1997年から20年以上更新に更新を重ねている永住権のページですが、かなり入り組んできたので、概要まとめを加筆し、他の部分は折りたたむなど整理しました。
以下、「概要まとめ」の部分だけ抜粋して掲載しておきます。
永住権取得の概要(まとめ)
日本人に関する限り、ルートは大きく2つにわかれます。
(1)仕事系 (Skill Stream)
(2)家族(結婚)系 (Family Stream)
他にも「政治亡命」「難民」系もありますが、さしあたって日本人には関係ないでしょう。
↑上の表は、Essay859:2016-17年度 オーストラリア永住権DATA速報で引用した最新統計からのグラフです。
これを見てわかることは、仕事系2:家族系1くらいの割合であり、仕事系の中でも独立移住(スポンサーなし)とスポンサー系(雇用者・政府指名)があると。
細かな分析を省略していえば、平均的な日本人がオーストラリアの永住権を取る場合、雇用者指名か結婚永住が二大ルートであると思われます。数も半々くらいでしょうか(感覚的なものですが)。独立移住は以下にも述べますが、年々難しくなってます。実数は変わらないけど、世界レベルでライバルが増えているし、職域の偏りと英語点とのマッチングなど難しい部分があります(自動車整備など手に職系は取りやすいのだけど、今度はIELTS6点の最低基準を渡豪前に満たせないとか)。
結果的に見ても、最近の在豪日本人永住権取得者の多くはこの2つではないかと思われます。その昔は独立移住がまだ易しかったので、取得者も多かったのですけどね。
しかし、段取りとしていえば、リーチ一発即取得の独立移住は魅力的なので、永住をお考えであれば、まずビザの代行業者さんなどに査定してもらうことをお すすめします。最初から無理だと諦めてたら、あとになって「あの時やっていれば取れたのに!」というのがわかって悔しい思いをしたりしますし。
次に独立移住は無理だった場合、その理由が単に英語点だけ、ないし英語点を上げたらクリアできるなら必死に英語をやるべきです。速攻留学して IELTS6点(では難しいだろうから7とか8)を目指すべしです。日本で地道にやってても、仕事しながらだと効率悪いし、時間をかけているうちに年齢点 が下がってパーになったら元も子もないです。また退職して英語勉強に時間をかけすぎても、今度はキャリアの有効期限が切れてしまう(過去○年以内というや つ)。基本的に永住権に年齢点という要素がある以上、常に「時間との戦い」になるのですが、この場合は特にそうです。
英語点だけでは無理な場合、オーストラリアで就労ビザ(457=TSSビザ)をとり雇用者指名に成り上がるというパターンになります。ただし、この就労 ビザ自体が難しいので、まずワーホリや留学で来て、英語を身に着けつつ、現地のアルバイトから始まり、出世魚的にグレードアップしていき、スポンサードし てくれる雇用者を見つけて就労ビザをゲットし、雇用者指名に至るというのがわりとスタンダードな流れです。
あるいは独立移住でも、日本から即取得は無理でも、現地で働いて現地職歴点を重ね、同時に英語点も積み上げていくうちに、「数え役満」みたいにゴールするケースもあります。
一方、二人に一人は結婚ビザですので、それを狙うのも十分にアリなんですけど、多くの場合は「同時並行」「自然発生」でもあります。
細かな事は第三章以下の戦略論に譲りますが、最初に知っておいていただきたいのは、発想をフレキシブルにすることです。幾つかのルートがあるといっても、理系/文系みたいにAを取ったらBは取れないという関係ではなく、全てが両立しうるし、同時並行に進むということで す。実例でいえば、現地で頑張って働いて自力で独立移住のレベルまで上がっていく過程で、誰かと運命の出会いをしてしまって、どっちでも永住権が取れるんだけど、早い方がいいやで結婚永住にしたとか。
こう考えると分かりやすいかな、永住権というのは、「オーストラリアで十分に人生をやっていけるだけの実質」が あれば与えられることです。その「実質」の中には、当然ながら「不自由ない英語力」も入ります。また生計を立てるための「仕事」も入ります。仕事も、単に 就労しているだけではなく、現地の国民(オーストラリア人)に「是非この人に居て欲しい」と言わせるだけの実質(スポンサード)がいると。一方、結婚ビザ があるのも、既にオーストラリアの人生が始まっているのだから、追認的に与えられるようなものといえます。
要は、
人生の基本要素=
(1)生活力(言語、就労)
(2)よき出会い(雇用者 and/or パートナー)
これはオーストラリアに限らず、日本だってどこだって同じことでしょう。その実質をオーストラリアで積み上げること。
最初はなんにもありませんか ら、とにかく現地で四苦八苦して生きていくことからドラマが始まり、さまざまな局面で良い出会いがあり、学び、向上し、充実していくなかで、一定レベルま で達したら「ずっと居てよーし!」と「正会員認定=永住権」が付与されると。
だとしたら、何をどの順番に身につけるか?出会うか?は、多分に人生の偶然です。決めてかかってどうなるものでもありません。また事柄の性質上、「時間 がかかるもの」と「時間は関係ないもの」があります。語学は努力の積み上げ以外にありませんから、時間がかかります。最終的にIELTS6-7点を揃えるまでざっと3年くらいはかかると思いま す。しかし、パートナーとの出会いは、一瞬で恋に落ちたりするし、待ってても中々来なかったりするかもしれないし、時間は関係ないです。よき雇用主との出会いもまた同じでしょう。
つまり時間をかけるべきもの=時間さえかければ良く、計画性に馴染む要素と、時間は関係ない偶然性という要素がごちゃ混ぜになっているから難しくもあり、面白くもあります。それは人生の難しさと面白さにストレートにつながります。要するに “That’s how life goes”(人生なんかそんなもんだよ)です。
永住権の話をしていると、不可避的に人生(戦略/哲学)論になっていくのは、ある意味では当然です。また、人生論レベルで考える必要があるのは、それは大局観や戦略眼につながるからです。ゴールまでの道筋で事情変更があっても、柔軟機敏に対処できる「ふくらみ」のあるプランが立てるために。
さて、以下、各永住権の細かな部分を解説しますが、これまでの改正過程や分析なども含めて書いてますので、かなり複雑です。一般的には以上の「まとめ」だけ読んでおけば十分だと思います。あとは個別に研究したい方のための参考資料としてごらんください。
そしてプラクティカルな結論をいえば、ここから先はビザの専門家にお金払って聴いたほうが早いですよ。
永住権取得までの道のりは、自分の状況も変化するわ、規定もコロコロ変わるわで、まるで水上スキーをやりながら水上のマトを射撃するようなものです。そ れだけにリアルタイムの情報、それも徹底的に正確な情報が必要です(可能ならば将来の予測も)。そして実行にあたっては、ミリ単位に精密な設計図が必要で す。といって、自分で調べてても限界あります。専門のプロの方(できれば複数)にしっかり査定してもらうべきでしょう。
以上、概要部分のみ抜粋