今週の金曜に加藤さんをお招きしてシンガポール就職説明会をやりますが、その前に今回はオーストラリアの就職話です。
過去にもFBで紹介しましたが、須賀さん、今はマッコーリー大学院でインド人学生に囲まれてMBAやってます。かつてインドのバンガロールで旦那さんとIT系の起業してたんですけど、「いろいろ」あってオーストラリアへ。ちょっと前に自然発生的に行われた(たまたまメンツがそうだっただけだが)「シドニー明るい離婚フォーラム」(ココ参照)の新メンバーです(笑)。フォーラムといっても何をやるわけでもないけど。ちなみに、酒巻さんと僕は「(もっと明るい)再婚フォーラム」のメンバーです(さらに何をやるわけでもないが)。
さて、須賀さん、今はバイトでオーストラリアの人材斡旋会社に勤めています。シンガポール就職は仕事とかち合って無理ってことで、そこから色んな話になって遊びにこられました。
で、こっちの就職話なんですけど、須賀さんの話、面白かったですねえ。
まず、手に職系は全然別なんですけど、ホワイトカラー系はなっかなか一回目の就職が出来ない。永住権持ってても千連敗当たり前とかいう世界だから、ましてや永住権以下(学生ビザとか)では、普通にやってたらまず無理な世界。
なんでそんなに難しいの?
実際に働いてるオージー見てたら無能を絵に描いたようなのが多いし、あんなんで勤まるんだったら、普通の日本人がまず負ける筈無いんだけどなーって。実際そうなんですけどね、ただ最初の関門が一番難しい。スライムの代わりに、いきなり最初にラスボスが出て来るようなもん。ここさえ撃破したらあとは段々楽になる。
なんでなのよ?と。
僕もそんなに知らんのですよね。なんつっても僕はこっち来ていきなり起業しちゃったからその種の話を自分で体験してないのですね。また23年前の給与水準なんか馬鹿馬鹿しくてやってられない(昔の永住者の多くは起業してますよね)。どんくらい馬鹿馬鹿しいかって、当時こっちで弁護士やってる人を紹介されたけど、東大出て司法試験早く受かって、渉外事務所入って、交換留学みたいにこっちきて。でもオーストラリア法曹界は心が狭いから(笑)、日本の資格コンバートができずにシドニー大学に入学(3年を2年に短縮するために裁判までかけたらしい)、こっちの司法試験合格して弁護士資格取って、そこまで努力しても年収200万ちょっと。当時の話だから今とは全然違うけど、それ聴いてやる気なくしたよね。もともとこっち来てまで同じ仕事する気なんか全然なかったけど、「そんなもんかー」とは思いましたね。
ほんと、給与水準なんて国により、時代により全然っ!違うよん。日本だって、この調子で下降していったら、年収100万越えたら勝ち組とか言われてるかもしれん。分からんのですよ、未来は。
閑話休題。さて就職話だけど、いろいろ人づてに聴いたりしてるうちに蓄積してって、そして須賀さんとか他の人材会社のスタッフの人からも聞く機会があったりして、だんだんわかってきたのですが、なんで難しいのか?
それはオーストラリアの人事部が馬鹿だから、だと思う。
これ、なにかと似てると思ったら、英語と同じで、なんで現場のネィティブ英語が聞き取れないかといえば、理由の半分は「ネィティブは母国語をちゃんと喋らないから」だと。日本語でも、「ありがとうございます」を「あざーす」とかいうように、とにかく省略する、テキトーにいう、しまいには「うぃーっす」という意味不明な(何の省略形なの?これ)フレーズを好んで用いる。オーストラリア弁の「らいとお」(righto)みたいな(OKの意味)。
こっちが悪いのではなく(まあ、悪くはあるのだが全てではなく)、むしろあっちの方が悪いという「コペルニクス的転回」ですね。オーストラリアの(西欧の)人事が馬鹿だからだと。
それまではね、なんかすごい先進的なシステムかなとか思ってた部分もあるのですよ。確かにそういう側面もある。でも、それは労働流動性の高い社会システムのせい、ひいては人生社会カルチャーが良いだけであって(=皆がどんどん自分の人生を開拓していくから、一箇所に留まらない→古狸ばっかの守旧勢力もないし、しがらみや既得権も成立しにくい→新陳代謝が激しく、時代にビビッドに適合できるし、転職・休職期間中の公的充電サービスも充実しているからあまり不安なく人生チャレンジが出来る)、必ずしもこちらの人事システムや人事担当者が偉いわけではない。
それどころかかなり無能。
無能な人間が仕事をする(させる)としたら、どうするかといえば、誰でもできるような形式的なマニュアルを作ります。「総合的に判断して」「洞察して」なんて高級なことはできないんだから、形だけの審査をする(させる)しかない。
故に、「永住権絶対」というドグマのようなものができるし、「3年以上の同種キャリア絶対」とか。
それに、人事から人材会社に送られる依頼も、「欠品部品の補充注文」みたいな感じで、ドンピシャじゃないとイヤだとかいうから、そんなスーパーマン、いるわけないし、いたとしてもお前のところなんか行かないよって話になる。
それをエブリディベースでやってるのが須賀さんで、話してて、「やっぱりねえ」「なるほどねえ」と言っていました。
彼女がもっとキレイにまとめてくれたのは(メールと口頭で)、僕がノートするなら、
・オーストラリアの人事って役割が細分化しすぎてほんとにつまらない
・特に、各社のリクルートメントマネージャーがバカすぎる。ジョブリスト全部網羅してなければインタビューしない、みたいな。
・人事の各担当者が、どんな人材なら今の組織で活躍できるのかについて全く想像してもいないしコンセンサスもとれてないような気がする
・人事に経営戦略性がなく、単に部品の補充みたいなルーティン化してるところがあって、もう人事の考え方が未熟すぎる
・クライアントに言われたスペックに合う人をデータベースかLinkedinから拾い、電話して、よさそうならば面接にいかせる、みたいな。顔もわからない、経歴が本当かわからないようなのをよくクライアントに送れるなーと。
だから、有意な人材がいても適材適所にならない。なるわけがない。
・会計でも、永住権持ってて、勤務経験どころか独立して会計事務所開いてる人でもボンボン落とされている
その辺の話はもっともっとあるみたいで、他の人も招いて、APLaCでも「就職フォーラム」みたいなものを作ってもいいかもねーって話してました。ホワイトカラー系の就職は、やっぱりすごい現場のコツがあるらしく、会社側の採用のやりかた(Linkedinをみるとか)はあって、そのあたりは集合知にしていった方がいいなと。須賀さんも個人的に相談に乗りますってことです。
と同時に、メカニックとか建築現場とか手に職系の職は、また全然違うから、これはこれでめぼしい人に相談アドバイザーになってもらうということもあるよなー。
でも、だからこそだと思うのだけど、コネが最強なのですね。
ある程度切れる経営者、特に中小企業の社長レベルになってくると、自分のところの人事とかそんなに信用してないみたいね。だから、個人的に「友達からいい人いると聞いた」みたいなことで、速攻面接するし、自分の目(だけ)を信じるから、いいなとなったら即採用です。もう超特急。実際にもコネ採用が半分以上じゃないのかなー。統計は知らんけど。
はっきりいって、こっちの就職において、求人とか人材会社とか、そもそも必要なのか、機能してないんじゃないかって気もしますね。だからそこばっか考えていても厳しいし、それなりの対応や戦略はいるってことでしょう。
でもって、ここから先は政治問題になって、もともとは職安機能はセンターリンク(日本のハロワみたいな)がやってたのを、「民営化」して人材会社にアウトソーシングしようとか、アメリカ流に毒されたチャラい政策をやったもんだから、人材会社が乱立し、成功すれば政府から報奨金が貰えるからって味噌もクソもごちゃ混ぜって市場が出来るという。ああ、日本の障害者就職の給付金(目当てに雇ってこき使うブラック会社)やら、アメリカのアファーマティブ・アクション(一定比率のマイノリティを雇わないといけないとか)やらとなんか似てるな。
というわけで、ダメならダメで、もう少し精密な戦略やら情報やらがいるかなーって思ってる今日このごろです。
写真は須賀さんなんだけど、いろいろいじって撮影してました(笑)
はい、キリッとして~とかいいながらつい笑いが、、
はいもっと偉そうに~って
リクエストに応じて律儀にやってくださる須賀さんが健気でありました。
つい吹き出してしまう
これが一番ナチュラルでいいですねー。