ユッキーくん、帰国前訪問

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ワーホリ終了後、コロナ期間中はイライラしながら待ち続け、コロナ開けの2022年7月頃から再度オーストラリアに来たユッキー(金岡)くん。シドニーの英語学校→メルボルンのビジネス学校ときて、来月半ばに3年弱のオーストラリア生活を終えて帰国予定だそうです。シドニー旅行の際に立ち寄ってくれました。

付き合いが長い気がするのですが(よくオフに出てくれてたし)、遡ってみたら、2018年に最初のメールをいただいていました。当時はワーホリ中で、仕事関係の相談メールでした。稲垣さんにAPLaCを教えてもらったそうです。以後断続的にメールのやり取りがあり、数えてみれば今年で8年目ですね。

ところで昔からユッキーという愛称で呼んでたような気がするのですが、正式には金岡ユキナリ氏で、ユキナリも本人からカタカナ表示で送られている場合が多く、どういう字書くのかなーと思ってたら、由紀成だそうです。ずっと前のメールに記載されているのを今更ながら発見(笑)。でも、ま、ユッキーでいいよね。

ランドスケープ
ユッキーの場合、ワーホリ時代から一貫して仕事探しで、それも造園とか宅地造成とか植栽や地面をいじる系が好きみたいです。ワーホリ時代にちょっとやって、それが楽しくて性に合ってると思ったそうな。ランドスケープとか英語でいいますけど。それを軸にローカルジョブゲット→あわよくば永住権って感じで、ワーホリ後の日本にいる間も、英語を使う機会があることから米軍基地に履歴書を配りにいったりしてたそうです。メルボルンのビジネス学校も農業系だけど、造園なども含むと(でも全然授業やらないので学校とバトってたらしい(笑))。

でもこういう地べた系(勝手な造語です)とか植物系とか、僕は良いと思いますよ。本人の性に合ってるのなら尚更です。範囲が広すぎるし、漠然としすぎているのですけど、それだけにどこにでも通じる。

いきなり大きな話をして恐縮ですが、人類が良い方向に向かってるとすれば(原始時代からの流れをみれば、YESといえると思うが)、どういうのがゴールの理想状態かといえば、そのなかに「気持ちのいい空間」というのは絶対入ってくるはずです。つまり庭園であったり、公園であったり、適度に管理された風景です。資金に余裕のある人ほど庭には手をかけるし、余裕のある国ほど公園の質は良いです。ということは人類が続く限りその実需は常にあるだろうなーということですね。

造園は、こっちのイングリッシュガーデン系や、日本伝統の日本庭園など分岐します(世界レベルでいくともっと多様だろう)。日本の本当のプロの庭師さんの技術をきくと(なんでもそうだが)、もう宮大工みたいなもので(千年先の木材の反りを計算にいれて組み合わせるとか)、技術レベルが高すぎて超能力者みたいです。造園でも四季の移ろいを考え、どの時期にも見応えがあるような植栽配置をするか、個々の樹木の成長スピードの差から十年後、30年後どうなっていくかを緻密に考え、土壌との相性を考え、樹木と樹木の相性を考え(この植物はこの虫を呼ぶが、それが別の植物にとっては有害だからやめておこうとか)、一体どこまで考えているのか底なしです。これは農業でも同じだと思いますけど。そこまで絞りきるかどうかは別として、そういう方向もある。

反面、日本全国が限界集落化していくと、今度はその再生利用が軸になり、例えばインフラが老朽化してダメになるなら、井戸掘削やら地下水脈を読むやら、周辺の渓流小川から引っ張ってきて濾過するとか、これらは地べた系、造成、土木系になります。でも「土と草と戯れる」という意味では似たようなもんだとも言えます。面白いテーマだよなーと。身近には家庭菜園のノウハウもあろうし、ごく日常のメンテ(芝刈りとか)もあろうし。

いずれにせよ実体・実需があるものは希望があります。逆に虚業というか、もてはやされている高収入ホワイトカラー系は微妙なのですよね。そもそも高等数学を駆使したレバリッジなどがなぜ持て囃されるのかといえば、もう他にやることがないからでしょ。それに話が抽象的になるほどに色んなズル(中抜きとかマネロンとか)ができるしね、BRICSがなんで伸びてきたのかといえば、あそこは資源と実需のカタマリだからだと思う、、、ってこの話をしだすと長くなるし、差し障りもあるのでサロンで書きます。

ユッキー君の仕事探し講座
話戻してユッキー君ですが、後輩の皆さんのために、ワーホリ時代から留学時代の仕事探しについて聞いてみました。割と最初の頃からローカルジョブをゲットしてたみたいんだけど、なんでそんなにゲットできるのか?と。

彼曰くは、ワーホリ初期のジャパレスはダメダメだったそうです。トライアルで落とされるわ(まあ普通だが)、決まったところも全然合わなくて、ダメだと。次にホテルのクリーニングのバイト(バッパーの求人掲示板でみつけた)をやったのだけど、ボスのネパール人のマネジメントが無茶苦茶で喧嘩してやめたと。ははは、いいね、この流れ。
でも、次はまたバッパーの掲示板のレイバーハイヤー(スポット派遣みたいな)ものをコンスタントにやってて、そこで造園やランドスケープ系の仕事が楽しかったそうです。現場のおっちゃんが直にやってきて、明日3時間だけだけど、誰かいないかと聞いたりしたこともあったり(やったそうだが)。なかには食肉工場で働いたこともあるけど、これは労働条件がよくなくなかった。最初のメールの相談のときですね。

二度目のシドニー語学学校時代は、ノースシドニーカウンシルの芝刈り系の仕事をコンスタントにやってたそうです。メルボルン時代は、Jim’s Mowingという大きな芝刈りの会社があって、そこでは絶えず現場仕事があるので、やっていたそうです。

そんなこんなで現場で出ていれば、いい出会いがどっかにあって、もっとパーマネントな形で就職し、労働ビザ、、とか思ってたんだけど、そうそうあるものではなく、とりあえず今回は帰国と。

帰国してからも色々考えているそうです。メールでの相談などもこの先も続くでありましょう。
でも、まあ3年よく頑張ったと思いますよ。学費もほとんど全部こっち稼いだしね。トライすることに意味があるわけだし。
それに永住権って、ほんと空気みたいなもので、無いと死ぬけど、あっても別にありがたいと思うものでもないのですよね。日本における日本人(市民権=国籍保持者)が、あったからといって特に恵まれているとか、ありがたいとか思わないのと一緒。日本の永住権が欲しい人からみたら、超特権階級なんだけどねー。

得たものと認知のバグ
でも、一連の流れで何を得たかといえば、ものすごいものを得てると思います。これも自分ではわかりにくいんだけど。

まず、海外にいっても、それが英語圏だったら大してビビらない、労働する権利があるなら食っていくくらい出来るという自信です。これは自分で現場で四苦八苦しないと身につきません。巨額の遺産が転がり込んできたとしても、この種の自信と能力は得られない。

第二に、あれこれやってみて、ランドスケープ系、開けた空間でなんかするのが楽しいって感覚、自分の好きなものを発見したというのも大きいと思いますよ。誰かに勧められたとか、研究したとかではなく、いろいろ実地でやってみた上での感覚というのは値千金だと思いますもん。

第三に、居場所、逃げ場所です。永住権が無理でも、観光ビザでしばらく滞在するのはいつでも可能です。オーストラリア移住はなにが目的かといえば、大体皆さん居住環境、生活してて気持ちいいからですよね。儲かるからとか、そういう利害ではなく快感系です。それが最大の輸出品目じゃないのかしらね(経済指標にはならないんだけど)。なので、この先、年取って身体が動かくなくなるまでの数十年は、「ちょっとタイム」で1か月ほど息抜きに来ることは出来ます。これ、結構財産ですよ。どれだけそういう場所をもっているか、という。

人間って不思議で、何を失ったかというのは分かりやすいんだけど、何を得たかとなると、意外とわからんもんです。得た瞬間から、当たり前になってしまうからです。この認知のバグ(マイナスはカウントするけど、プラスはカウントしない)ってわりと真剣に問題だと思ってます。だって、そんな歪んだレンズで見てたら、未来への見通しもまた歪みますから。

ただし、ユッキーの場合、そのあたりは、もう感覚的によく分かってるように思います。今回3年近く挑戦したことに、なんの後悔もないそうですし、晴れやかな顔を見てたらそれがわかります。

ところで彼のひたむきで、素直なところは、写真撮っててもよくわかります。はい、もっと渋く~、カッコつけて~、目を大きく~とか注文つける度に頑張ってやってくれて、このような感じで。いや、ここまでやってくれる人は少ないですよ。

トップの写真とはまた別のもの。
あれこれ注文つけててアレだけど、やっぱナチュラルが一番いいね。

日本でもよい同志にめぐまれますように。てか、そうなるでしょう。今は日本全体が「自由課題」みたいな感じでしょ?何を言ってるかといえば、これまで言われてたルート、こうすればOKみたいなものってどんどん崩壊したり、型遅れになったり、嘘ばっかじゃんみたいな感じ。だったら、「もう、勝手にやらせてもらいますわ」ってなるよね。でも「勝手に」というのが難しい。夏休みの宿題でも「自由課題」というのが一番難しくて、なんでもアリだから、自由だけどお手本がない。そうなると途方にくれて、友達同士で「ねえ、何やんの?」とか探り合ったり。

でもよくしたもので、やっぱり面白い奴は面白いテーマを見つけてくるのですよ。よくそんなこと思いつくなーという。「はー、なるほど」と。そういう人らと交流してると、「はー、なるほど」と発想のヒントも増えるし、単純に面白いよね。

面白おかしくやっててください。笑う門には福来たる、です。

ということで、また帰国オフで会いましょう。

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