IT系ビジネス学校の話(その1) 

30過ぎてからオーストラリアのビジネス学校でIT系に行くというのは意味あんのか?という話

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コンテンツ
ちょい長いので3回くらいに分けますが、内容は
・オーストラリアの学生ビザで、ビザ取り~労働・永住~日本帰国就職の3方向からみて、ITコースはどんなものか?
・シドニーに2つだけある新しいITコース(Networkコース)のSSBTとAbbeyの訪問記
・APLaC先輩の意見~ワーホリ後に自力で勉強して東京でIT就職している三浦ロナルド氏と、本格ITキャリア10年で現在オーストラリアの大学院在学中にして現地でIT職をゲットしている植木氏のアドバイス

成り行き
ことは内田くんの相談から始まります。彼はワーホリでこちらに来てからのお付き合いで、AusのあとNZワーホリをやって帰国、しかし再度渡豪し、徹底的に英語をやるべく1年+1年英語学校に通い先般卒業。Advancedまでいき、難関ケンブリッジの二段CAEコースも快調というところで時間切れ。さてこの次をどうする?という話を前々からしておりました。

再渡豪前でなんでまた渡豪するの?人生計画とかどうするの?という大きなフレームについてのカウンセリングをやってて、永住権まで至れるほどのキャリアがこれまでの段階で多くない(有利な手に職系経歴がない)という非常に「普通の日本人」である彼の場合、最終的な永住権ゴールから逆算して計算するのは無理がある。永住は運の要素も強いし。ならば、トップダウンではなくボトムアップで、必ずしもオーストラリアの永住のゼロサムゲームではなく、この先自分がより自由に生きていけるように少しづつ経験値や人間力や幅をひろげよう、同時に30代になったところなんで、あとで振り返った時に「俺は若い時分にやるだけのことはやった、ちゃんとベストは尽くした」と思えるようになろうというフレームでやってました。

彼は黙々と努力するタイプで、ゆっくり着実に進んでますよね。WH時代に海外とか人生ので凸凹に大分打たれ強くなったし、この2年でもローカルのクリーニングJOBをこなして定期収入もばっちりだし、インターンで幅をひろげるべく、1年目はローカルホテルの受付をやり、2年目はIT系をやりました(コロナでほとんど在宅になってしまったけど)。英語も、2年目のGTEは添削の必要がないくらい、ほお、ここまで上達するもんかと感動もんに伸びてたし。

で、この先の職関係で、オーストラリア就職(永住)方面と、帰国してやっていく方面とで両用の構えで考えてて、そこでITが出てきたのです。現地で食い込んでいくのは現場系がいいんだけど、これもガテン親和性というか、向き不向きのタイプがありますからね。どっちかというと内田くんは、地味にコツコツやる系の方が向いてるかなーと。ならITでもいいかと。自分でも道路行政に関する非常に真面目なサイトを作り、アフィリエイトとかもコンスタントにやってるからズブ素ではないし、アレルギーもないし。

IT系の検討
オーストラリアの永住のIT系は、人気なだけに世界から猛者がやってきて、年々スーパーハイレベルになっている感じだし、若い世代にどんどん追い抜かれるだろうし、30過ぎてITの学校行って~なんてクソ悠長なことをやっててなんとかなるんかい?って気もしますよね。

でも、Google社で最先端の開発をやるとかいうならともかく、ITはめちゃくちゃ裾野が広いです。ITに限らずどんな業界でもそうだけど。話題の最先端と現実の裾野は違う。ローカルの、超ありふれてて、超地味な仕事もあるだろう。建築でいえば、誰もが都庁の丹下健三にならなくてもいいわけで、地方のどっかの民家の裏の納屋を取り壊して母屋を増築するとかいう普通の仕事もあるわけだし、数と需要でいえばそっちの方が圧倒的に多いわけですよ。かたや都庁なんか一個あれば十分だもんね。
ITだって、商店街のパパママカンパニーでWORDとEXCELすらヤバいというレベルで、この際「IT化」という話だってあるはずでしょう。そこではそんな最高峰の技術ではなく、もっと普遍的なベーシックなもので足りるはずで、そういうチャンスはあるだろう。また「IT土方」といわれるだけあって、その種の単純作業の需要も多くあろうし、オンライン遠隔でやれるようなギグ系の仕事もあるだろう。ましてやコロナ以来、テレワーキングやネット環境構築需要なり、WEB店舗移行も増えてるし。

だから、まあ、多少なりともやってて損はないんじゃない?ってことです。
「損はない」とかいう曖昧な話でいいんかい?というツッコミもあるんですけど、いいんですよ。だってわからないんだもん。
実際ですね、この種の業界の将来性予測は、本当にアテにならないんですよ。身近なところでも、予想されたほどペーパーレスが進まないとかさ。自分の天職のように思っているならともかく、とりあえず「生計を立てやすく」程度のレベルだったら、勝つというよりも「負けない」方が大事で、どんな世の中になってもこの種の需要はあるだろうなとか、潰しがきく(プラスαで転用がきくとか)の方がいいかと。

それに大事なことは、積み上がっていくということです。1年目よりは3年目の方が実力も高くなるし、やれることも広がる。10年なんかあっと言う間で、そのときは「キャリア10年」って言える。時給の良さだけに惹かれてあっちこっちで焼畑農業みたいにやってても積み上がらないのですね。
もっともその意味ではクリーニングだって十分にキャリアになりますけど、もうちょい汎用性(複合性)のあるのがいいかなと。ITといっても、中小とか零細の場合は純粋にITだけってことはないだろうから、一般事務もやるけどITも強いって兼任人材がほしいって場合もある。それは、一般事務なんだけど最近外人さん(旅行者とか労働者とか)多いので英語ができる人だといいなとかいう感じに似てる。またIT内部でもプログラミングとかWEB系とかいう職種のほかに、観光系の予約システムは経験あるので強いとか、ローカルスーパーの在庫管理やPOS系に強いとか一般業種とIT内容が複合的にミックスされてくるはずです。この他の要素との結合しやすさは、仕事ゲットの場合、ITだけなら足りないんだけど、業界に詳しいので技あり二本で「合わせ一本」ってこともあるだろう。それが汎用性とか複合性です。

あとは、日本独特の理由として、「対世間武装」「引け目を感じないため」というか、「専門は?」と聞かれて「○○です」って答えられると、精神衛生上もいいよねってこともあります。くだらない理由なんだけど、日本では意外と大事ですよね。

永住の方は、これはもう成り行きですよね。
これもまた無責任な言い方に響くだろうけど、これだって正味の話、保障なんか絶対無理ですよ。もともとJOBは出会い系であって、運の要素が非常に強い。真正面からいくのはビザと語学力でかなりハードで、それよりも個人的なコネ流れであっち紹介されたり、こっちに知り合いが出来たりとかそんなファジーな状況で「ひょんなことから」って話も多いし、また実際の成功確率も高い。しかしこんなもん「絶対」とか保障できるわけがない。だから、あんまりシャカリキになりすぎるとしんどいんですね。

他方、職とか生計とかいう側面から離れて、単純にもっとオーストラリアに居たい、英語もあと一歩で結構なレベルまできているし、ローカルでもう少し揉まれて自信をつけるべきってのもあるでしょう。今帰国するよりも、もう少しこちらで頑張ってみたい、まだまだやり残した感じがあるなら、それはやってみるべきって見地もあります。何をするにしても、こちらの方が楽ですからね。

ということで、ITのうちにどのコースがいいの?って話をしてたら、内田くんの方からNetwork Engineer のコースがいいかと。まだ学校でもコースが少ないという新しいコースだし、まんまITというよりも通信業者というNTT的な部分も含むし、これからの需要増、労働ビザのリストにも入ってますし。

シドニーにこのコースのある学校は2つだけで、SSBTとAbbey。この2つについて、内田くんと一緒に見学してきました。

以下、その2に続きます

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