2022年夏帰省日記(4)8月6日上野界隈オフ

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5日の湯島オフの晩はすぐ近くの湯島カプセルランドというカプセルホテルへ。カプセルといっても、カプセルになってるわけではなく、寝台特急の二段ベッド風。なかなか良い感じで、清潔だし、きちんとして崩れた感じは一切しないし、風呂はそこそこ広いし、WiFiよく繋がるし、スタッフもフレンドリーで有能な感じ。ただ一点、これは最近の傾向なのかもしれないが(西日暮里のときもそうだったが)、個室の入り口には簾みたいなのがあるだけで、鍵がかからない。荷物が気になる人は無料ロッカーがあるけど、洋服ハンガーと靴くらいしか入らない。フロント前の荷物置き場に預けておくしかなく、フロントの人が見張っていてくれると。これで廻ってるということは、実際盗る人もいないのだろうけど。

ちなみに野澤さんもお泊りにされました。明日も参加するし、家まで帰るのが面倒だし、時間のロスだと。僕は事前に予約して2900円、しかし野澤さんは直前(当日)申込みなので特割で数百円安かったという、くそお。

玄関フロント前の自動販売機↓
物販だけではなく、各サービスもある。なるほどあれこれ説明するよりも、これ見た方が一発でわかるし、また集計も楽でしょう。考えるもんだなー。

チェックアウト時のホテル前。昨晩からハイテンションの野澤氏。

ともあれ上野駅のコインロッカーに荷物を預け、10時までにLueno(ロッテリア)に行く。街中ルートよりも上野公園ルートの方が楽しそうなので、歩を進めると、ほどなくして不忍池。
あれ?不忍池ってこんなゴージャス異世界だったっけ?計8ヶ月も至近にある湯島の研修所に通ってたんだけど、いつも地下鉄駅出口と湯島の坂を往復し、昼飯食べに出歩いていただけで、ついぞ行ったことがなかった。なるほどこれが「ルーチンの陥穽」というか、決まりきったことばっかやってると視界が極端に狭くなるのね。
後から知ったけど、7-8月は蓮の開花時らしく、蓮花撮影マニアが色めき立っている頃だとか。いいタイミングだった。

さてそこからが大変で、池方向から歩いたので、ちょい小高い丘を超えないと駅方面にいけなくなり、夏の部活の合宿的に荷物抱えて階段上ってL’uenoの入ってる商業ビルにたどり着く。が、そこから下に降りるルートがない。エスカレーターもエレベーターも階段も全部が全部封鎖されている。あれこれ探してもないから、また大回りして駅に。
再びL’uenoに戻るも、なんかやってないっぽい。入り口は関係者のみ表示になってるし、そもそも鍵かかってるし、周囲に足場が組まれてて、改装工事?HPに書いておいてくれよ。それがなにかはともかく、10時の集合場所は立ち入り不可能なので、野澤さんと二人で急遽代替場所を探してほっつき歩く。これといった店やフードコートもないので、もう店じゃなくて場所だけでいいやと、喫煙場所と噴水の場所にして(ふたりとも喫煙者だし)、写真撮って、FBに投稿し、掲示板にリンクを貼る。スマホの写真って1-2MBあるので掲示板には重すぎて載らないのですよ。リサイズしなきゃいけないだけど、PCだったら数秒でできるけど、スマホだと作業が面倒すぎるので、FB(投稿時に向こうでリサイズしてくれる)リンク。
幸いというか、森さんが20分遅れますという恐縮メールが来て、いいぞ、もっと遅れてくれい。また、参加予定の金子さん(ヤロー三人でとか書いてたけど、金子さんがいたのだ)が1時間遅れ。結果的に、いい感じの集合になったのでした。

なるほど(こればっか)、「禍福は糾える縄の如し」というけど、ラッキーだと思ってたことが実は地獄からの招待状で、アンラッキーなことが結果的にラッキーになる。今回は細かなことだけど物事の仕組みがよくわかる。破産して、脱税で逮捕されてそれだけ見てたら超ドツボなんだけど、それを機縁に得難い人と出会い、またこれまでのやり方を反省修正することで、次の飛躍のステップになるとか。目指せ上級国民志向のモーレツ君が、まさかの事故で半年入院、出世競争から脱落するも、その間に解毒し、解脱し、以後家族を大事にする幸せな人生になるように。良薬口に苦しで、不幸だと思ったら良薬だと思えとか。うー、朝っぱらから、身体(合宿階段)と頭をトレーニングしてしまった。そんなこと望んでないのに。

さて、全員集合で、フードコート予定が雲散霧消したけどどうすべ?で、早いけど昼飯いこうかで、アメ横方面に進む。掲示板に書いた、観光客やハレ系の店じゃなくて、普通の蕎麦屋がいいなーとかいうのを皆さん覚えていてくれて、結構長いこと歩きまわってました。意外と無いんだよ、これが。
でも、歩き回ると、日本の今、アメ横界隈の姿などがよくわかって、めちゃ面白かったです。観光客風情丸出しで、おーおもしれーとか写真撮りまくってました。
以下ずらっと貼っておきます。

もーね、入口付近でいきなり盛り上がる。遠浅の海の逆で、すぐに水深が深くなる海みたいに一歩入ったらもうディープ。

前にも書いたん日本果実。アーティフィシャル(人工的と芸術的という2つの意味があるが、アートは人が作るから結局同じこと)な。こういうところで見たほうがよく分かる。ちなみに数年前くらいからスイカがやたら高くなってるような気がする。

わかりにくいけど煮豆の数々

駄菓子的なオモチャ屋さん。ちゃんと進化してる。

「ヤケのヤンパチ」なんて死語フレーズ、目にするのは何十年ぶりだろうか。臆面もなく「史上最強」がいいよね。ここは大阪か香港かって感じ。アジア的混沌。
商店街を突っ切ってオフィス街に行くも、それらしき蕎麦屋はない。代わりに韓国焼肉の多い一角があって、このあたりマルチカルチャルなのかなと思ったら、民団の事務所がありました。だいたい戦後の風情を残してるところはそうだし(大阪の鶴橋とか)。シドニーの西はそういうのばっか(Marrickvilleのギリシャ、ベトナム系とか)。後から来ると列の最後尾に並ぶから、社会でも庶民階層からスタート。だからそういうところは庶民的で物価が安い。
ミンダンとソーレンがあって、居留民団は韓国系、朝鮮総連は北系。「弁護士やるならそのくらい知っとけ」とボスに言われた。日本にいる間に母国が2つに分かれちゃったのでどっちに入るかです。将来、僕がオーストラリアにいる間に、東日本と西日本国に分裂したら(ドイツみたいに)、さて、僕はどちらに入るべきなのだろうか?悩むなー。あなたはどちら?

探しているうちにぐるりと廻ってしまい、上野駅。あ、これ見覚えあるぞ。よく「激動の昭和史」とかで白黒で「上野駅と集団就職」とかいう記録フィルムに出てくる上野駅。大きな陸橋ができてしまって(全国どこでもそうね)、雰囲気は違うんだけど、建物は同じ。実は現物見るのは初めてかも。東京に居る頃は上野なんかそんなにこないし、来ても乗り換えだけとか、せいぜい御徒町で安い新幹線チケットを買うとかくらいだったし。知ってるようで全然知らないよねー。

また戻って探し回って、ついに見つけた普通っぽい蕎麦屋(気取ったのは別にあったけど、対象外)。

そうそう、こんな感じに憧れてたんですよ。トレビア~ンですよ、気分は外国人観光客だよ。これがフランスだったら、「パリの下町にある、昔からパリジャンヌに愛されているお店」とかいう表現になるんだろうけど、その日本版。いいね「令和」のお習字を貼ってるあたり。資本マーケではこうはいかない。オーガニックの良さです。
うわ、めっちゃ目移りするんですけど、

私のチョイス。みなきれいに分かれました。下のは森さんが頼んだ葉ワサビ蕎麦。僕は冷やしたぬき蕎麦を頼んだのですが、ちょっと思ってたの違って。冷やし中華の蕎麦版というか、カラフルファンキーな。でも美味かったですよ。天かすのコリコリ感が海外ではなかなかにレア。

店の前で。なにかっちゃ撮ってるんだけど、律儀につきあってくれるノリのいい皆さん。救われるよね。「またですかー?」と露骨に嫌そうな顔をされたら、萎えそう。

初期の目的通り、国立博物館へ。折しも日曜日の昼下がり、平和を絵に描いて額に入れて飾ったような公園通り。
これが結構距離があって、もう朝から歩きっぱなし(俺が悪いんだけど)
国立博物館の威容。

特別展とか目もくれず、常設展示一択で。だいたい見きれないのはわかってたし、そんな造詣も鑑識眼もないし、正直猫に小判なんだけど、日本芸術のAからZまで一気にまとめて見れるからです。日本史資料集みたいな。定期的に本物をまとめてざーっと頭の中を通してやって、知らない間に思い込みで歪んでる部分を直しておきたいという意図です。
その意味では結構収穫はありました。

今回新たに思ったのは、
・彫刻では、平安までの仏像と鎌倉以降の差。平安仏像は、基本、菩薩像など「仏」像で、コンセプトは超絶世界の安らぎという、観念的で優しく女性的なものだけど、鎌倉期以降は、武家政権だからなのか、やたらマッチョなんですよね。キン肉マン系。それに本来の仏教世界ではなく、周辺ヒンドゥー教世界のアクの強そうなキャラ。仁王像とか、多聞天とか。
・浮世絵でいえば、春信や歌麿に比べて、写楽の際立った天才性が凄い。めちゃロックしてる。写実性の否定にせよ、約束美の否定にせよ。耳に心地よい美しい音の連なりではなく、耳をつんざくようなシャープでエッジの尖った音で構成する。歌麿はほんわかするけど、写楽はガビーンとくる。漫画のような極端なデフォルメをかますんだけど、でも結局その方が僕らの脳内の視覚処理に合致する。
これはたしかに西欧の画家がガビーンとなるのもわかるし、印象派の発想に通じる。人間は見ているようで見ていない、というか、脳内でかなり視覚イメージを変えて認知している、その変換像(印象)をダイレクトに描いてしまえという革命的な。モネやセザンヌは僕も好きなんだけど、通じるものがあるのでしょうね。写楽はなぞの画家で、活動期間はわずか3年。「しゃらくせえ(写楽斉)」という人を食った名前といい存在自体がミステリー。以前写楽の映画があったな(真田広之主演の)。3年だけというのが凄い。これって天才中の天才、アルチュール・ランボーみたいな。詩の世界だけではなく、芸術世界全般にとてつもない影響を与えた大作家だけど、活動期間は十代だけ。ティーンエイジャーのうちに全仕事を終え、あとはぷっつり普通の人生。
あと、葛飾北斎が沖縄(琉球)の絵を描いてたのは知らなかった。行ったこと無いので想像で描いたらしいんだけど、あの斬新すぎる構図にトロピカルな色彩がすごくて、もうサイケの世界で。知らんかったわ。

・あとはですね、伊万里焼が多く展示されてたけど、伊万里=赤という固定観念がぶち壊されて、青緑色の伊万里が赤よりもいいんじゃないかとか。

なかなかおもしろかったです。それもこの建物自体が凄いんですよね。

バルコニーからの庭の風景

まるでオーストラリアの公園のような巨木

天井が高いなんてもんじゃないね。1階で普通の3-4階以上の高さはある。写真で見えてるのはまだ半分の踊り場部分だから、もう同じだけの落差がある。

館内撮影禁止と思い込み、そういう表示もあったけど、よく見たら作品ごとに禁止かどうか貼ってあって、実はOKの物も多い。周囲の連中が日本刀のコーナーでスマホで撮ってて(アニメがあるらしいね)、あ、いいの?と最後の方で気づいた。

SHOPがなかなか面白いです。よくこんなこと考えるなーという。
埴輪のぬいぐるみ。うーん、可愛いのかな?誰が買うの?

地獄草紙と餓鬼草紙のミニチュア。

名画のマスキングテープ

足もヘロヘロに疲れた一同。すいませんね、「殿のご乱心行」みたいなのに突き合わせて、入館料まで払わせて、僕のお守りは疲れるでしょう。ごめんねー。
博物館を出たところで、バイト明けの高見さんと合流。
じゃあ、昼間っから飲みにいきしょーと、楽しいコンパ(なんかノリ的に、オフや飲み会じゃなくて、コンパって感じ)。

ひたすら歩いてただけのようでありながら、道すがらいろいろ話してました。個別に書いてるとまた長くなるからカットするけど、最近大学に入り直した高見さんが、「周囲の若い子」が、異常なくらい真面目で素直で、いいんかこれで?社会にでたら難破しそうだと懸念してたのが印象的でした。
わーと飲んでたら、もう時間。しっかり者の森さんが、「そろそろ時間では」とスマホのタイマーまでセットしてくれてて、これ俺だけだったら、飛行機乗り遅れてたかも。しかし、森さん、昨晩の湯島もそうだったけど、こんだけ有能だったら年収一千万は取れるよ。もっとダメなのがそのくらい稼いでるし。

上野駅までいってロッカーから荷物とってバイバイです。いあ、ほんとお付き合い頂いてありがとうございました。
最後に金子さんのスマホ手取りでの一枚。

あのあとどうしたのー?とあとで聞くとアイリッシュパブにいったそうです。いいなー。
一方、羽田からのフライトは、
シドニーからの便に比べれば混んでたけど、それでも3割くらいかなー。いいんか、夏休みの書き入れ時でしょう。動いて、遊んで、飲んで、騒いで経済回せ、です。上が頼りないから下で回すしかないべ。
西に向かうからなかなか日が暮れない。

日本に帰ってきたらとりあえず挨拶しなきゃの富士山。スッキリと夏富士。

伊丹ランディング前。大阪の明かりが見えて、帰ってきたーと。でもあっちゃこっちゃ住んでるから、どこに行っても「帰ってきた」感があるんですけど(シドニーに戻ればまた帰ってきたと思うし)。
予定よりもかなり早いぞと思ってたら、着かない。よくみたら同じところをぐるぐる廻ってて、最低でも二回旋はした。アナウンスで空港が混んでるから時間待ちだと。
京都にたどり着いたらもう9時半でした。シドニーからの長い旅でしたが、いや結構いろんなことがあって楽しかったです。でもって腰落ち着けて、これからが本番です。あと何回もある。

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