オーストラリアは来週の水曜日（15日）で、ビザ取得者の入国を認める（鎖国の一部解除）ことになってます（本来1日からだったのが、オミクロン騒ぎで2週間延長した）。
ここにきて、2月17日まで鎖国延長するし、って記事がありました。しかし、そうなるかどうかはまだわかってません。なんか政権内部で物凄い暗闘があるみたいですね。
まず2月17日情報ですけど、
Restrictions on Australia’s international border extended until February amid Omicron concerns
ということでSky Newsで書かれています（冒頭の写真）。
内容はほとんどがグレッグ・ハント厚生大臣（Health Minister）のアナウンスで、
”Mr Hunt said the extension until February 17, 2022 will assist Australia’s reopening effort and the response to the “emergence of the Omicron variant”で、いろんな感染防止策をやると（といっても目新しいものはないけど）。
このグレッグ・ハントですが、前に「オーストラリアのファウチ」と僕があだ名をつけましたけど、この親父が一番強硬で、煽りの旗振り役で（メディカルチーフののポール・ケリーはもっと常識的）、来年の選挙には出馬せずに引退すると言ってて、もう降ろされたと思ってたんですけど、なんか一人でアナウンスしてます。最後のひと働きなのか。
言ってることは、オミクロンが怖いから延ばそうね、こまめに状況に合わせてチェックしようねということくらいで、2月17日という日付以外はほとんど無内容といってもいい。
で、記事の最後のパラグラフに、これって正式な閣議決定、政権の公式方針なのか？について書かれてて（最初に書けよって気もするが）、
”However, the government has not yet confirmed whether the border measures will ease as expected on Wednesday.”
（しかしながら、予定通り水曜日に国境を開けるかどうかについては、まだ態度を決定していない）
ということで、これらは大臣レベルが言ってるだけだということが分かります。
もっとも、” biosecurity emergency period ”（生物学的安全のための緊急事態期間）を2月17日までに延長するのは決まってるらしいんですが、これは国境を開けるかどうかだけではなく出入国にあたって何をもとめるか（事前陰性テストもいれるとか）にもかかわることで、これ自体は直ちに国境の開け締めそのものではないです。
とはいえ、すでに決まったかのような書き方なので、混乱するんですけど、他のオーストラリアのメディアを見てもこのハント発言については取り上げられていない。
しばらく見てると、いくつか新しいニュースがあがってきて、
Scott Morrison hopes Australia can reopen to overseas visa holders by Christmas
という７ニュースの記事があります。
ここでは、モリソン首相は、ビザ取得者の入国がクリスマス前にできるように「望む」という発言をしてます。
また
We should be ‘optimistic’ international borders will reopen soon
では、Finance Minister（財務大臣）の Simon Birmingham氏が、
” there is optimism skilled migrants and international students will soon be able to return to Australia. ”
ビザ保持者や留学生が戻ってくることについては楽観論があり、
“I think we should be very optimistic that we will see this sort of opening happen relatively soon,”
そうあることについて、我々はとても楽観的だと言ってます。
これがまた政治家らしい言い方で、結局、具体的なことは何一つ言ってない。楽観的だから15日に予定通りに開けるのか？というと、それも明言してない。「すぐに」という曖昧な言い方。そして最終決断は首相からアナウンスされるでしょうという。要するに自分は何も言質を与えてない。
ただし、このタイミングでオプティミスティックを強調するということは、予定通り開けたいんだろうなーというのは滲み出てます。そうでないなら、「健康がなによりも大事」とかそっち系を強調するでしょうからね。ファイナンス系（財界の御用聞きみたいな）は、当然早期に戻したいから、医療系のハントとは対立するのもわかる。
メディアも結構慎重で、どっちかに決めてかかるような感じではないです。
ただ、こういうの、もういい加減にしてほしいんですけどねー
15日に航空券取ってしまってる人だって相当いるだろうし、何を直前でうだうだ言ってるのだという。
こんな状態で腰が座らなかったら、ビジネスでも年間予定が立てられないし、いつどれだけ設備投資したらいいのかも読めない。
そのあたりはStudy Internatinalという留学系のメディアの方が率直で、
No confirmation if Australia’s borders would reopen to int’l students on Dec. 15
「おい、どうなってるんだ？」という率直な苛立ちと、聞きたいところを書いてくれてます。
”According to The Guardian, Morrison said his government was inclined to reopen to international students and skilled workers on December 15.”
「ガーディアン誌の記事によれば、モリソン首相は（予定通り）15日開国に傾いている」と書かれてます。
そして
”Australian Health Minister Greg Hunt previously said he wasn’t making any guarantees Australia will reopen its border to international students and visa holders in mid-December.”
「（例の）ハント大臣は、かつて、12月中旬にビザ取得者が学生が戻ってこれるなんて、私は保証していませんよと言っていた」
”This is a stark contrast to Trade and Tourism Minister Dan Tehan, who said the reopening of Australia’s international border to overseas students and skilled migrants is “on track” to take place on December 15.”
「しかしこのハント発言は、貿易ツアリズム大臣の Dan Tehan氏の発言とは鮮明な対比を見せている（全然違うこと言っている）のであって、ツアリズム大臣は「予定通り（オン・トラック）15日ですよ」と。
なんかね、「煽り派」もなかなかしぶといというか、ここにきてNSW州の感染数が増えているとか（でも入院者は減っているのだが）。
ときに、最近では「コロナ条約」という話も出てて、WHOで世界的に対策プロトコルを決めて、各国が個別に決めることを許さない、世界的な一元支配の方向にいきそうです。194か国の全会一致でそうなってる。ただし、これって気象変動と同じで、総論賛成各論反対に近いんじゃないかという気もしますし、ある意味国家の存在意味が溶けていく（国家主権の喪失）流れでもあるし、面白いんですけど、その話はまた。
ともあれ、とかく「個人の箸の上げ下ろしに口出しする」ことが世界的な流行になってて、NZでは世代的全面禁煙（今の○歳以下の人がタバコを吸ったら犯罪になるとか）、それにオーストラリアに追随しようとか。どこまでいくんだって気もしますが、そのうち、酒飲んだらダメという禁酒法みたいな話になったり、（フェミニズム的観点から）女性はスカートを履いたらダメとか、ソックスは白に限るとか（今でもイスラムのヒジャブをかぶったらダメという国がヨーロッパにある）、政府が優生学的に決めた相手としかつきあってはいけないとか、なっていきそうな（笑）。
それはともかく、鍔迫り合いをやってる感じなので、15日までどうなるのか注目です。
ところで、こういった宙ぶらりん状態が続いて振り回されている人達、母国に帰省したまま長期間戻れないでいる卒業生ビザの人達の辛さや苦しみについて、ガーディアン紙が記事を書いてます。
‘Profound anxiety’ for visa holders locked out of Australia despite border reopening
後注：13日の月曜日正式な発表があり、予定通り15日オープンでいくようです。
Australia ‘on track’ to welcome visa holders on Wednesday, health minister says