blocked Labor’s attempt to pass an international student caps bill in November.
連邦政府は、オーストラリアの留学生数を管理する新たな方法を見つけた。
政府が今年初めに提案した各教育機関の学生ビザ上限数に近づくまで、すべての教育機関の学生ビザ申請を優先するよう移民局職員に指示した。
これは、11月に労働党が留学生数上限法案を可決しようとしたのを連合と緑の党が阻止したため、非公式の上限として機能することになる。

Why does this matter so much?
なぜこれほど重要なのか?

The Australian Bureau of Statistics estimates international education contributes $51 billion to the Australian economy. As part of this, higher education institutions receive almost $16 billion in tuition fees from international students.That means overall international student revenue is rivalling the amount universities receive from the government for domestic students.So the size of the sector, and its growth, makes it one of the biggest issues in tertiary education.

オーストラリア統計局は、国際教育はオーストラリア経済に510億ドル貢献していると推定している。その一部として、高等教育機関は留学生から約160億ドルの授業料を受け取っている。
つまり、留学生全体の収入は、大学が国内学生に対して政府から受け取る金額に匹敵するのだ。
つまり、この分野の規模とその成長は、高等教育における最大の問題の一つとなっている。

Watch out for more changes
さらなる変化に注意

The new ministerial direction suggests the government’s current priority is to gain control over the number of international students, while minimising the impact on the sector.
But ministerial directions that alter processing times have proven to be a blunt instrument when it comes to managing international student visas – as some regional universities discovered this year.
This means a longer-term solution, like legislative changes, may still be needed.
Meanwhile, next year’s federal election, and Labor and the Coaltion’s moves to make migration a key issue, mean Australia’s international education sector faces more uncertainty in 2025.

新大臣の指示は、政府の現在の優先事項が、この分野への影響を最小限に抑えつつ、留学生の数をコントロールすることであることを示唆している。
しかし、留学生ビザの管理に関しては、処理時間を変更する閣僚指示は鈍い手段であることが証明されている。
つまり、法改正のような長期的な解決策が必要なのである。
一方、来年の連邦選挙と、移民問題を重要な争点とする労働党と連合との動きは、オーストラリアの国際教育セクターが2025年にさらなる不確実性に直面することを意味する。

上の記事はわりと一般的、大局的な解説・意見でした。

新聞記事その2
でも、現場での混乱はもっともっと生々しいもので、「聞くも涙」みたいな話も多々あったりします。そのあたりのリアルを解説しているのが次の記事です。
Gardianという新聞の去年の5月段階の記事。

もっと読んでみる

It’s very unfair’: Australia’s visa crackdown is disrupting international students and hitting university finances
非常に不公平だ: オーストラリアのビザ取り締まりは留学生を混乱させ、大学の財政を直撃している

This article is more than 8 months old

Student applications and net arrivals fall as refusal rates reach a record high. The situation is set to worsen if visa fees are hiked in the upcoming budget
拒否率が過去最高を記録し、学生申請数と純入国者数が減少。次期予算でビザ料金が引き上げられれば、状況はさらに悪化する。

It took Rajesh more than 12 months to receive his visa to study in Australia.
But Rajesh – not his real name – considers himself lucky. Two of his friends who also come from India have recently had their PhD offers expire after waiting for visas for more than 10 months.
“It’s frustrating … especially considering PhD students are crucially important,” says Rajesh, who comes from the Indian state of Uttar Pradesh, considered a red flag by universities trying to weed out non-genuine applicants. “They are fully funded and highly skilled individuals who contribute significantly to our academic community.”

ラジェッシュは、オーストラリアで勉強するためのビザを取得するのに12ヶ月以上かかりました。
しかし、ラジェッシュ(本名ではない)は自分を幸運だと思っている。同じくインドから来た彼の友人2人は、10ヶ月以上もビザを待った挙句、博士号取得のオファーが最近失効してしまった。
ラジェッシュはインドのウッタル・プラデシュ州出身で、大学側からは非正規申請者を排除するための赤信号エリアとみなされている。しかし「彼らは十分な資金を持ち、高度な技術を持ち、学術界に多大な貢献をしています」とラジュエッシュは言う。

As part of a bid to halve net migration by 2025, the Australian government is cracking down on non-genuine students who use student visas as a back door for work and permanent residency. The federal government has announced a series of reforms, including tougher visa conditions, stronger English-language tests and rules for education agents who bring overseas students to Australia.
2025年までに純移民を半減させるという目標の一環として、オーストラリア政府は、就労や永住権取得の裏口として学生ビザを利用する非正規学生を取り締まる。連邦政府は、ビザ取得条件の厳格化、英語テストの強化、留学生をオーストラリアに呼び寄せる教育エージェントに対する規制など、一連の改革を発表した。

The latest home affairs data shows the proportion of offshore student visa applications being refused has reached a record high, with as many as one in five students having their visas rejected in the year to March. Visas granted to Indian students fell by 48% between December 2022 and December 2023, with Nepalese visas granted falling 53% and Pakistani visas falling 55% over the same period.
最新の内務省のデータによると、オフショア学生ビザの申請が却下される割合は過去最高を記録し、3月までの1年間で5人に1人の割合でビザが却下された。2022年12月から2023年12月にかけて、インド人学生へのビザ発給は48%減少し、ネパール人ビザは53%、パキスタン人ビザは55%減少した。

The department cites an increase in incomplete applications and fraudulent documentation, contributing to both higher visa refusal rates and longer processing times. The tougher visa conditions have prompted institutions to change their policies, with some even imposing blanket bans on Indian students.
同局は、申請書の不備や書類の不正が増加し、ビザ却下率の上昇と処理時間の長期化につながったとしている。ビザの条件が厳しくなったことで、教育機関も方針を変え、インド人学生を全面的に禁止するところも出てきている

The home affairs minister, Clare O’Neil, says the federal government recognises “change is hard” but migration is “too high” and must be brought back to “sustainable levels”.
“We are working with the sector to help providers adapt, but we must restore integrity to the system to protect the sector’s international reputation,” she says.
But some say the approach is having a financial impact on institutions and disrupting the plans of genuine students who may be turned off studying in Australia altogether.
クレア・オニール内務大臣は、連邦政府は「変化は難しい」と認識しているが、移民数は「高すぎる」ため、「持続可能なレベル」に戻す必要があると述べている。
「我々は、プロバイダーが適応できるようにセクターと協力していますが、このセクターの国際的な評判を守るために、システムの整合性を取り戻さなければなりません」と彼女は言う。
しかし、このアプローチは教育機関に財政的な影響を与え、オーストラリアへの留学を完全に断念する可能性のある本物の学生の計画を混乱させているという声もある。

What’s going on?
何が起こっているのか?

The founder and president of the Pakistani Students Association of Australia, Zeeshan Malik, says many offshore students are experiencing visa refusals, while others are scared to travel back home lest their visas be cancelled on return to Australia.
オーストラリア・パキスタン人学生協会(Pakistani Students Association of Australia)の設立者兼会長であるジーシャン・マリク(Zeeshan Malik)氏によると、多くの留学生がビザの発給を拒否されており、またオーストラリアに帰国した際にビザが取り消されることを恐れて、帰国を躊躇している学生もいるという。

While there have not been any reported cases of students having their visas cancelled on return, Malik says students feel they are being discriminated against based upon their country of origin.
“It’s very unfair,” he says. “Lots of students are struggling with mental health and other issues because of these confusing policies.”
帰国後にビザが取り消されたケースは報告されていないが、マリクによれば、学生たちは出身国によって差別されていると感じているという。「とても不公平です。このような混乱した政策のせいで、多くの学生がメンタルヘルスやその他の問題に苦しんでいます」。

A University of Sydney spokesperson says a “significant number” of students have been forced to defer or withdraw their applications due to visa processing delays, while others have been suspended to fulfil additional requirements.
“This has been very disruptive to highly capable young people from around the world who had paid their visa application fee and chosen to come to Australia for their studies,” the spokesperson says.
“We have moved our last date to apply for semester 2 to try to limit any such impact for future students.”
The University of Melbourne has also “faced challenges” this semester, with a number of students yet to receive their visas for the 2024 intake. A spokesperson says it has provided an extension to allow enrolled international students to start later.

シドニー大学の広報担当者によると、ビザ手続きの遅れのために、「相当数」の学生が申請の延期や取り下げを余儀なくされ、また、追加要件を満たすために一時停止された学生もいるという。
「このことは、ビザ申請料を支払い、オーストラリアに留学することを選んだ世界中の優秀な若者にとって、非常に大きな障害となっています」と広報担当者は言う。
「将来の学生へのこのような影響を抑えるため、セメスター2の最終申請日を早めました」。
メルボルン大学も今学期は「困難に直面して」おり、2024年度入学生用のビザをまだ受け取っていない学生が多数いる。広報担当者によると、在籍する留学生が後期から入学できるよう、延長措置をとったとのことだ。

Central Queensland University has gone even further, writing to education agents confirming it will no longer offer English language programs to students from India or Nepal, or enrolments to applicants over 25 or married, except for research placements.
“With many universities witnessing an increase in student visa refusals, it has been necessary for CQUniversity to proactively reconsider admissions requirements on a regular basis,” a spokesperson says.
“We have a moral obligation to ensure that prospective students have the best opportunity to successfully obtain a student visa.
“Such an outcome is not good for the student, the university, or the reputation of Australia as a global study destination.”

セントラル・クイーンズランド大学(Central Queensland University)は、さらに踏み込んで、インドやネパールからの学生への英語プログラムの提供や、25歳以上または既婚の志願者への入学は、研究実習を除き、今後は行わないことを教育エージェントに書面で確認した。
「多くの大学で学生ビザの発給拒否が増加する中、CQUniversityは定期的に入学条件を見直す必要があります」と広報担当者は言う。
「私たちには、入学希望者が学生ビザを取得するための最良の機会を確保する道義的義務があります。
「このような結果は、学生にとっても、大学にとっても、また世界的な留学先としてのオーストラリアの評判にとっても、良いものではありません」。

Why universities are imposing blanket bans
大学が包括的な禁止を課す理由

Phil Honeywood, the chief executive of the International Education Association of Australia (IEAA), says stigmatising entire nations is a “blunt instrument” that ignores the benefits of diversity.
“We’re supposed to be a welcoming, safe nation,” he says. “It’s a shame sometimes blunt policy instruments go against other government policies.”
オーストラリア国際教育協会(IEAA)の最高責任者であるフィル・ハニーウッド氏は、国全体に汚名を着せることは、多様性の利点を無視した「鈍器」だと言う。
「私たちは歓迎され、安全な国であるべきです。鈍感な政策手段が他の政府の政策に逆行することがあるのは残念なことです」。

Honeywood says universities are imposing restrictive measures on international students in the hope it will improve their risk ratings, which are used by the federal government to reduce student numbers.
The system assesses universities based upon how likely they are to recruit non-genuine students who arrive in Australia primarily to work, not study. Visas are given a risk rating between 1 and 3, and only low-risk universities on level 1 have visa applications processed quickly.
ハニーウッドによれば、大学が留学生に制限的な措置を課しているのは、連邦政府が学生数を減らすために利用するリスク評価の改善を期待してのことだという。
このシステムは、主に就学ではなく就労を目的としてオーストラリアにやってくる非正規学生を採用する可能性がどの程度あるかに基づいて大学を評価する。ビザは1から3の間でリスク評価され、レベル1の低リスクの大学のみがビザ申請を迅速に処理される。

Earlier this month, the list was updated, with nine universities downgraded to a level 2 and two downgraded to a level 3.
According to Honeywood, less than 10% of international student visas are waiting to be approved at low-risk universities while universities at level 2 and 3 are facing extensive delays.
During a webinar hosted by the IEAA at the beginning of the university year, Charles Sturt University’s pro-chancellor, international, Mike Ferguson, said 40% of international students enrolled in his university – which is a level 2 – were still waiting on visa decisions in the first week of the semester.
“Speaking to my colleagues at other universities, I know many others are in similar situations,” he says.
“You’re looking at refusal rates for offshore students in most markets in the region of 50%.”

今月初め、このリストは更新され、9大学がレベル2に、2大学がレベル3に格下げされた。
ハニーウッド氏によると、低リスクの大学では留学生ビザの10%未満が認可待ちであるのに対し、レベル2と3の大学では大幅な遅延に直面しているという。

チャールズ・スタート大学(Charles Sturt University)のマイク・ファーガソン(Mike Ferguson)国際担当プロ・キャンセラーは、IEAA主催のウェビナーで、同大学(レベル2)に在籍する留学生の40%が、学期初めの週にもビザの決定を待っていると述べた。
「他の大学の同僚と話すと、他の多くの大学も同じような状況にあるようです。
ほとんどの市場で、海外からの留学生のビザ却下率は50%前後です」。

Level 3 institution Federation University has faced significant budget pressure since the migration crackdown. It recently announced plans to cut 200 ongoing positions – the equivalent of just over one in 10 staff members.
A spokesperson for the university said the announcement came in response to a 49% decline in international student numbers between 2019 and 2023, which had been exacerbated by “unexpected but necessary changes to international student visa arrangements”.
レベル3の教育機関であるフェデレーション・ユニバーシティは、移民の取り締まり以来、大幅な予算削減に直面している。同大学は最近、現在進行中の200のポジション(職員の10人に1人強に相当)を削減する計画を発表した。
同大学の広報担当者によると、この発表は2019年から2023年にかけて留学生数が49%減少することを受けてのもので、「留学生ビザの取り決めに関する予期せぬ、しかし必要な変更」によって悪化したという。

Similarly, the University of Tasmania – also at level 3 – announced last month it would sell two of its Hobart hotels intended to house international students in anticipation of declining numbers.
Private institutions have also been hit hard. According to English Australia, the national peak body for more than 100 English language colleges for international students, visa grants plummeted by 68% in December 2023 compared with the previous year.
同じくレベル3のタスマニア大学も先月、留学生数の減少を見越して、留学生の宿泊を目的としたホバートのホテル2軒を売却すると発表した。
私立教育機関も大きな打撃を受けている。イングリッシュ・オーストラリア(100以上の留学生向け英語カレッジの全国的なピーク機関)によると、2023年12月のビザ支給額は前年比68%減となった。

What the future holds
今後の見通し

The share of international students is likely to decrease further with an anticipated hike in student visa fees in the May budget, making Australia “well and truly” the most expensive country to apply for a non-refundable visa, according to Honeywood.
Honeywood says international students are facing a “blame game” as the only migration market to Australia that can feasibly be reduced.
ハニーウッド氏によると、5月の予算で学生ビザ料金の値上げが予想されるため、留学生の割合はさらに減少する可能性が高く、オーストラリアは払い戻し不可のビザを申請するのに 「本当に 」最も費用がかかる国になるという。
ハニーウッド氏によると、オーストラリアへの移民市場で唯一減小が可能なのは留学生であるため、留学生は「責任のなすり合い」に直面しているという。

The former immigration department deputy secretary Abul Rizvi agrees. He says while higher visa fees are likely, it will be “poor long-term policy”.
“It will mostly deter high-performing students who have options of going elsewhere,” he says. “Policy must be designed to encourage and reward providers to compete for the best students not just those who can apparently afford to pay.”
元移民省次官のアブル・リズビ氏もこれに同意する。彼は、ビザ料金の値上げはあり得るが、「長期的な政策としては不十分」だと言う。「他の国へ行くという選択肢を持つ成績優秀な学生の進路を変えさせることになるでしょう。政策というのは、お金を払う余裕のある学生だけでなく、優秀な学生を獲得するために競争している教育機関を奨励し、それに報いるようなものでなければなりません」。

Rizvi says the cautious approach being taken by providers, coupled with the ramping up of refusal rates for offshore student applications, led to a big fall in student visa applications in February and a fall in net student arrivals in March.
リズヴィ氏によると、プロバイダーが慎重なアプローチをとっていることと、オフショア学生申請の拒否率が上昇していることが相まって、2月の学生ビザ申請が大幅に減少し、3月の学生純入国者数が減少した。

“That trend will likely continue over the next few months,” he says. “But while the flow of students is slowing, the stock is still rising and is now well over a record 700,000,” he says, referring to the number of international students in Australia.
“The industry is built on continuous growth. Under the risk rating system, lower tier providers are particularly vulnerable. They are the ones complaining the most.”

「この傾向は今後数ヶ月続くでしょう。「しかし、学生の流れが減速しているとはいえ、ストックは依然として増加しており、現在では過去最高の70万人をはるかに超えています。
「この業界は継続的な成長の上に成り立っています。リスク格付け制度では、下位のプロバイダーは特に脆弱です。彼らが最も不満を抱いているのです」。

To Rajesh, the decline in quality lies squarely with universities and the government.
“Students are not responsible for that,” he says. “Blaming everything on students and their respective countries is not solving the problem.”
ラジェッシュにとって、質の低下は大学や政府に責任がある。
「学生に責任はありません。すべてを学生やそれぞれの国のせいにしても、問題は解決しない」。

This article was amended on 6 May 2024 because Mike Ferguson is Charles Sturt University’s pro-chancellor, international, not vice-chancellor of the university as an earlier version said.
この記事は2024年5月6日に修正されました。以前のバージョンでは、マイク・ファーガソンはチャールズ・スタート大学の副学長ではなく、国際担当のプロ・キャンセラーでした。

以下、この問題を深堀り考察してみます。そして、じゃあ個々人としてはどうしたらいいの?を書いてみたいと思います。

 

(冒頭の画像は、Google画像検索で、”Australia Student Visa problem”で検索して出てきた新聞記事などの画像)

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