学生ビザ現状・考察・対策の「その2」は考察編です。
情況証拠~語学学校閉鎖、シェア市場の多少の緩和
その1で述べた現状に加えて、僕個人が実感したことを書き添えます。
ひとつは、こういった学生ビザの締め付けによって、教育機関が厳しくなっている。コロナでいじめられ、結構倒産したんだけど、それが終わって、大きな春がやってきたー!と思ったら、すぐに厳冬になってしまったということで、翻弄されまくりです。
シドニーではihという名門英語学校が閉鎖されました。既存の英語学校でも結構学生数が減ってきている傾向があります。話を聞くと、インド系がどうというよりも(インドは英語が公用語の一つでもあるので、英語学校に来る人は比較的少ない)むしろコロンビアなどの南米系が減ったのがきついらしいです。さきの記事では「インドいじめ」みたいな書かれ方をしてますが、「就職/永住目的で学生ビザを取る」のは南米系も多いです。特にワーホリ制度がない国はそうです。
あと留学生が減ってきてるのは、直近(今も)シェア探しの手伝いでリストアップしてて感じます。一番きつい時期は、Parramattaより遠く(Blacktown方面)にいかないと手頃なシェアがないくらいだったんだけど、今週はParramattaよりも近いエリア、さらに近くStrathfieldまでの距離で同心円を描くエリアで大体間に合ってました。随分楽になったなという印象です。お値段も下がってきたように思いますよ。
ということは、仕事探しも多少は楽になってるのかも知れないです。(まあワーホリビザは影響を受けないし、ジャパレスに関してはあんま変わらんかもですけど)。
以上が、まずアネクドータル・エビデンス(anecdotal evidence=情況証拠)にとして。
もっと大きな巨視的視点
~20億人の前の広大な空き地
とりあえず地図をみてください
インドとオーストラリアですが、隣国といいつつ結構距離が離れてます。そして大きさです。インドの方がオーストラリアよりも全然小さいのですよ。インド329 万 平方キロ、オーストラリアは774万平方キロです。オーストラリアのほうが倍以上大きい(2.35倍)。
人口はどうかというと、2023年統計で、インド人口14.29億人、オーストラリアは2664万人。桁が違いすぎてすぐにはわからないけど、53.6倍違う。インドの14.29億の、コンマ以下の0.29億人(2900万人)だけでオーストラリアよりも多いのですよ。
面積でインドの2.3倍以上あるオーストラリアが、人口ではインドの50分の1以下。もしオーストラリアがインド並の密度で人口があるなら、オーストラリアの人口は今の百倍以上、26億人くらいになってもいい計算です。
これに加えてインドだけではなく、インド亜大陸周辺のパキスタン2.4億、バングラデシュ1.7億、スリランカ0.22億、ネパール0.3億、合算すれば19億人。さらにインドネシア2.7億人、マレーシア0.34億を含めれば22億人以上。中国や南米を含めなくてもこれだけいます。
そしてグローバルサウスは今どんどん豊かになってる過程にあります。留学なんか夢のまた夢だった階層も、だんだん射程距離に入ってくる。もし彼らのうち100人に一人がオーストラリアいいよねって思って来たら、それだけで2200万人です。オーストラリアの現在の人口よりちょい少ないくらい。千人に一人がきたとしても220万人です。それを考えると学生ビザ数十万人なんて些細な数です。
はっきり言って、周辺の国から見たら、オーストラリアは「誰も住んでいない」に等しい閑散とした「広大な空き地」みたいなものです。
入国許可のビザは、水道の蛇口に例えられますけど、こうなるともうダムみたいなもので、必死に防いでないと、決壊したら最後ドドドと木っ端微塵に押し流されかねない。当局としてもその危機感はあるのでしょう。
そしてBRICSの世の中になってるから、この趨勢は当分変わらない。あと数十年は続くんじゃないかなー。アジア、中東や南米が成熟してやがて一段落しても、次はアフリカ軍団がやってくるでしょう。アフリカでかいです。中国が2.5個入るくらいでかい。人口も今の時点で15億。これから2100年まで増えて40億近くになるとも予想されてます。こういった傾向がどこまで続くかといえば、equilibrium =均衡まででしょう。つまり世界が完全に中和して、世界のどこにいっても給料も物価も生活環境も似たようなもの、ってなるまで続くでしょう。
多分、うまいことやればオーストラリアは10億人くらいは住めると思います。が、そうなるまでのプロセスで50から100年はかかるでしょう。なんせサウジ以上の乾燥大陸なので水資源の確保や灌漑という大規模なインフラ整備がいる。
中国やインドのような人口大国からすれば、人口0.26億のオーストラリアなんか箱庭というか「盆栽」みたいなミニチュアレベルでしょうけど、それなりに生態系があります。ちょっとバランスを欠いただけで家賃が爆騰したり、失業したりする。
かといって移民や外国人が諸悪の根源であるわけではないです。それどころか真逆で、移民国家であるオーストラリアにおいては、諸「善」の根源というか、国のエネルギーの源泉です。なんせアボリジニを除けば移民とその末裔しかいませんもん。
第二次大戦後のオーストラリアの人口なんか700万人くらいしかいなかった。ほとんどがアングロサクソン(英国系)。それが人口とほぼ同数くらいの移民を受け入れることで回復した。オーストラリアワインやエスプレッソなどイタリア文化など、現在のオーストラリア生活文化を作っているものの多くは戦後の移民ラッシュの成果です。それが今では2664万人。3.8倍も人口が増えている。これは日本の終戦時7200万→1.25億に比べたら(1.7倍)、いかにすごいか。日本でいえば、人口が2.7億人になってるようなものです。
現在の高い生活水準も、コンスタントを蛇口をひねって新規流入で人を入れているからこそです。その意味で移民は発電所みたいなものでエネルギーと富の源泉でもある。でも発電所がそうであるように、水力発電だったらダムが決壊するリスク、原発だったら事故リスクはあり、精妙な舵取りが必要だということでしょう。
今回の学生ビザ騒動も、その一環だと思います。
政策の難しさ
~理念と実益、本音とタテマエ
つくづく政策というのは難しいと思わされるのは、学生ビザが多すぎる?じゃあ減らせってことですけど、そんなに簡単にはいかない。
常識的に考えれば、政府原案のように人数制限をかませばよさそうなものです。永住権にせよ他のビザはやってるんだから、出来ないはずはない。現にカナダは学生ビザに人数制限をしている。が、自由党連合とグリーンズが反対して潰された(上院では彼らがマジョリティ)。
ちなみに、なんで彼らは反対したのか、その理由を調べてみたんだけど、要領を得ないのですね。自由党は、今日の危機は現政権が野放図に学生ビザの大量発給を認めたからであり、彼らには管理能力がないとか言ってるが、これは理由になってない。野放図に増やしたというけど、制限をかける術を作ってなかったんだから誰がやっても増えた。だからこそブレーキ(人数制限)を導入しようといってるんだからそれに反対するのは筋が通らない。反対するならもっと効率のいいブレーキ手法を対案で示すべきだけど、それは一切触れてない。
グリーンズは、この庶民の生活の困窮は抜本的な問題であり、留学生や大学に押し付けるのはスケープゴートであり、制限をかますと大学や職員の仕事が危機に晒されるとかいってる。でもそれを言うなら歴代アメリカ盲従の弊害を言えばいいのにSDGとかでアメリカリベラルの尻馬に乗ってるグリーンズはそれは言わない。今回のビザのギクシャクは、もとを質せばコロナ期の愚劣な国境封鎖政策に原因があるわけだけど、それに対する検証もない。鎖国をするから、コロナ後の猛烈な人手不足になって、その解消のために「何でもいいからとにかく入れろ」という前政権からの問題の帰結です。抜本的な解決は公営住宅や住宅を増やすことであり、これはこれで州レベルでもやっている。ただ解決スパンが長いので即効性はない。今はこの時点でどうするかであり、増えてるのが問題なら減らす以外に方法はない。そして減るのが解決であるなら大学職の保全とかいっても、失職するのは避けられない。それを言うなら、人数制限を暫定的に2年に限り認めるとか、制限のかけかたをこうするとか具体的に言えばいいけど、理念言いっぱなしでなんの具体性もない。
まあ、結局は、よくある政党政治のパフォーマンスというか、西部劇みたいなバンバン撃ち合いでしかないです、僕の見るところ。
ただし人数制限はそれはそれで問題もあります。
新年度になるやいなや、申請が殺到しまくり、いきなり定員いっぱいになることが予想されるからです。一杯になっても、とにかく早く申請だけはしておこうという人が増え、来年度分、再来年度分がどんどん増え、積み残しが膨大になる。結果今から申請しても審査されるのは3年後みたいな話になる。
そうなると、フォーマルには制限はないが、インフォーマルにはあるという形。事実上キャップがあるような形になる。年間これだけと決めておいて、それを12等分して、今月分はこれだけねという感じで。これを明確に述べると、早くやったもん勝ちを明瞭に認めるので、それは言わないで内々に処理するという。
しかし、これでは隠然たる「早いもの勝ち」であることに変わりはない。それはちょっと問題だな、明らかに問題のないケースは迅速に審査発給してあげないと優秀なお客が逃げてしまう。ということで優先順位をもってきたのでしょう。非正規留学=真に勉強したいのではなく、オーストラリアでの就職や永住権のステップとしての学生ビザを利用する人の比率が多い国を後回しにするという形にしたけど、これは露骨に差別的だとなった。そこで、国別ではなく、そういう学生が統計的に多い教育機関(学校)を後回しにするという、学校のランク付けになった。
でもねー、この種のことって小手先で改良すればするほど事態は悪くなる。将棋でも経営でも弥縫策(その場限りの取り繕い)は、一見妙手に見えるんだけど、場が進んでいくにつれて悪手であったことが判明していく。
その1で書いたように、大学としては生き残りを書けて上位ランクにいきたい。でないと、この大学に留学してもビザがでないという評判になって客足が落ちるからです。そうなると、よくある三流学校の合格率改ざんみたいな話になる。学内で試験をやって本試験で落ちそうなやつは最初から受験させない。合格確実な人だけ受験させれば合格率100%に近いという。警察が検挙率を捏造するために、最初から被害届を受理しないのと同じ。統計数値で物事を決めようとすると、必ずこういう弊害が出る。結果として、大学としては、落とされそうなインド系がくると、入学を拒否するという話になる。結果として、普通でも50%しかビザが出ないかのような可哀想なインド系は、ここで100%ダメになってしまう。ビザ以前に大学入学も拒否られるからもう絶望しかないことになる。要するに、政府が決めた害悪を、民間が再拡大してしまうのです。
根本矛盾
大体何がいけないのか?といえば、根本的に矛盾があるからでしょう?
そもそも、非正規学生=勉強が最終目的ではなく、就労や永住が目的の人っていうけど、オーストラリア政府、大学、社会それ自体がそう仕向けてきたではないか。
もともと十数年前に政府がケチって大学予算をバサッと減らした。もうこの時点でオーストラリアの斜陽化は決まったようなものだと思ったけど(こういう社会投資をケチりはじめた国や組織はもうダメね)、大学予算を減らす見返りとして、大学でたら永住権を取りやすく法改正するから、それが大学の販売促進策になるでしょってやったのが、そもそもの問題。学問と永住権をリンクさせてしまった。
非正規学生とかいいながら、「オーストラリアに留学すると永住権が取れますよ」と、道筋作って宣伝したのは当の政府ですよ。だから非正規もなにも、これこそ正規であり、王道であるといってもいい。その証拠に、「卒業生ビザ」というわけわからんビザが新設された。なんで大学を出るとその後数年滞在出来るのか?大学の販促以外に原理的な理由はないです。その期間をあげるから、その間に就労経験を積んで、それで雇用者指名なり独立永住なりすればいいよってことでしょ?
なんのことはない官民一体になって非正規(永住のための留学)を大々的に売り出しておきながら、今になって、「非正規」「不正」呼ばわりして、諸悪の根源のように言うのはおかしいです。
ただね、じゃあ筋を通して、わかりました、卒業生ビザは一切廃止にしましょう。学校が終わったら、どんな人も即退去にします、と言われても喜ぶ人はいないのよね。みんな非正規狙いだもんね。
さらに言うなら、そんな真剣に勉強だけを純粋に目的にしてる人がどれだけいるのか?これは学者も含めてです。勉強して資格とって、研究して論文が評価されたら、よりよいポスト、就職が出来て、お金が入るからでしょ。現世的金銭的ステイタス的な私利私欲でしょ。人類の共有資産である「知」への貢献という、高潔なアカデミズムの本質から外れた個人的な立身出世。かくして、世界的に御用学者と「曲学阿世の徒」を増やすことになるし、現にどこでもそうなっているではないか。
そんな孔子の弟子達みたいに、師匠が政変で失職して乞食になって放浪してても、それでも教えを聴きたいから一緒に放浪していたというくらい向学心に燃えてるやつがどれだけいるというのか。誰の手も私欲に汚れてはいるのだ。
ただ別にそれが悪いとは言ってませんよ。生活も人生も大変ですもんね。教育というのは将来投資であり、リターンがあるからこそやるという人がほとんどでしょう。永住権など一生レベルのリターンがあるからこそ、年間3-500万円という途方もなく高額な授業料を払うのでしょう。どう考えても講義や知識にそれだけの価値があるとは思えないのだけど(ネットで勉強できるし、大学生もネットのAIで論文書いてるくらいなんだから、最初からネットで無料で勉強すれば足りるではないか)、将来リターンがあるからこその投資でしょう。ましてや永住などの一生価値があるなら、ビザ申請料16万を100万円にしても払う人は払うでしょう。だって大学学費は3年で1000-1500万払っている人があんなにいるんだもん。不動産投資で胡散臭い物件に1億払うくらいなら、まだしもマトモと言える。
また、仮に永住権までいかなくても、発展途上国ではホワイトカラーは多く求められます。日本などの先進国では何もかもが飽和状態で、猫も杓子も大学卒だから価値ないけど、彼ら新興国だとまだまだ大卒や留学は金看板になりえるだろうし、故国に帰った後に十分に元が取れるのかもしれません。
以上、学生や学者が私利私欲でやってるなら、私利私欲の調整こそがその存在理由である政府その他に妨害されたり翻弄されたりするのも仕方がないとも言えます。これはもうそういうゲームであると。世の中そんなもんだよ、と。
だもんで、大本の部分がいい加減だから、なにをどうやってもいい加減さや、不透明さは残るし、どこを切っても理不尽さはにじみ出てくるものです。それに数十万人規模で「大ナタを振るう」ならば、一つ一つの申請を精密に審査してられないとも言えます。
ビザ却下50%のインド系も、冤罪のように食らってる人もたくさんいるでしょう。却下になっても申請料16万円は返ってこないし。泣きっ面に蜂です。もう理不尽極まりない思いをしているでしょう。なんでこんなにいい加減なのかといえば、それはもう僕ら一人ひとり、人間というのがそういうもの(口先で理念は言うけど、動くのは実利)だからです。
そういう打算カオスの渦潮みたいな状況は、株式相場と似たりよったりであり、もう最初から「そういうもんだ」と思っていたらいいと思います。これは諦めや開き直りで言ってるのではなく、人間本来の姿だといっているのです。
政府の対策
ということで、学生ビザをせっせと減らすために、いろいろ政府もやってきてます。
学生ビザの料金の値上げ、一気に2倍以上の1600ドルという激怒プライスですけど、5月の新予算では、次の選挙が迫ってることもあり、さらに値上げすることが予想されてます。「頑張って対策をしてまーす、あげた分だけ国民の税金は安くなります」と言いいそうですよね。
卒業生ビザの縮減。50歳までを35歳までとか、期間を短縮とか。
学生ビザの現地(国内)申請の制限。観光ビザからの学生ビザ申請ができなくなったのが一番大きいです。ビザを次々に乗り換えるのを禁止するためだというんだけど、学生ビザから学生ビザは良いし、ワーホリから学生ビザも良いのですよね。だけどいずれは禁止されるかもしれないです。
あと単純に却下率の上昇。もともと学生ビザの却下は、前に調べたら異議申し立てをした場合の勝訴率が50%を超えるというくらい、いい加減な判断らしかったんだけど、かなりテキトーにやってる気がします。だもんでこれも運です。
それと、審査時間の遅延。申請してもなかなかビザが降りない。「優先順位」でいえばビザ取り系はもっとも劣後するから、降りるまでの時間がかかるし、却下率も高いでしょう。
ということで状況は厳しいですが、これも私利私欲や現世利益で動いてますから、予想が難しいです。
私利私欲というと聞こえは悪いけど、カルト教団的な狂信で動いてないだけマシです。またどっかの誰かの陰謀と洗脳で動いているわけでもない。ゴールドラッシュのようなもので、儲かると聞けば人が殺到し、儲からないとなるとぱっと散っていく。だから、このビザ規制も儲からないとなると止めるという合理が期待できます。
その1の記事にも書いてあったけど、学生ビザも減らせすぎるとオーストラリア国民が困るのです。留学生一人くると、高い学費も払ってくれる以上に、日常の生活費も払ってくれる。これがでかい。家賃は高くなるかもしれないけど、売上は上がるし、仕事は増える。それに高い家賃を払わされて泣いているオーストラリア人とか言うけど、その高い家賃を受け取っている家主もまたオーストラリア人なのですよね。金は天下の回りものです。
大体、コロナ後のオーストラリア経済で(23年度の3四半期)、輸出部門はおしなべて4-5%の減少を食らっているのに、教育部門だけは68%も増収になっている(出典)。もう教育産業がオーストラリアを支えているくらいの感じですらある。
ということで、この種の逆弊害が出てきたら(留学生減少に伴う不況)、あっさり方針転換するでしょう。
タイムラグ
ただ問題は、それがどの程度で認知されるか、そして政治的にどの程度の速さでレスポンスされるかです。そしてそれは未知数です。
だいたい2年くらいのタイムラグがあるとは思うけど、結局全てはタイムラグの問題であるとも言えます。
コロナ開けで猛烈に人手不足になり、かつ2年の国境封鎖で教育セクターがミイラ化していたのを、一刻も早く解消するということで、ガンガン入れたわけですよ。でも今日やって明日効果が出るものではなく、時間がかかる。だからもっともっとで卒業生ビザの要件や効果を拡大(滞在年数を増やすとか)、さらにCOVIDビザという現滞在者が申請すれば誰でもOKとかいう対策を取った。いや取りすぎた。だからその反動と副作用がものすごくて、今さら人数を絞っても、すでに滞在権利が5年とかいう人が膨大に残っているから、効果が薄い。効果が薄いから、もっともっとでやる。そしてやり過ぎる(今ココ)。でもって次に「人が足りない!となったときには、時すでに遅しです。
なおこの過程で一点皆の予想が外れたのが、国境回復したらこんなにも急激に増えたことです。政府もそうだし、僕もそこまで増えるとはと思ってなかった。なんせコロナ鎖国中に留学生に意地悪して評判悪かったですからね。いつまでも馬鹿みたいに延々と国境封鎖してたしね。だからカナダやNZに客を取られて、国境開放してもボチボチかなーと思ってたんだけど、そうでもなかった。ここが予想外だったのは、今思うにグローバルサウスの底力の上昇でしょう。あとからあとから新興の中流層、留学できるくらい余裕のある層が増えてることです。そこを読み損なった、舐めていたってことでしょうかね。
一方、中国も含め北東アジアの留学生は減ってます。コロナ開けでもその前ほどにも回復してないです。ここ(&下図)参照。なぜなのかはわからんのだけど、勝手に推測すると、これまで多かった中国系留学生が、今となってはオーストラリアの大学行くよりも自分のところの大学行ったほうが有利だからじゃないですかね。もし僕が抜群に優秀な中国人だったら、ハーバードやケンブリッジ行くよりは清華大学行くでしょうしね(学部にもよるだろうけど)。ましてやオーストラリアの大学なんか、大した魅力は感じないでしょうしね。
いろいろ書きましたが、その3は、じゃあどうすんのさ?を書きます。
中国の古くからの有名なフレーズで「上に政策あれば、下に対策あり」というのがあります。ご存知かもしれないけど。今の状況もまさにそうです。国がビザをこうするという政策をすると、その裏をかくために民衆はあれこれ知恵を絞るわけです。何度も書いてますけど、真剣に学問志向で優秀な学生をビザ審査の順番で優遇するために、統計的に怪しい母集団に属するものを後回しにする。母集団を出身国や地域にすると差別になるので、教育機関(大学)にする。すると大学も「対策あり」で、ビザ却下率を減らすために「怪しい」人は最初からお断りにする。
これらは組織レベルの話でしたが、個人レベルではどうか。
これだけ逆風が吹いてる中で、それでも留学するのか?するとして、不確定要素が増えたシケ気味の船出になるから、どうマネージしたらいいか。そのあたりを考えてみます。まあ、結論を書いてしまえば、「そこまでしてまでやりたいか?」という個々人の「腹括り」の問題になるんですけどね。