そういえば最近オフのお知らせばっかで詰まらんので、あげておきます。もっぱらサロンにばっか書いてるので、適当に引っ張り出して載せます。2ヶ月前に書いたものだけど。
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時事ネタなんだけど、時事のスレではなくエッセイの部屋で書きます。事柄そのものよりも、扱われ方にポイントがあるので。
ご存知かと思いますが、1月末頃にスシローの客が(詳細は知らんが、たぶんアホなガキ=高校生?)醤油差しや湯呑、さらに回転中の寿司に自分の唾液を付着させたりという、ひどい「いたずら」を行い、またそれを撮影した(それは別の人間だが本人との関係は不明)ものをSNSにUPして炎上し、スシローも対応を余儀無くされ、それによって株価が暴落し、「一晩で168億円がぶっとんだ」と言われいる事件です。
ま、「事件」というほどのものかどうか、昭和の昔だったら「いたずら」であり、ガツンとぶん殴られて、説教されて、あるいは親呼んでってレベルの話だと思いますけど。
でね、「一晩で168億円」というのが独り歩きして、それだけ聞くとひでー話だな、スシロー可哀想だなとか思ったりするんだけど、あれ?とも思った、
英語で、”On the second thought”っていうけど、直訳すれば「二番目の考えによると」であり、こなれた言い方をすれば「よく考えたら」という意味。で、よく考えたら、それって変じゃないかと。Twitterとかブログとか、それだけで一直線に怒りまくって、加害者は地獄に落ちろ、スシロー大損害って感じで書きまくってる人とかいるんだけど(結構有名人や識者のような人もいっている)、そうなの?頭悪くないか?
おかしい点はいくつかあって、一つには、株価が暴落したとかいっても、また上がるだろってことです。このたぐいのことで一時的に株価が下がることはあります。だけど、基本一過性のことであり、しばらくするとまた何事もなかったように進むのではないか。少なくとも、経営の抜本的な部分(売上が悲惨なことになってるとか)ではない。
で、結局どうなったの?と思ってあれから1ヶ月弱くらいたったので株価チャートを見たのが(2月末頃)、冒頭の画像です。スクロールアップして見るのが面倒だろうから、もう一回出しておくね。
直近1年弱くらいの株価の動きを見てると、いつそのスシロー事件があったのかわからない。1月末(正確には1月29日)というのを後で知って、そこだけ注目すると、なるほど多少は落ちている。でも1年単位で見てさえ、その数倍の暴落をしている局面は他にもいくらでもある。また、1末あたりに落ちたとしても、すぐに上がっている。その後上げ潮になって、2月の直近にまたひときわあがって(スシロー事件も飽きられた頃)、結局ここんとこの最高値になっている。
ちなみに今書いている4月24日時点で、3ヶ月スパンで見てみると以下の通り。
だから結局損害なんかあるの?です。そもそもそんなに株価にすごいことが起きているのか?です。
さらに、一気に5年スパンで見ます。
5年スパンでみると事件で下がったのは、ほぼ消えてしまいます(1ヶ月単位の目盛だから)。
でも、「一晩で168億円」とかいう表現をされると、ものすごいことのような気がするけど、それ印象操作でしょう?株の世界で168億なんか鼻くそでしょうが。
それに168億円が1兆円下がろうが、それがスシローの損害に直結するわけではない。スシローが全株式を自分で持っている(自社株買い)していて(自己株式取得制限のある商法上違法じゃないかな)、且つ暴落した時点で全部売るというアホなことをしたら、たしかにその損害は生じるけど、スシローの株を持っているのは多種多様な株主です。彼らの資産価値は毀損したかもしれないけど、それだってその時点で売ったら、の話です。
だから変なんですよね。この程度の事件で「一晩で168億円」という表現をするのは?
これ、誰が言い出したの?
大体なにかあって株価が下がったら、いちいち損害だ、加害行為とかいうなら、会社の不正行為を告発したり、逮捕したり、捜査が入ったり、あるいは内部告発するとか、被害消費者が集団訴訟を起こすとか、そんなのも全部該当することになる。街の噂程度のことでも株価は動くし。そんなんでいちいち賠償請求とかされてたら、怖くて何も言えんでしょう。東京地検特捜部なんかとっくに破綻しているかもしれない(ま、国家賠償法で国が払うから検察庁が独自に破綻することはない。だけど財務省から国庫支出を増やす元凶だと目をつけられて、どかんと予算を減らされて事実上開店休業になるかも、、って冗談です)。
そして大事なのは、その都度いちいち「一晩でいくら損害」とかいう言い方はしないでしょう?
だけど、今回はした。
なぜしたのか?です。
そこはわからんけど、もっとわからんのは、日頃賢さで売ってるような識者とかも、これにころっとひっかかってる感じなのよね。なんでこんな簡単なことに気づかないのか?気づいてやってるのか?(どっかから金持ってるとか、そういうと大衆受けするからとか)。
そこで早速あれこれ推測が出てるのですが、
一つには空売り疑惑です。先に空売りしておいて、炎上~暴落させて儲けようという。ま、それはたしかにあるかもしれないけど、しかしそれをやるにしても不確定要素が多すぎますけどね。そんなことしなくて、そうやって儲けてる連中は、もうバリバリインサイダー情報ネットワークがあるし、「○月○日特捜部のガサ入れがある」「特効薬の発表がある」という内部情報を受け取ったり、必ず記事になり、必ず下る(上がる)というネタでやるでしょう(今回は結果論的にいえば、一瞬ちょっと下がったときに買って、またすぐに売ったら儲かったよね、結果論だけど)。
もう一つは、監視社会を加速するために、こういう事件があるから24時間監視体制をしなきゃいけないのですよーという流れにもっていきたいという話。これも普通にあるでしょう。だから意図的に感情をかきたてるような騒ぎ方(報道の仕方)をしたのかもしれないです。しかし、この一件について事前に入念に打ち合わせをしてってことはないでしょう。多分、政府筋とか、監視カメラその他の器具の販売メーカーであるとか、セキュリティ会社とか、そこに天下りする公務員とか、そのあたりの利権集団が常におって、日頃から世間を啓蒙するようにお願いしますよって話は、まああるかもしれません
でも、ま、そのへんは「普通の話」で、あんまりインパクトはない。
一番、あれ?と思ったのは、なんでこれに限って、「一晩で168億円」が独り歩きしたのかであり、それに「あれ?ちょっと待てよ」という知的ブレーキがかからなかった点です(指摘した人は沢山いるかもしれないけど、流れとしては少なかったように思います)。
ところで改めて5年チャートを見てると、論じるべきはもっと他の点。なんでコロナ期全盛時期に株価が上がっているのか?です。もっかい5年スパン図を出すと、
コロナが騒がれ始めてからぐわーと上がって、だんだん退潮していくと下がっていく。なんでじゃ?あの頃、飲食業界は大打撃だったんじゃないのか?
まあ、これもいろいろ解説はあるのでしょう。日銀がEFTで買いまくってるから上がってるんだとか、給付金などで一瞬バブル状態になったとか。また、今の日本市場は外国人投資家が6割とも言われているところ、日本だけの状況で物事が決まらない(日本がいくらダメに見えても、それでも他国の投資先よりも相対的にマシだと思ったら買うだろう)、つまり世界全体で物事を考えないとわからないとか(政治もそうだけど)。そのあたりなると真面目に難しい話になるので、このあたりで。