下村くん WH完了~これから就活

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最後にちょっとラウンドしてシドニーに戻ってきた下村くん、これから帰国だということで(既に帰国されているけど)に挨拶にきてくださいました。

ラウンド話は、タスマニア、VIC州、SA州など。カンガルーアイランド付近でやったWWOOFでは、そこの人が消防士のボランティアもやってたので、一緒に消防車に乗せてもらったりしてたそうな。運転席と助手席のあいだがすごい広くてびっくりした、そうです。
あと、総じて無名の場所が良かったそうです。これは僕も何度か旅行いってそう思う。ただ、その良し悪しは行ってみないとわからない。なんでもそうだと思うけど、実際に動かないとその良さはわからないですよね。でもって「なんでもっと早くラウンドに行かなかったかな」という誰もが抱く感想。

9ヶ月だけのワーホリだったけど、来て良かったか/無駄だったか、でいえば、圧倒的に来て良かっただけど、じゃあ、何が良かったの?ときくと、視野が広がったのは当然のこととして、あとは自分のことが前よりもよく分かった点。

では、何がどう分かったの?良い点と悪い点は?と聞くに、これは表裏一体なんだと思うけど、打てば響くような反応が出来ない点(思考が追いつかない)のが悪い点で、じっくり物事を熟考するのが好きだし、得意。

で、どっちかというと、この打てば響かない、即反応が苦手、当意即妙に返せないってところの方が課題になってて、それが直近未来の就活や、その先の社会人生活の不安のネタになってるようで、以下、話はそっちがメインになりました。

確かに打てば響くタイプではないのだけど、それは「能力」というよりも、タイプや個性じゃないのか?超高速でガガガ!とメシを食わないと食った気がしないという人もいる反面、のんびり食べるのが好き(てか、早く食べられない)人もいるようなもので、才能とか能力とかいう問題じゃないと思う。

それと彼は(有機)素材工学の研究室にいるんだけど、そこがけっこうブラックで拘束時間が1日12時間に及ぶこともあり、あんまやってても楽しくない。まあ、アカデミック、研究のリアルというのが分かったのはいいんだけど、すごく狭いエリアに集中して、長い拘束時間でそればっかやってるので、どうしても自分も周囲も視野も発想も狭くなる。それがなんだかなと思ってワーホリに来て。

また、一応理系なんだけど、それで就活とかいうと、うーん、あんま楽しそうなビジョンが浮かばないぞ、どうしたもんか?になるという。

で、むにゃむにゃ考えているというのが現状だそうです。ふむふむ、多分それはね、、ってあれこれ話してたのですが、、、、

熟考タイプと即答タイプ
この点は上に述べたように、能力の問題よりも好き嫌いの問題じゃないか。
瞬発的にパキパキ物事を決めて高速反応が「できない」というよりも、ゆっくりあーでもないって熟考するのが「好き」なんだと思います。「脳みそのガム」みたいなテーマを頭の中でクチャクチャ噛んでいるのが好き。

だから即答できないというよりは、即答したくない、したら面白くない、「こんな生煮えの料理を人様に出せるか」みたいな感じなんじゃないかなー。

でも、ま、面接とかビジネス現場では、自信満々に即答しないといけない場合はあります。さもないと相手に不安感を与える。そこは補強すべきではあるでしょうけど、これはもう「テクニック」ですね。技術やテクニックというのは、本来あまり才能がない分野、苦手で弱点である分野を、とりあえず乗り切るためのハウツー作法なんで、覚えればいいだけです。

このコツを煎じ詰めれば「嘘つきになる」ことでしょう(笑)。
実際50%しか確信がない、まだ検証しきれていないことを、「はい、出来ます!」と100%オーラで言わないと、打てば響く即反応はできない。熟考タイプの人には、それが「嘘つき」に思えてしまうから、それをすることに抵抗がある。

「巧遅よりも拙速を尊ぶ」(ゆっくり正解に達するよりも、多少間違っててもスピード重視)という局面はあります。今この瞬間に物事を決めていかないとならない局面は、実務では非常に多いですから。その場合は、もう「概算」で済ませる。端数はバンバン排除していく。「円周率は3・14、、」「OK、3ね」くらいの感じ。「さんてんいちよん」の「さんてん」まで聞いたら、はい3ねって決めちゃう。

細かなところが不正確だったり間違っていても、「しかたがない」「やむを得ない」でガンガン切り捨てること、そのあたりの「精神の剛毅さ」みたいなものは要ると思います。

そこは就活面接くらいまでに練習してたらいいかも。常にそうする必要はないけど、その場だけそうするくらいの。練習は、「間違ってても気にしない」練習。味噌ラーメンと豚骨ラーメンの好き度が70対30くらいで、普通だったら「味噌が好きなんですけど、豚骨も捨てがたい」みたいな答え方をすると思うのだけど、「味噌が好きです」で言い切っちゃう練習。

それをやるのは、ゆっくり考えて楽しむという快楽はないし、相手に対して不誠実な嘘(誤謬を含む不正確な言辞)を与えてるという不快感があるんだけど、もう慣れろ、と。相手も、正確な答えを聞きたいときはそう聞くし、とにかく実務の段取りを考えるために即答が欲しい(車は何台必要かのために参加人数の見込みを聞くとか)んだから、多少間違っていようが即答の方がうれしい。

あとは「曖昧だけど正確な表現」のフレーズのストックを増やす。
「YESでもあり、NOでもあります」「広義ではYESですが、狭義ではNOです」「あくまで概算ですが、100を超えることはない」「時と場合によりますが、ほぼ70%の確率でYESです」とか。
不明確な範囲を明らかにしつつ、結論を早く伝える言い方です。

いずれも「考える楽しみ」はないんだけど、そこはもう諦めると(笑)。そういう快楽を貪ってる場合じゃないんだから。

もっとも!矛盾するようなんだけど、バサバサ切り捨てる快感、というのも別にあるのですよ。僕自身「悪とはなにか?」みたいな、2000年以上考えられてて答がでない問題を考えるのは好きなんだけど、猛烈に忙しい実務においてパキパキ決めていく快感も知ってます。もう「全て数秒以内に決める」みたい猛烈な疾走感は、あれはあれで脳内麻薬出ますよ。司法試験の短答式試験は、まさにその能力と資質を見てるような気がします。だから、不愉快を我慢してると、そのうち快感に変わるかもしれないよ(笑)。

でも、あくまで熟考快楽にこだわりたいなら、そういう職域のほうがいいかもねー。

理系と文系

専門が理系で院までいってるからそれで人生確定ってもんじゃないよ。専攻と全然関係ない仕事についてる人もいくらでもいる。
例えば医師資格を持ってるけど、医者やってない(or並行してやってる)人は多く、筆頭にくるのは手塚治虫(医学博士)。作家にも多い。安部公房(東大医学部)、渡辺淳一(整形外科)、北杜夫(精神科医、医学博士)、そして森鴎外(軍医のトップまで登りつめた)。ほかにも加賀乙彦氏など多数。
世界的に一番有名なのは、チェ・ゲバラ(医学部卒)かな。

別に専攻に縛られる必要もないし、縛られてない人も多数いる。縛られてない人の方が多いかも(特に文系なんか全然)。
その専攻が天職のように感じられ、嬉々として生涯を投じられるなら、そもそも最初から悩みもしないし、嬉々としてないなら、それほどでもないので、縛らない方が良いとすら言える。

だいたい、何が理系で何が文系なのかって、本質的には何の差なのか?
僕自身は、その差というのは、血液型性格判断くらいの正しさ(いい加減さ)だと思ってます。理系の人が論理的だというのも、別にこれまでの経験でいえば、別にそうでもないと思うし。本来は、理系文系2分法ではなく、社会、人文、自然の3分法だったりもするし。

僕なり直感的な定義でいえば、
「人」に興味がある→文系
「外界」に興味がある→理系
だと思ってます。

人間という矛盾に満ちた愛すべき存在が、いろいろ七転八倒して面白いことをするんだけど、それに興味を惹かれるんだったら文系。
そうではなく、この世界(自然界や森羅万象)の不思議な成り立ちそのものに興味があるなら理系
なんだろう。

下村くんの場合、話聞いてたら、農業が向いてるんじゃないの?って気がします。なぜかって、まず一筋縄ではいかない自然相手の物事であり、やってることのペースで言えば、即決即答よりも熟考型が向いている。この土壌にはどんな作物が向いているかとか、混合栽培はどうかとか、どういう段取りでローテーションするかとか、考えるべきことは山程あり、考える時間もまた豊富にある。

そう言うと、彼も、「いや農業にも興味あるんですよ」と。
じゃあ、いいじゃん、三重なんだから、東京の人よりは楽に農地エリアにアクセスできるだろうし。
「おじいちゃんが農業やってるんですよ、最悪そこもありかな、とか」
あ、そうなんだ、最悪というか、最善かもしれんよね。

ただ、ま、農業って、会社づとめの何倍も難しいと思うし、また「行きがけの駄賃」というか、「新卒採用」(最もキャリアがない人間が最も優遇される)という世界でも珍しい「奇習」がまだ残ってるうちに、都会のサラリーマンってのもやってたらいいじゃん、話のネタに。その程度の気持ちでいればいいし。

それに、全然無名のところが一番良かったというラウンドの教訓(それはシェア探しの教訓でもある)からすれば、最初から対象を限定してしまうのは愚かなことでもあるし。やってみたら意外と面白かったってのは沢山あると思いますよ。

ただ、いずれにせよ、自信は持ってたらいいです。
熟考タイプで即反応が出来ないからやっていけるか心配というけど、やっていけるよ。だいたい、ひとりぼっちでオーストラリアにやってきて、一括パック卒業して、一人でバイトやって、一人でラウンドでほっつき歩いてきたんだから、行動力とか決断力というのは、普通の日本人よりも豊富にあるし、それだけあったら普通の仕事だったら出来てしまうでしょ。
逆に、日本のサラリーマン(社長連中も含めて)、大した資金もなく、ひとりぼっちで外国に行って、手探りで生きて、稼いで、1年サバイブしてみろっていって、どれだけの人ができるのよ?と。

ただし、社会に出る(というよりも、金稼ぎ猟場に参加するという感じ)なら、自分の趣味嗜好はときとしてバッサリ殺さないといけないので、それだけがネック。
あーでもないと考える快楽を十分に楽しみたいのは個人の趣味嗜好であって、時として、不愉快ではあるけど生煮えのまま出さないといけない。それだけ。もうその一点に尽きるんじゃないかなー。

ま、でも、多分、本気で悩むのは仕事始めて3-4年くらいした時点だと思うけど、そのときまた連絡ちょうだいね。てか、今年も日本に帰るので名古屋あたりのオフで会いましょう。

写真のゴハンは、お腹すいてるっていってたので、たまたま僕が昼飯に用意してたものをシェアしたもの

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