ユニコーン論~「すばらしい日々」

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以下の記事はオンラインサロンで書いたものの一部です。たまにお裾分け的にこの公開ブログにもUPしてます。サロンのなかの趣味スレッドで、今で言うなら推し活のように好きな作者や作品を趣味丸出しで書いてるのですが、最近とりあげたのがユニコーン。4回にわけて分説したうちの最終部分です。

以下コピペです。
なお、サロンは特定少数の閉鎖空間なので、僕が曲に歌詞や解説を書いたものをクラウドに上げてシェアできるようにしてますが、ここはオープンなので、YouTubeなどのリンクで済ませまてます。

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ユニコーン論 第四回 名曲編

ユニコーン特集も今回で4回目。おそらく最終回になろうかと思うのだけど、今回はいわゆる「名曲」です。一回目にユニコーンの概括的特徴(一見チャラく見えて、実は侮れない)、二回目にサウンドの要の阿部氏による凝り倒したアレンジ、三回目に笑えるコミカルな曲と書いてきて、ようやく名曲編です。

何が名曲なのかは人により、好みによるのですが、ここでは当然僕の好み。ただし、一般的にもそう言われてもいます。

ここで示すのは3曲。「すばらしい日々」「雪が降る町」そして「Maybe Blue」です。
時代的にいえば、「Maybe Blue」はデビュー当時のもので、初期の代表曲。あとの2曲は解散間近の最終局面です。「すばらしい日々」が解散直前の、「雪が降る町」がその一つ手前の曲です。

例によって歌詞全部を書き込んだMP4をDropBoxにいれておきます。

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すばらしい日々

真打ちから先に書いてしまいましょう。名曲度でいえば、この曲が突出しています。もうこの曲一曲出してるだけで、ユニコーンは僕のなかで永遠のフェバリットですね。そのくらいの曲。

実際ミュージシャンの間で評判が高いらしく、この曲をカバーして歌っている(自分のアルバムに収録してる)人は多い。矢野顕子、甲斐よしひろ、宮沢和史(島唄のBOOMの)ほか、Wikiで数えてみたら15人もいる。ちなみに後で述べる「雪が降る町」は7人にカバーされている。かなり多いと思う。

何がそんなに人(特に同業者)を惹きつけるのか?といえば、まず歌詞。次に不思議に心に残るメロディラインです、

歌詞ですけど、これはある意味、かなり達観した人生ソングであり、一生を生き抜いた人が天国へ向かう道すがらに「いやー、でもそうだよなー」と回顧するようなレベルで、視界の広さが半端ない。書いてある内容は、それだけ読むと悲痛でもあるのだけど、それを「すばらしい日々」と言ってしまえるようになるのには、相当の時間が経たないとダメじゃないかなー。

この曲が発表されてしばらくした後(解散したあと)のインタビューで、インタビュアーが「歌詞の一行と一行の間に、語られてない数年分の時間があり、その(書かれてない)情報量がすごい」と言っていたけど、まさにそんな感じ。

20代後半から30代になり、仕事も忙しく、充実していくにしたがって、過酷なくらい時間不足になっていく。それはバブルからバブル崩壊時期というこの曲が発表された時期のリアルタイム的状況にもそうだし、僕の人生局面でもそうでした。「とにかく時間が足りない」「人のいないとこに行こう」というのは、絞り出すような本音レベルでそうでした。
そうして忙しくしていくと自分がどんどん削られて、「一緒にいる時間がない」「たまに会っても話題がない」「若いつもりが年をとった」「暗い話にばかりやたら詳しくなったもんだ」となっていく。

ここまではある意味普通で、愚痴のように聞こえるけど生活実感、人生実感でもあるでしょう。ここで終わっても別に一曲になるのですよね。単身赴任の悲哀を描いた「大迷惑」、仕事ばかりで恋するヒマもない「働く男」なんかはこのレベルで曲が終わっている。それでも十分に成り立つ。

しかしこの曲は「その次」があるのですよ。ここが凄いから、この曲を、日本のロック史に残る名曲に押し上げているのだと思うのです。

どっかの時点で吹っ切ったんだと思われます。
ここが「語られぬ数年」なんだろうけど、「懐かしい顔も、笑い顔も」「すべてを捨てて僕は生きてる」「朝も夜も歌いながら」と自分の道に完全没入するようになります。そうなる過程で、これまでの親しい人達や環境その他の人生資産ともいうべき大切なものを全部失うわけです。それでもやる。

でもね、そういうことだと思うのですよ。「すべてを捨てて生きる」。
若いうちは、まだ定まってないし、似たような境遇の仲間でワイワイやってるだけで充実する。だけど、だんだん自分一人の人生を形にしていかないといけない。大学仲間でつるんでて楽しかったのが、やがて就職を機にバラバラになり、入社後の同僚もやがてバラバラになり、、、と、一人ひとりの人生をひとりぼっちで歩いていかないといけないわけです。

そして、それは自分のやりたいことをやっていこうとすればする程、どうしてもそうなっていく。

この曲は、ユニコーンのドラマーが腱鞘炎かなんかで脱退せざるをえなくなった頃で、デビュー前からの戦友と別れを告げる意味で書かれたとも言われてますが、そんな個人的な局面ではなく、普遍的な人生ソングとして誰にでも通じる。

僕の場合は特に顕著で、ちょうど日本を出てオーストラリアに行く頃で、一層身につまされた覚えがあります。「今の自分にぴったりだ」「なんでここまで分かるの?」って不思議な気持ちがするくらいでした。あの頃も、まさに「すべてを捨てて」来たようなものです。日本に残してきた親しい人達や、居心地のよい環境を全部失って、知らない異郷で頑張って生きていくしかない。
しかし、それは自分がそう望んだことであり、望んだことであるゆえに暗くはない。でも寂しくはある。「非常にポジティブな孤独」というか。

別に海外にいかなくたって、あるいはバンド仲間がやめなくたって、どんな道をいこうが結局は自分一人になるのですよね、この人生。そこで感じるのは、ポジティブな寂しさでしょう。それを味わいながら、一人ひとりが、成熟し、自立した個人として成長していくのでしょう。

ただそうは言っても感情的に整理がつかないんですよね。
がむしゃらに前に進んでいくんだけど、でも故郷を思う気持ちのようにときどき出てくる。
「それでも君を思い出せば、そんなときは眠る眠る」「ときどきはぼんやり考える」という歌詞がそれで、この「眠る眠る」というのはわかります。僕もオーストラリアに来たときはやたら昼寝しまくってたけど、今から思うに、感情の整理をつけるために眠っていたのかもしれないです(寝ると頭の中の記憶がデフラグのように整理されて安定すると言われるし、実際そう)。
「ときどき」「ぼんやり」考えるのもそうで、そんなに精密に思い出すわけではなく、なにげない友の仕草や声がフラッシュバックのように一瞬蘇るとか、「今頃何してるのかな」とか、そんな流れ行く思いとして思い出すだけです。

そして締めに、「君は僕を忘れるから、そうすればすぐに君に会いに行ける」というフレーズが来る。
この謎掛けのような深い歌詞が、多分多くのミュージシャンやリスナーの心を打ったと思うのですが、一見すると不可解な歌詞です。なんで忘れられたら、いつでも会えるのか?

これはやっぱりそれぞれが個人として充実自立すること、これまでのようにたまたまの環境やめぐりあわせツルんでいて、それで仲良くなってるとかではなく、お互いにしっかり自立した個人になり、大人になっていくこと、その成長過程で自分に没入するから一旦これまでのことは忘れるのですよね。

「君は僕を忘れるから」というのは、君も僕と同じように自分の道をしっかり歩いていくだろう、その過程で過去の僕との時間などは忘れるだろうし、そうでなくてはいけない。でも、お互いに(同窓会のように)過去を共通原資にして付き合うのではなく、一回それを忘れるくらい自分の道を進んでいって、それぞれに自立していけば、あとはもう完全に自由だよ、自由にいつでも会えるよ、「そうすれば、もうすぐに君に会いに行ける」と。

別に記憶が全部なくなったわけでもないし、親愛感が消えたわけでもない。ただ誰もが一回ちょっと吹っ切らないとならないよね、吹っ切って一本立ちして、そうすれば完全自由になるよね。

僕も最初に来たときは半年留学でしたけど、次は永住権取って来たわけで、それから先は5年以上日本に帰らなかったです。ある程度カタチにしないと帰るに帰れないというか、起業でもなんでもとりあえず売上百万いくまで帰らないとか、行ったけどダメでしたーじゃ、どの面(つら)下げてって気分もありましたし(笑)。こっちでの生活が確立すればするほど気楽に日本に帰れるようになったんですけど、そういう気分ってあります。

というわけで、非常に情報量が多い(しかし言葉足らずな)歌詞で、最初聞いたときは意味がわからないんだけど、でも直感的には「わかる」という不思議な感じでした。だんだん上のように言語化できるようになったけど。

ユニコーンの武器であるコミカルな滑稽な感じはこの曲には一切ないです。百パーシリアスなんだけど、それだけに重い曲でもあります。軽く歌ってるけど。

一方サウンド的にも面白いです。
冒頭から最後までなり続けるエレキギターのアルペジオのリフのようなフレーズですが、クリーンサウンドではなくディストーション(濁り)がかかってます。またギターも、ボーカルもわりと強めにエコーが入ってます。これはリバーブかな(正直違いがよくわからんのだが)。それがいい効果を出していて、ギターのフレーズは、鳴り響く教会の鐘の音のような感じがします。また、ボーカルも、どこから聞こえてくるのかわからない中空感があって、これはやはり全てをやりきって天国に登っていくとき、「ああいい人生だった」「すばらしい日々だった」と噛みしめるような曲なのかなー、そういうイメージなのかなという感じすらしますね。

またアレンジも少なく、前回までに述べた凝り倒した部分があんまりないです。
ギターとボーカルの浮遊した感じとは対極的に、ベースやドラムはズンズンズンと地を這うような力強さとシンプルさで延々繰り返します。この構造が最初から最後まで続く。
また、ボーカルが終わった後、さらに一分くらい延々と同じパターンで演奏が続くのですよ。20秒くらいで曲が終わってもよさそうなんだけど、異様に長いのね。それは多分、人生が延々と、淡々と続いていくことの暗喩でもあり、消化しにくい歌詞内容を消化してもらうための時間なのかもしれないです。そのくらい後奏が長いんだけど、長くてもイヤにならない。余韻に浸っていたいという気になります。

ボーカルのメロディラインですけど、これは不思議なメロディですよね。すっと耳に入るし、すぐ覚えられるんだけど、類例がない。アレに似てるってのがない。起伏の少ない、いっそお経のような平板なメロディであり歌い方なんだけど、感情移入しやすいメロディです。
「すばらしい・日々だ・力・あふれ・全てを捨てて・僕は生きてる」とゆっくり段々と音程があがっていき盛り上がっていくところとか。しめの「そうすれば」「もう」「すぐに」「君に」「会いに行ける」という明るく吹っ切れたカタルシスの部分とか、カラオケで歌っても気持ちいいですよ。

ちなみに奥田民生のインタビューで、作ったときは「なんという傑作を作ってしまったんだあ!」と一人で盛り上がっていたんだけど、それほど売上が伸びず「あれ?」と思って、ショックだったと。実は、その前の「雪が降る町」も商業的にはイマイチでガーンとなったらしくて。
でもね、そんなにブレイクするような曲じゃないですよ。じわじわ染みてくる曲なんで、ファンはすごく多いと思うのだけど、現象的にドーン!はないだろうねー。

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長くなったので、あと簡単に行きます。

雪が降る町

これタイトルでニヤリとしたのですが、「雪の降るまちを」という戦後のヒット曲があるのですよね。検索してもこれとの引掛けを書いてる解説はなかったんだけど、なぜ思いつかないのかな。
この古い曲は、僕の一番幼い頃の記憶にあります。幼児心にもいい曲だなーと。初出が1952年だから戦争終わってまだ7年目ですよ。でも聞いたことあると思います。「みんなのうた」でも流れたらしいし。
YouTubeでは色々あるけど、ダークダックスのやつが個人的には記憶に近い。

でもこのメロディラインはすごいよ。印象的なメロディなんかそうそう思いつくものではないから、一曲に一つあれば御の字だけど、これは全部そう。特に展開部(遠い国から~)のメロディ、さらにもうひとひねり「あたたかき~」とあるしね。よくこれだけ惜しげもなく詰め込んだなーと。

話戻ってユニコーンですが、これは年末ソングです。なんでもクリスマスソングがないから作ろう、タイアップで売れるかもとか(とかく最初から売れることには真面目に貪欲だったらしい)、クリスマスだと終わってしまうと使えないから年末にするとそのあとにも使えるからとか、冗談なのか本気なのかわからない理由で年末ソング。

だけど、これ年末ソングとしては最高ですよ、僕のなかでは。
曲構造は「すばらしい日々」と同じで、シンプルなサウンド構造が一貫してつづくところ、笑いの要素はないこと、アレンジもそれほど凝ってないこと、つまりあんまりユニコーンらしくないんだけど、それだけに素の音楽性の高さが目立つという。

この曲、たまたま自分が年末時期に聞いたということもあり、すごいフィット感があるのですよ。もう本当に「日本の年末(それも都会の)」の感じがよく出ている。

僕も年末感が好きなんですけど、なにが好きかというと、だんだん人も車も少なくなっていって、仕事納もして、物質的にも、スケジュール的にもスカスカになっていって、鬱陶しくなくなってくる感じが好きです。
だいたいいつも、あれやんなきゃとか、誰それとどうしてとか、どこにいっても混んでるしで、うんざりしてるんだけど、そういった物事がちょっとずつ減ってきて、ほっとする。そして、なんというのか透明感のある時空間になります。12月の31日は特有に忙しいんだろけど、仕事納め以後の29-30日あたりって、ぽっかり空白感があり、それがイイですよね。

その感覚がこの曲にはよく出ています。
最初は「だから嫌いだよ、こんな日に出かけるの」「人がやたら歩いてて」「用もないのに」というボヤキから始まる。「用もないのに」なんて他人のことなんだから分かるはずもないし、用があるから歩いてるんだろうけど、うんざりしてるから八つ当たりのように思ってしまう。だけどその感じはよくわかる。

それがだんだん年末スカスカ感で癒やされていくというか、のんびりしてくるのですね。
「あと何日かで今年も終わるから」「たまには二人で」「じゃま者なしで」「少し話して」「のんびりして」という。
そして最後に、「世の中は色々あるから」「どうか元気で」「お気をつけて」という善良な日本人の善良な挨拶になっていって終わる。

でも「雪」そのものは歌われているけど、別にそんなにモチーフにもなってないし、重要な役目も果たしてないです。「ザ・年末」というタイトルでいいじゃんって思うのだけど、それじゃカッコつかないから、「雪のふるまちを」という往年の名曲になぞらえたのかなーという気もします。

この曲が名曲なのは、ゆっくり自宅の風呂に入ってるような、地に足のついた癒やされ感があるからだと僕は思う。温泉のようなリゾート的非日常ではなく、あくまでも日常。でも「ふうー」と吐息をついて、リラックスできるような感じ。

日本とは、日本人とは何か?といえば、僕はコレだろうと思いますね。混雑渋滞ストレス、仕事ストレスがだんだんと減っていって、息がつけるようになってきたら、本来の人の良い地が出てきて、誰とも知らぬ他人に「どうかお元気で」「お気をつけて」とか言ってしまう、人の良さです。

年末ソングなんてジャンルがあるとは思いにくい(もういくつ寝るとお正月、くらいかな)のですし、こういうエッジの効いてない丸くて柔らかい曲が大ヒットになるとも思えず、思うほど売れなかったというのもわかります。しかし、それでも、これはいい曲ですよ。これも類例がないです。

音的には、これもビートルズを彷彿とさせる部分があります。一回目を書いたあとに調べたら、彼らもやっぱりビートルズフリークでかなり影響されたと言っているけど。この曲は、なんとなくレベルだけど、最初の方はMagical Mystery Tour、途中のゆっくりしたテンポのボーカルは、All you need is Love、あるいはWith a little help from my friend あたりの感じに似てます。なんとなく似てる程度のレベルだけど。
ああ、それとわりとスカスカな音構造でのんびりテンポで進むから、ベースラインがよく響いてます。ほとんどリードベースみたいな。このベースが目出つあたりが、ポール・マッカートニーのベースが目立つビートルズに似てる感じになるかもしれない。

Maybe Blue

(いくつかあるけど、これは歌詞が書いてあるから)

これは初期の曲なんだけど、全くユニコーンらしくないです。というか、ユニコーンらしさがまだ出来てない時期のものなのでしょうか。
デビューアルバムに入っているのだけど、まだ素材とか、練習曲みたいな感じなのかなー。もともとバンドブームもあり、青田買いみたいにある程度上手くてモノになりそうだったら契約するという夢のような時代で、ユニコーンもそうやってデビュー。デビューしてから色々教わって貪欲に吸収していったそうです。

なので今から聞くと、ユニコーンがやってるようには聞こえない。だけど、曲それ自体としては良いです。歌詞の内容は、おそらくは不倫純愛か、それに近い刹那恋愛っぽくで、メンバーの実体験からくるよりは、想像でこんな感じって習作的に作ったような感じがする。にもかかわらず、言葉選びがうまいし、全体の曲調と歌詞が非常にマッチしてます。

ぱっと聞いた感じでは、「すばらしい日々」「雪が降る町」よりもキャッチーで、わかりやすいです。ただ、それだけに技巧に過ぎる部分もあるけど、最初から技巧だと割り切って作ってるし、その完成度が高いから名曲にしました。

サウンド的には、イントロのキーボードがいいです。シンプルだけど非常に印象的なメロディを弾いていて、これがこの曲全体を通じてキーのメロディになります。どっか儚げで、寂しげなメロディ。
これに対し他の音は結構ハードなロックです。軽快なドラムが目立ちます。あと、サビの「Maybe Blue」ってところのバックのオブリガードがユニークです。主旋律とは全然関係のない、まるで土木工事で大きな階段を掘ってるかのような段々メロディ。確かにプロ勧誘されるだけあって、新人にしては上手いですね。これだけ音がハードなんだけど、キーボードの悲しい旋律が全体を染めているのが面白く、またよく出来てると思います。

歌詞ですけど、架空の物語と割り切ってるからなのか、かなり推敲したと思うのですが、小説を読んでるように情景が浮かび上がってきます。「無理に見せる笑顔少し前よりやつれてる」「声にならないつぶやきは唇の動きでわかる」とか、「泣き出しそうな窓際のブルー」「変わらなく曇った街」とか。

これは不倫ぽいのは、「せめてあと一時間だけ」「ずっと許されない恋でいい」あたりで分かるんだけど、だからこれはロックというよりは演歌ですね。「あなた、死んでもいいですか?」という演歌本家のドロドロ濃度はないけど、系統としてはそれ。
ただ、「ずっとそばにいて」という代わりに「飽きが来るほどそばに居て」という一風変わった言葉遣いに後年のユニコーンの片鱗を見ることが出来ます。「飽きが来る」ってこの局面で使うか?というね。でも、仮に望みがかなって一緒になれたとしても、やがてうんざり倦怠期になってしまうのだろうなーとわかりつつも、でも、そのうんざり倦怠期になってみたいという二重三重の意味があるわね。

ところでMaybe Blueってどういう意味なんですかね?なんとなくの和製英語の語感一発だと思いますけど、意味わからないです。Maybe(かもしれない)もなにも、明々白々にブルー(憂鬱)じゃないですか。まあ深くは問うまい(笑)。前に紹介したオブリガードが大袈裟な曲の「Sugar Boy」も意味不明で、多分、奥手でウブな男の子、チェリーボーイの意味かと思うのですが、Sugar Daddyはあるけど(パパ活のパパみたいな存在)Sugar Boyはないような気がする。まあ、深くは問うまい(笑)。

以上3曲でしたが、バンドでやるなら、Maybe Blueでしょうねー。まとまりがあってライブで受けそうですし。それに比べて、素晴らしい日々と雪が降る町は難しいです。起伏がないから盛り上がりにくいし、見せ場もない。特に雪が降る町は、やってて間が持たなくなりそうで、よくこういった曲をまとめあげて形にしたよなーと感心します。

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