海外在留邦人数(令和4年版)~一貫して増えている永住者数

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内容は各自ダウンロードしてごらんになれば良いのですが(14頁くらいだし)、いくつか目についた点、「ほー、そうなのか」と思った点があるので、そこだけ紹介しますね。

ま、統計なんかそんなもんよってことで、もともとがアバウトな数字であります。それでも同じ基準で統計を取れば変化はわかりますしね、なんか考えるネタや発見があったら御の字ってことです。

大きな趨勢~外国に永住する日本人が増えている
トップの画像がそのグラフです。海外に「滞在する」日本人の数は、コロナの影響で直近にぐっと減ったのですが、それにも関わらず永住者の数は増えている。

まずシンプルな表を抜き出して掲載しますと、↓以下のとおり。

平成以降の統計しかないのですが、元年の段階で総数58万人が、34年後の令和4年(の10月まで)では130万人になってるわけで、2倍以上に増えてます。日本の人口は減っているけど、海外にいる日本人は増えていると。
長期滞在者は34万から75万に増え、永住者は24万から55万に増えてますが、伸び率は似たようなものです。

ただし、細かく見ると、長期滞在者と永住者では伸びてる時期が違う。
下の表で、長期と永住それぞれに前年比がありますが、これをみてると、平成元年の長期滞在者の前年比は12.7%増加というものすごい伸びを示しています。が、永住者は前年比0.06%で全然変わっていない。以下ずっと見ていくと、
長期滞在の伸び率は、時期によってまちまちです。平成初期はバブル期ですから、企業がイケイケで海外進出してたのが大きいと思われます。で、破裂してぺちゃんこになって、でもまた頑張って、またぺちゃんこになって、、そんな感じですね。
まあ細かい理由はエリアにより経済事情によりいろいろでしょうけど(ワーホリ制度が世界的に増加したとか、無数に原因は考えられる)。

永住者の方は、バブル期はあんまりはやってなかったんだけど、徐々に増えたり減ったりしつつ活発になり、平成15年くらいからかな、毎年そこそこの数で増えていってるように見受けられます。コロナ時期も結局減ってないで、増えてますしね。直近の令和4年は10月1日まで統計でありながら、前年の3.6%増加です(長期は6.9%のマイナスなのに)。

永住者がコンスタントに増えている原因は、わかりません。
わかるわけないですよー。だって、ビジネス海外戦略とかいうならまだ分析のしようもありますけど、永住になってくると人生の決断なので、とてもパーソナルな個人内部の哲学の問題です。なんでまた永住を?と一人ひとり聞いても、一人ひとり理由はバラバラでしょうし、自分でもよう説明しきらんし、よくわからんというのもあるでしょう(自分を省みてもそうだし)。

ただ、永住というチョイスが、ほんの少しですけど、そんなに突拍子もないことではなくなりつつある、のでしょう。絶対数でいえば、1.2億人のうちの55万ですから絶対少数派。0.45%くらいでしかない。が、0.5%って、200人いたら一人はそうだということで、意外とそんなに珍しくないのですよ。

こういう数字の解釈って面白いんですけど、例えば日本でベンツの保有台数は令和2年で73万台(第二位)です(出典) ワーゲンが67万、アウディが30万(ちなみに1位のBMWは80万)です。永住者55万というのは、ワーゲン乗ってる人よりもちょい少ないくらいの「珍しい度」とも言えるのです。つまりそんなに珍しくはない。もっとも車は日常そこらへん走り廻ってますが、永住者はそもそも日本にいないので同列に論じるつもりはないですけど、しかし、知り合いの中でワーゲン乗ってる人と、知り合いの中で海外に永住してる人が似たような確率でいると思うと、そんな超絶的にかけ離れたものではない。

いずれにせよ、理由はよくわからない(パーソナル過ぎて)のですが、経済にもめげず、リーマンにも、コロナにもめげず、永住方面は着々と進行している、ということは言えると思います。

エリアによる差異~ビジネスか人生か
世界各国別に滞在する日本人の長期/永住を示した表がありましたが、長すぎたので割愛します。
その代わり、大きなエリア別の総計表をあげておきます↓。

僕がここで「ほう、なるほど」と思ったのは、ビジネスは完全にアジアにシフトしてるなーということです。
それは長期滞在者(学生、労働者)と永住者の比率です。長期者の内容でいえば、企業駐在がやっぱり多いと思われるところ、ジア圏の場合、長期が32万人で永住者が4.3万です。圧倒的に長期(ビジネス滞在)が多い。7-8倍くらい多いアジア圏内にそんなに留学するとも思えないので、ほとんどがビジネス系でしょう。
一方、オーストラリアのある大洋州(オセアニア)ですが、これは長期4.3万に対して永住者が7.6万もいる。つまり永住者の方が1.78倍も多い。アジアとはえらい差です。オーストラリアやNZはまだワーホリ学生が多いんですけど、それですらこの状況ですし、ビジネスネタも少ないのですよね。

この2つを比較すると、オーストラリアやNZは「暮らすところ」であり、アジアは「金を稼ぐところ」と大雑把に言えると思います。
若い方でこの先ガシガシ稼ぎたかったらアジア圏内だろうなーと(細かくどの国がいいかはダウンロードして国別表を見てください)。

同じく北米(アメリカ、カナダ)は、長期が22万で永住者が27万。もうビジネスよりも暮らすところになりつつある。それにアメリカと日本は付き合いが古いので、気に入って住み続ける日本人もまた多いのでしょう。
西欧は、長期12万に対して永住9万ですから、その中間くらい、、、ってこれも国によって千差万別でしょうけどね。

国別比較
国別でいえば、一位アメリカ41万、二位中国10万、そしてオーストラリアが9.4万で3位に来るのですね。僕が最初にきた30年前は、オーストラリアってそんなに人気なかったと思うけど、ここんところ万年3位です。

以下直近4年では4位タイ、5位カナダ、6位イギリス、7位ブラジルです。そこから先、8-10位をめぐって、韓国、フランス、ドイツが抜いたり抜かれたりです。11位に指定席のようにシンガポール。以下、マレーシア。次にベトナムと台湾がせめぎあってて、15位の指定席にNZがくると。

世界の都市別とオーストラリア国内
1位がロスで6.6万、2位がバンコク5.6万、3-4位がNY3.8万と上海3.6万で争い、5-7位を、ロンドン、シンガポール、シドニーが争って毎年順位が変わる。

特にオーストラリアの国内でも、シドニーのコロナ期の減少は激しく、令和2年=2020年(令和とかめんどくせー)になんと9.4%もガタ減り、21年も8.5%減少で合算して17%も減ってる。その代わり22年は0.5%だけどようやく上昇傾向になっている。
面白いのはシンガポールで、20-21年はそれほど減ってないのに、22年に9.5%減ってます。

オーストラリア国内ではメルボルンが世界11-12位で、20年は意外と1.4%減少とコロナ影響は少ないが、21年に6.7%とドンと減り、22年も2.2%マイナスとまだ下げ止まってないです。
ブリスベンとゴールドコーストはQLD州内のライバルですけど、ブリスベンは18位から24位まで転落傾向にあります。GCは24から22位へ。世界順位はあがっても、全体が下がってるからそう見えるだけ。GCの19年は1.13万で24位なんだけど、22年は1.00万人で減ってるんだけど、世界順位は22位に浮上。ま、でもこのくらいの1万人規模だと、ちょっとしたことで変動率が激しくなるので、あんまり細かいこと考えなくていいような気もしますね。

まあ、でも、僕個人でいえば、19年段階で3.3万いたシドニーの日本人が、ようやく上昇傾向になったとはいえ去年の段階で2.8万で、5000人も減っているというのが気になりますねー。
これは永住者と長期とどういう関係になるのか、そこまで詳しくはわかりません。ワーホリも学生さんも言うほど増えてない感じもするし(円安でキツイしね)、そんなにビジネスネタが増えてるわけでもないし。永住者ですけど、国境が開いてからリベンジ帰省のように皆さん頻繁に帰ってますが(僕も)、巷で聞いた話では、オーストラリアは日本以上にワクチンファシズムなので(でも今はシカト体制だが)それがイヤで日本に帰った永住者がチラホラいるとかいう話も。まあ、そのあたりはわからんけど、でも、エージェントとしての立場でいえば、もうちょい来てほしいなーと。

最後に統計の要旨ですけど、いちいち抜書きして写すのも大変なので、要旨を書いた頁をそのまま載せておきます。大体のところは既に説明してしまいましたけどね。

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