錦織千絵さんのインドの物語(4)~職場における日本とインドの相互理解促進企画

Pocket

Part1から続いてシリーズ四回目。

今回は、Part2で書いていただいた部分への質疑、
「「錦織千絵をショーケース」する企画を立ち上げようと決意」~この部分が今ひとつわかりにくかったんだけど、自分のケースをベースにしケーススタディ研修みたいな感じ?クライアントは誰を想定してるのかな?
に対するお答えを中心に掲載します。

**************************************
(以下、錦織さんの返信)

2つの方向性があって、

私のインド体験ビデオ
第一には、「錦織千絵ショーケース」企画=自分自身の生の体験を発信
錦織という一人の個人が旅行先、音楽のイベント先、録音風景、プロモ撮影、日々の活動、バンでのインド一周など実際に体験した光景を動画にして配信すること。

視聴者コアターゲットは日本人。インド人にも見てもらえたら、日本人のインドへの視点とかも理解してもらえるかと思うので嬉しいな、程度。

これはお金にはならないので趣味傾向になると思います。
自分が働いていた時、一番辛かった時もインド・インド人が理由だったけど、そのどん底から這い上がらせてくれたのも、インド・インド人なんですよね。その経験が増えてくると「あ~、いいな」ってなって、やっぱりインドにいたくなる。
そういう、「ああ、いいよね」みたいなことをビデオで感じてもらえたら、ギスギスした会議でもちょっとビデオを話題にしてもらってもいいし、下手すりゃ月営業MTGでのアイスブレークに社長に使ってもらってもいいと思ってます。この辺が有料教材として売れるようになったらいいけど、それはまだ現実的でないので考えてません。

まずは、大体の日系企業大手さんの社長さんたちは「孤独も孤独、超孤独」なことがわかったのでぜひ私のビデオを見て、くすっと笑ったり会社の話題にしてもらえたら、すごく嬉しいですね。そうしたら、きっと人脈ももっと広がってお金になる話に自然となる気がします。

体験型研修
第二にくるのが、「体験型研修」
これもコアターゲットは日本人。でもゆくゆくはインド人とセットでできればいいかなとも思ってます。企画はいくつか案としてあって、

1)インドからの手紙企画
これは私が作ったビデオみたいに、駐在員のお父さん(=研修を受ける方)が仕事場で一緒に働いているインド人とかと一緒に撮影した写真を同封してマーケットに手紙を出しに行く一部始終を撮影。手紙じゃなくてもインドのおもちゃとか、インドの洋服とか、ギフトでもOK。そのビデオを編集して日本(もしくはインドで帯同している)家族にサプライズで送る仕組み。サプライズでなくてもいいんだけど、それは臨機応変に。

で、撮影したビデオは必ず社内の朝礼または会議で放映してもらいます。会議の参加対象はインド人。そこで、日本人本人の家族の構成とか、今家族が日本でどうしているのか?とか話してもらって、もし可能であれば新卒からインドに来るまでの生い立ちなんかも簡単に英語で話してもらう。もし英語に抵抗があれば私が通訳で入ります。

インド人は本当に家族を大切にする文化がありますが、日本人は単身赴任でインドに来ていることが多いことと、家族が帯同していてもなかなか家族の話を聞くこともなかったりするので、日本人=仕事だけと言うイメージが強いようです。しかし、決してそんなことはなく日本人も家族のことを思って働いているし、帯同でインドに家族がいれば、家でのお父さんの顔と会社での顔が違うかもしれません。

普段、鬼軍曹のような日本人部長がホロリと見せる一面にインド人は興味津々だと思います。それで、きかっけを作りたいんです。話すきっかけ、相談しやすい環境を作るきっかけなど。小さなことでもいいので。

これ、もしかしたらインド人の若者社員とかにも受けるかもしれません。第一弾で作成した自作ビデオ「インドからの手紙」をインスタに今日アップしたらインド人の友人からメッセージがきて、「涙が出た」って。理由としては、自分も千絵と同じように両親や友人の元を離れてデリーに来ているけど時々とんでもなく実家が恋しくなったり帰りたくなる時があるからこのビデオみて心が熱くなったって、言ってくれました。
一人暮らしするデリーの社会人2年目ぐらいの青年とかには刺さる案件かもしれません。インドは広いので、電車で実家に帰ろうとすると24時間以上かかることも。そうなると週末で帰るって難しくて結局大型連休まで帰れないっていう以外にも日本と変わらない状況も最近は見られます。

2)初めてのおつかい企画
移動もタクシー、会社ではエアコンガンガン。自宅も高級マンション、夜も外食で日本食。そんな生活をしている日本人駐在員の方に現場ローカルで「おつかい」をしてもらう企画です。できれば、インドに着任して3週間以内ぐらいに受講してもらいたい。

待ち合わせは11時にコンノートプレース(インドでいう銀座みたいな場所)。
そこから制限時間2時間、1700円程度で買い物をしてもらいます。初級者はすでに用意されたリストに沿って日用品を購入してもらうコース。中級者には事前に用意してもらったリストで買い物。いづれにしてもコンノートプレースではなく、地元のマーケットにリキシャで出向いて交渉し購入してもらいます。参考マーケットリストとそこまでのリキシャの相場は事前にお伝えしておいて、2時間以内に集合場所に戻って来てもらう。2時間って相当難易度高いです。

でもここでわかって欲しいのがローカルで生活しているインド人が普段どんなところでどんな交通手段を使って、何を買って何を使って何を食べているのか?肌で感じて欲しいです。雨が降れば道路は水で溢れかえります。もし駐在員さんだったら車は付いているので車体の高い車に水が入ってくることはないかもしれませんが、その会社で働く従業員のインド人は朝からずぶ濡れです。そんな経験をしたら、雨が降った日には少し従業員への優しい言葉をかけようとか、雨が降った時に使える玄関用のマットを買おう!とかそんな視点も持てると思うのです。インド人はそんな人と働きたい。

何時間かかってもいいので、戻ってくる頃には腹ペコだと思うので、最高に美味しいインド料理屋に行ってビールを飲むか、私の自宅に招いてインド飯を食べてもらいます。そこで簡単なカウンセリングも兼ねて話を聞くことはできると思います。基本1名、最大でも2名までで一回のコースを実施するので、私もいざって時に動けるようにしておきます。もし不安であれば、マーケットまで付き添って行くこともしたほうがいいかな?と。まだこの辺はトライアル開始してないので、なんとも言えないけど骨折が治って動き出します。
この経験をビデオに収めて、社内のインド人に公開するって言うのも面白いかな。

3)会社の福利厚生企画
このターゲットはインド人の人事になると思います。
具体的には、日系企業の福利厚生の中に、社内旅行を組み込んでもらいたい。しかもただのピクニックとかではなく、「貸し切りバンでの旅」です。会社でバンを購入してもらってそのバンを使って旅行に行って欲しい。バンの中にはベットもあるので寝泊まりできる仕組みにしておく。旅先の宿とかは全部インド人人事と私で決めて日本人はその企画に沿って動いてもらう。日本人をおもてなしするんです、インド人的視点で。もしかして旅先は、従業員の実家かもしれない。家族の手料理を食べて一緒のベットに寝て、バンが疲れちゃえば電車で帰って来ちゃうかも。笑

インドのことであればインド人は得意中の得意なので、インド文化理解の旅行を企画実行してもらうのです。
この企画・実行・フィードバックを通じてインド人から日本人に感謝状を送る。普段のハードワークへの感謝状でもいいし、旅先でのハプニングの際に助けてくれたお礼の感謝状でもいい。もしかして、感動した日本人がこの「バンの旅」をインド人に逆実行して日本に連れてく田舎へ行こう!みたいなのもできちゃうかもしれません。で、これを全部会社の経費でやりたい。交通費、食費、備品の費用・旅行中の社員の人件費も全部会社持ち。「バン」を購入する費用がなければ、うちのバンドで使ったバンを使ってお試しトライアルも歓迎です。こっちは商業車用のドライバーライセンスがないと運転できないので、信頼できる運転手さんを今のうちに探しています。

インドは、本当に「なんでもあり、だってここインドでしょ?」ってインド人もよく言います。冗談大好きで交渉上手。ただ、やっぱり外国人である私たちへの無言の距離感は持っているので、そこは私の力の見せ所ですね。日本人が何を期待しているのか、インド人が不安になれば咀嚼して企画の段階で説明できるし、普段日本人に怒られてばかりのインド人がちっちゃい企画でまとめようとしていれば喝をいれ寄り添って一緒に考えたい。
こういうのも、話をしていれば人が寄ってきてくれるのでインドでは本当にビジネスチャンスがゴロゴロ転がってます。

**********************************
(以下、田村記)
このあたりの企画は、僕が一括パックでやっているのと発想は同じですね。実際に自分が動いてみるとローカル理解が飛躍的に進むという。

ただ、日豪の場合は、言ってもそう大差ないけど、日本とインドの文化的距離はそれに比べれば広い。それだけに、そのギャップを埋める橋もまた長くなるし、堅牢で且つ柔軟なものでなければならない。
また、その文化ギャップで泣いているのは日本人駐在だけではなく、インド人側も同じで、良くわからない人達(日本人上司)と一緒にやってるのがうざくもあるのでしょう。出来れば、同じ人間なんだって共通ベースがあるとやりやすい。

「相互理解をはかる」という一般解はそのとおりなんだけど、そんなスローガンを百年唱えても何も変わらない。日本人式に「今日は無礼講でいきましょう」とか言っても多分ダメだろうな。

そのあたり、入っていきやすく、且つ収穫量が多い方法論はなにか?心理的抵抗感や労力という投下資本に対してリターンが大きいアクティビティは何か?ですね。これは現地に長いこと住んで、日印両方の心情を理解してないと作れないだろうなとは思います。

僕の一括パックで、(オプショナルだが)シェア探しをやるのも、単位時間あたりの効率の良さですね。これだけ短期間に集中的に、且つランダムにローカルの人と話す機会というのはそうそうないので。これを最初から「ローカルの仕事探し」とかでやってしまうと、収穫に至る前に心が折れがち。ある程度好意的対応が予想されるような場の方が最初は望ましい。
かといって、エクスチェンジのように、最初から日本語をやりたい人、日本に興味がある人とフィルターをかけてしまうと、下駄はかせてもらってるから楽ではあるが、それだけに自信もつきにくい。ある程度好意的な対応が予想された方が良いのだけど、仕組まれたように好意的過ぎてもよろしくない、という匙加減やレシピーが難しいです。それのインド版ということですね。

Pocket

コメントを残す