菊川さん訪問 from NZ

被爆回避でAUSへ。2年のWHのあとアイリッシュの彼とNZへ。永住権獲得戦争も数えて7年目、IELTS8点をマークするも、なおも奮戦中。

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菊川さんは、6年以上前のAPLaC卒業生で、体験談もあるし、自分のブログもあります。NZが長いので位置的に直に会った人は限られるけど、APLaC界隈では有名な。

こういうのって書くの難しいね。僕は彼女が日本を出る前から現在に至るまで、コンスタントにメールや相談などのやりとりが続いていてます。WH初期には生活難に陥った彼女にお金を貸したり、「突然ですが彼と別れました」「ふーん、またか」という破綻メールももう何度もらったことか(結局常に元の鞘に収まっているのだが)。つまり、もう7年以上やってるシリーズもののドラマみたいなもので、「主な登場人物」「過去のエピソード」「前回までのあらすじ」がバッチリ頭に入ってるから、「最新作」を観るような感じで臨みます。

しかし、そんな僕の視点で書いてしまうと、「そもそも、誰?この人」と初見の読者を置き去りにします。他のAPLaC卒業生達においても、人によって知ってる度合いも違うし、「ここから先を知りたい」というレベルも違う。どこに視点設定して書けばいいんじゃ?って話です。

でもこの種の話は、本格的にAPLaC卒業生同士を引き合わせるA僑を始め、実際にも日本や世界各地でオフをやり始めて数年、時間が立つほどにでてくる問題です。僕だけではなく、皆に共通する問題です。
オフなどにおいて、いつも僕がやいやいうるさく言ってること、あんまり仲間ノリや常連ノリになると閉鎖性やタコツボ化が起き、新しい人が入りにくくなる。常になんの予備知識もない初めての人が気楽に参加できように心がけてないと、そのネットワークは死にます。新規がなければ先細りですからね、もう生命線だといっていい。

しかし、そうかといって、文中に誰かが登場するたびに、いちいちゼロから説明するのもかったるいのも事実。どうしたもんか?ですね。ま、でも、必要あるところに学びありですから、徐々にカンドコロもわかってくるでしょう。てか、結局は、手間を惜しまず丁寧に、何度も何度も何度も同じ説明をし続けるしかないんだと思いますけど。

さて、全然知らない人に説明すると、菊川さん、もとは同志社博士課程で学者のタマゴでした。タマゴにヒビがはいって孵化する寸前くらいのところまでいったんだけど、一念発起でお金も無いのにWHで来ました。理由は、日本社会の「ある種の限界」を身にしみてってことだと僕は理解してるんだけど、ひとつは大学アカデミズムの限界、もうひとつは被爆懸念について自由闊達に語れない「やわらかなファシズム」みたいなうざったさです。ま、わかるよね。
AU体験談では深窓の令嬢が駆け落ちして世間の荒波で苦労しまくり、しかしアイリッシュのパートナーとともにたくましく細腕繁盛記的に頑張ってる部分になります。AU2年のあとNZに移り住み、パートナーがワークビザをゲットし、永住権への王手をどうかけるかって局面。当然それまでに紆余曲折あるのですが、ありすぎて語れないくらい。
NZ時代にIELTS8点をマークするも、出来るようになればなるほど辛くなるのが本物の英語世界で(相手の期待値もあがるからね)、日々大変(わかるわー)。NZの某日系企業に事務(秘書)職として入るも、日本企業独特の殿様文化的(上司絶対的な)なカルチャーに馴染めず、ついに退社、いま裁判をかけるかどうか弁護士と協議中。

そんなさなかの来訪ですが、なんで?というと、久しぶりに帰省しようか、安いチケットもあったし、じゃついでにシドニーにも「里帰り」しようかという経過です。ところがぎっちょん、ご存知のとおり台風で関空がワヤになってしまい、帰省はとりやめ。シドニーだけ残って、とりあえず来た、という。

来られた初日にLillyfiledというAPLaCのGlebe事務所からほど近いところのB&Bまでお迎えにいって、なんか食べましょで、よく利用するFivedockのFilicudiというイタリア料理屋さんに行きました。ここのブルースイマー(ワタリ蟹)をまるまる一匹使ったパスタが秀逸なので。

菊川さん、「今日はWH時代(累積)700ドルも貸していただいたお礼としておごります!」とか言ってくださったんですけど、「出世払い」というのはまだ出世しとらんやろ、NZ永住権確定してからでいいよと、そこは割り勘で。
ただ、出世でいえば、確かに出世しましたよねー。英語的には日本を出る前に既にIELTS6点取ってるくらいだったから、6が8になったという出世はありますが、それ以上に金銭や社会的に出世しましたよね。なんせWHシドニー時代は飲みたくてもついにコーヒー一杯飲む余裕もなく、てか財布の中にはコインしかなく、札が無いとか(笑)。体験談でも書いてあるけど、最初のシェアが9時門限というありえない状況、しかも時給8ドルのジャパレスで、9時前に帰ってこないといけないから稼げないわ、賄いももらえないわで窮乏→借金。でもって、もう出なさいよ、そんなシェア、今一泊10ドルキャンペーンやってるよって教えたBalmainのバッパーに移動したところで今の彼と出会えたという。あれだけ英語が出来るのに、数百枚レジュメを配ったのに、まるまる1年ローカル仕事は見つからず、しかし見つかったときは同時に3件天から降ってきて、世の中の摂理を知るとか。
そんなシドニー時代を僕はメインに知ってるわけですが、彼女からすれば、そんなシドニー時代を今6年以上の歳月を経て振り返るいい機会になったようですね。「思えば遠くに来たもんだ」的な。

翌日も時間あいたんでお茶しませんか、こっちも空いたしいいよってことで、来たばかりの理佳子、野沢両名を学校終わった頃に拉致してカフェに行って話してました。

ただ話といっても、そうまとまった話をしたわけではないですよね。なんせもう脚かけ7年の連ドラですから、ただの世間話に終始してました。ま、友達なんかそんなもんだと思います。「それでは前回からの新しい伸展に着いてご説明申し上げます、お手元にお配りした資料の1をご覧ください」なんてやってるわけでもないしね(笑)。

あー、書いてて思ったんだけど、彼女、クールというか、喋りにあんまり抑揚や起伏がないのですね。女の子独特の「箸が転んでもおかしい」的な、(娘的にもオバサン的にも)「きゃー」的な部分がない。そういう人は別に珍しくないし、特に専門分野の優秀な実務家なんかに多いですね。「(もし○ということになれば)まあ、首都圏で300万人くらいは死ぬでしょうね」とか凄いことを表情も変えずにぼそっという。アカデミズムも実務も言葉の意味性を厳しく吟味するから、意味のない「感情言語」(きゃー、やだ~的な)言葉はあまり発しない。

ただ、菊川さんの場合、もともとがそういうタチなんでしょうね。
非常に怜悧なイメージをもちそうなんだけど、実際に会うとなんか茫洋としてて、のほほんとしている雰囲気があって、しかし言葉の意味は凄い。それは前に彼女にいったカウンセラーとしてやっていくにはドスが効きすぎている部分でもあるし、たくまざるユーモアがある部分でもあります。
前者においては、「IELTSですか、それは勉強すればいいだけですよね」で軽く切って捨ててしまう恐さにつながる。確かに、出来ない言いわけをぎゃーぎゃー喚いてたって話は一歩も進まないから、そんなの言うだけ無駄。前に進む作業をするならそこらへんは一切カットせな。彼女はそれが出来るけど、普通出来ないから、そこで怖がられるだろうなと。これは、(無駄口が少ない)原点キャラが、アカデミック修練によって際立ってる部分だと言えます。

でももう一つある。関西独特の呑気な天然ボケ的な言い方につながる点です。「昨日、近所の猫が迷い込んできましてね」というくらいの口調で、「いや、昨日、自宅が全焼しちゃったんですよね」と表情も変えずに軽くいう感じ。「えー!」みたいな話を呑気な口調でしゃべるから、なんかおかしい。「凄いことを凄くないように喋る」ってやり方、関西にあるよな。
そのあたりが、恐いんだか、面白いんだかよくわからなくて、それが彼女の面白さでもあります。

ただそれが実生活上でも損する局面もある。それが直近の職場で即座に言い返せない、大げさにさめざめと泣いたりすれば問題化出来るのに、表情も変えないから、それで通ってしまってあとで辛くなるという、攻め込まれ属性。もうひとつは、これは今回話題に出てた、西欧文化のソーシャル部分、パートナー君は誰とでも仲良くなれる、店で知らない人と会ってもすぐに盛り上がれる、彼女はそれが出来ない。

いわば、内容空疎で無意味な言葉の応酬をして盛り上がるってことが出来ないんだけど、これまでそんなことをする必要も無かったんだとも思います。
別にそれでいいんじゃないか?って気もしますね。それに、「やだー」とか「きゃー」とか言ってる菊川さんを見たら、なんか変わっちゃったな~って寂しくなるかもしれませんね。そのままでいいっす。

二回目のカフェで。のほほん的な雰囲気が垣間見えます。

初日の写真なんだけど、なぜか妙に就活用の写真のようにリキが入ってて、菊川さんじゃないみたいな感じ(笑)。いや、ビジネス的にはこのくらいの方がいいんですけどね、ニュースキャスターみたいで。

 

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