日豪ブラック小売システム フランチャイズ&コンビニ

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オーストラリア現代社会の基礎知識

いま、オーストラリアでは、「ブラック」ないしそれ以下にアコギなRFGのやり方に加盟店が反乱、Bannister Lawで集団訴訟(クラスアクション)が検討され、株価は暴落状態にあります。RFG=Retail Food Groupという大きな会社で、傘下にGloria Jean’s, Michel’s Patisserie, Donut King, Brumby’s Bakery and Crust Pizza Bar があります。どれも普通に見かける店でおなじみでしょう。

Franchisees hope Senate inquiry will stop them being ripped off by unscrupulous franchisorsという記事があります。

RFG傘下のMichel’s Patisserie、これもどこでも見かけるケーキ屋+カフェですが、フランチャイズシステムになっていて、いかに加盟店が搾取されているかが記事になっています。
例えばHong氏の場合=5000万円を投資してMichel’s Patisserieのフランチャイズ加盟店(「フランチャイジー」という。親元の会社を「フランチャイザー」という)になったもののお金も、人生も、健康も壊されたと。何がひどいかというと親会社の「約束破り」で、最初3%だった加盟料も10%に値上げされるわ、供給されるケーキ類も質も種類も低下しているのに30%も卸値があげられ、それどころか工場で買えば15ドルのビスケットボックスを65ドルで売りつけられる。毎日新規供給されるはずだったケーキ類も週2回に減らされる。ちなみにMichel’s Patisserieは、その昔は手頃な値段でそこそこ美味しかったから僕も利用してたのですが、ある時期からレベルが下がってそれから全然行ってないです。

こういった問題がくすぶっていたのですが、ここ最近とは特にひどい。断末魔の会社(国も)やりがちなのですが、ここ3年で704店も増やして、去年の親会社RFGの収益は27%増、しかし加盟店の売上は8.7%も減少している。売上が下がっているのに親元が儲けるということは、どんだけ生き血を啜ってるか?です。

「フランチャイズは絶対やるな」と日本でも昔から言われてますが、結局親元に骨までしゃぶられて終わりというパターンが多い。なぜそうなるかというと、絶対的な上下関係が出来てしまうから、足元見られてやりたい放題やられるからです。全てのフランチャイズがそうだとは言いませんが、構造的に対等になっていないところでは(労使関係でも夫婦関係でも)、弱い者いじめをする可能性が常にあるからです。

この記事では、Franchise Redressというマーケットリサーチの会社(若い男女がやってる調査アクションチーム)があり、アコギな実態について調査をし、国会に調査を申請したりしています。他にも 7-Eleven, Domino’s Pizza and Caltexなど沢山のフランチャイズ構造があげられてますが、このRFGは特にひどいそうです。

クラスアクションというのは欧米の民事訴訟の制度で日本にはありません。日本は公害訴訟など集団訴訟がありますが、一人づつ原告にならねばならない。しかしクラスアクションは「世直し訴訟」的な側面があり、少数がそのクラス(消費者など同じ立場にある人々)を代表して訴訟をし、勝訴したら訴訟に参加しなかった同じクラスの人々にもその効果が及ぶ。つまり敗訴した企業などは即倒産するくらい莫大な賠償義務を負う。日本でもやりゃいいのにって立法論は昔からあります。
今回のBrannbie Lawはこういったクラスアクションに特化して弁護士事務所のようで、プロだけに慣れてるようですな。大企業の生死を決めるくらいですから事前調査もかなりやるようでRFGも現在調査中です。

が、この種のゴタゴタを敏感に察知するのが投資家であり、RFGの株価は垂直落下状態にあります。Retail Food Group stocks hit 10-year low on $88m loss and 200 stores to be closedという関連記事では、RFGが200店舗を閉鎖するとのアナウンスがあったこともあり、昨日の月曜日時点で過去10年で最安値を更新、二日間取引停止状態にあります。

以上がオーストラリアのフランチャイズ問題、特に最近ではRFGに関する問題です。オーストラリア人とちょっとまともなビジネス雑談をなどをされるとき、話題になるかもしれませんで、知って置かれると良いかと。

このように、アコギな会社がでてくると、まず被害者が声をあげ、それをすくい取る機関があり、クラスアクションが行われ、国でも取り上げ、市場では株価が落ちるという因果応報的なサンクションがあります。それで世の中が保たれているという。これが機能しないと結局「やり得」になって、北斗の拳的な弱肉強食になると。

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翻って日本ではこの種の問題はないのか?あります。昔っからドンパチやってるのが、コンビニ訴訟です。Further Studyとしてちょろっと紹介しておきますが、1990年代からローソンやセブン相手に加盟店から訴訟が起こされてます。

これも同じ構造で、絶対的な力関係でいじめられまくるという。
大体よくあるのが「約束破り」です。半径○メートル以内にはライバルになる新規出店をしませんよとか言いながら、平気でまた店を出すという。本当に平気で約束を踏み倒すんだわ。これじゃ加盟店もたまったもんじゃないでしょう。で、自分らは簡単に契約踏み倒すくせに、加盟店側の些細な違反=例えば見切り販売(賞味期限近くで値段を下げる)が5分早かったとかいってネチネチ説教されまくるという。

参考リンク
セブンイレブン、オーナーの自殺者が続出(まとめ)

ファミマ過労死訴訟和解…コンビニFC本部は加盟店従業員の労働問題の責任を負う?

何が流通の神様・鈴木敏文を狂わせた?セブン&アイ、訴訟続出と経営混乱で崩壊の始まりか

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他にも山程ありますが、このくらいで。

この4月から新入社員で頑張っておられる方も多いでしょう。がんばって~。しかし、自分では就活なんかやらなかったけど、もし就職するなら、こういったカイシャの正社員だけはイヤですねー。なんか、時代劇にでてくる農民いじめる悪代官みたいなことやらされるわけでしょ?たまんねーなと思う以上に、そういうことやってるとモラルハザードというか、善悪が馬鹿になってきて、人として終わっていくような。もっと終わってる上司や先輩から「お前は甘い!そんなんでやってけるか、あいつらすぐつけあがるから」とか言われて洗脳されて。

それだけならともかく、訴訟起こされたら、証人として法廷に引っ張り出されて、「悪の手先」扱いで今度はネチネチ自分がいじめられたり。悲惨なのは逆ギレされて殺されるケース。一家心中なんかでも、あの銀行の融資担当の課長だけは許せないから道連れにしてやるとか、恨み骨髄ですからね。
いくら恨みを買うにせよ、警官とか、教師とか、弁護士でもそうだが、ある程度自分のやってることに信念が持て、その結果として恨みを買うならどんと来いですけど、こんなセコい商法の片棒担いで恨み買うんじゃ、幾ら給料もらっても割に合わんだろうと思うわ。

 

 

 

 

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