年末年始エッセイ~危機感リアルと花火

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年末年始エッセイ-2022-23年度版
~危機感リアルと花火のこと

「おめでとう」と危機感リアル

かつてのエッセイではこの時期、この手の話をよく書きました。
大体似たような話になってしまうのですが、今年の場合も似たような感じです(笑)。

何が「似たような話」なのかといえば、いつもいうのが暑い正月(クリスマス)に馴染めんということです。もうオーストラリアに来て23年の4月で丸29年にもなるけど、まだ慣れない。だけど、それがイヤかというと、別にそうでもない。

これもよく書くのですが、僕にはアニバーサリー感覚がないです。誕生日にせよ、元旦にせよ、改まってお祝いをしようという気にならない。奇をてらってるわけではなく、全くそういう気分にならない。年を取ってからそうなったわけでもなく、子供の頃からそうでした。特に日本の正月時期は、テレビだろうが、雑誌だろうが、誰に会おうが、版で押したように「おめでとうございます~!」の繰り返しで、なにがそんなにおめでたいのか腑に落ちなかった。腑に落ちないまま、あまりにも連呼されると、だんだん腹が立ってくるという。

その意味でいえば、司法試験受験の頃は元旦でも関係なくクソ勉強したし、弁護士やって過労死寸前の頃は元旦から事務所に出て仕事してたこともあり、オーストラリアに来てから自営(APLaC)やってるときは自営の気安さで元旦だろうがなんだろうが仕事をし、バイトのUberEatsも同じで元旦でも朝から出てって稼いでたから(しかし特別料金がつくわけではないのがギグの悲しさではある)、性に合ってます。

思うに、年を越せてめでたいというのは、その昔の感覚で言えば、「冬を越せた」という生存の喜びだったと思うのですよ。その昔の旧正月は2月で、厳冬期がそろそろ終わり、春に向かう頃、だから「初春」とかいうわけだし。その昔は、冬は食料が枯渇する時期であり、寒さによって体調を崩す時期でもあり、「年を越せない=餓死・凍死」というリスクが普通にあったのでしょう。そういう危機感を皮膚感覚でバリバリに感じていれば、暗く長い死のトンネルを抜け出したということで、おめでたいと感じる、というのはよくわかります。
また、いつ死んでも不思議ではないという、その昔の過酷な生存環境(飢饉、天災、疫病、野盗に襲われ、徴兵に取られ、村が戦場化し、普通の病気でも医療がないから死ぬしかない、、など死のリスクには枚挙に暇がない)であれば、誕生日を迎えるということは、とにかくもこの1年死なずに済んだという喜びはあったでしょう。それもわかる。

つまりは危機感とセットになっているからこそ、おめでたいという喜びがリアルになるのであって、そういう危機感の薄い(過去の人類史と比較すれば)恵まれた現代においては、おめでたいという喜びがリアルではない。ただの社交辞令、慣用句、「皆そうしてるからそうする」というだけの内容空疎な形骸だと感じたのだと思います、子供の頃の自分は。そしてそれがムカついたのは、そういう形骸に対してなんの問題意識をもたない周囲の大人に対する不満もあったのでしょう。

ま、でも、そういう生命危機を持ち出さなくても、別の危機はありますよ。家族とは名ばかりで、それぞれ勝手にやってて、誰も信頼しあっておらず、ただ家族というペルソナを義務的にやってるだけの人間関係。そんなクソみたいな自分の人生生活。だからといってどういう打開策があるわけでもなく、正直にありのままに振る舞えば、さらに取り返しがつかないくらい荒廃するだけだから、とにもかくも表面上は人並みの幸せな感じでやりたいっていう「危機感」はあるのかもしれません。あるいは、内容が空疎だからこそ、より強く形骸にしがみつくしかないんだという哀しい心情もあるのかもしれません。そういう人々のリアルで複雑な心情を忖度すれば、呪文のように、あるいは祈禱のように「おめでとう」と言い続ける、いじらしい営みにケチをつけるべきではないのかもしれません。

しかし、新年そうそうこんな屁理屈を言ってる僕は、子供の頃から人好きのしないクソガキであり、長じてクソジジーになり、つまりはなんも変わってねーなーという気もしますね。

でもなー、自分の何かについて、おめでたいと感じるのであれば、それはパーソナルなものであるから、パーソナルに感じていいんじゃないかって気は、尚もします。単に一日勤め上げて、「ひー、ちかれたー」とクタクタになって帰ってきたとしても、とにもかくもやるべきことは成し遂げたのであり、五体満足で帰還できたわけであり、その意味で毎日毎晩、おめでとうございますって自分に言ってもいいような気もします。1年一回だけとかケチくさいこと言わないで。


NYE花火について

ところで話は変わりますが、シドニー名物NYE(Ne Year Eve)の花火ですが、ここ数年見に行ってません。

単純に「飽きた」というのもあります。
これって僕が最初に来たときにはやってなかったのか、知らなかったのか、来てすぐくらいに始まったような記憶があります。最初はピアモントあたりで見たのかな。規制もそんななくて、ぶらっと行けば見れたという。

HPのギャラリーに98年大晦日の花火の写真があります。
https://aplac.net/gallery/topic/99fire/thisweek990215.html
98年ですから、フィルムの一眼レフのカメラで撮影したものです。トップの写真もそこでのものです。

2000年のシドニーオリンピックの年は、オリンピックの開催にあわせて9月にやって、二回見れました。この頃が一番面白かったかなー。

いろんなところで見ましたけど、ルナパークの手前(橋に近いあたり)で見るのが最後の方は定番になってました。ミルソンズポイント駅で降りて、ゆるゆると坂を下っていって、着いたあたりで花火が始まるくらいのタイム感。かなりのんびりしたもんです。

が、ここ数年、どんどん有料化とチケット化が進んで、特に有料化については地元でも批判が強いです。なんせ一番高いので600ドル近いわけで、そんなの高すぎる。なので、無料に戻せという声も強いし、各自治体は、うちは無料でやってますとか、いろいろ言ってます。

でも無料であっても、チケット予約をしないとダメってところも多く、ルナパーク周辺もそうなってしまい、気がついたときにはSOLD OUTでダメ。ぶらっと行くかって感じにはならない。なんだかなーって感じです。

でも、楽勝に見れたとしても、もう飽きましたから、当分いかないかも。
最初は感動ものですし、それはYouTubeなどにもあがってます。だけど、あのYouTubeの動画、連続20回見てみなさいよ。さすがに飽きますよ。なんだかんだで二十数回見てるわけですからね。毎年どっかしら違うんだろうけど、そんな正確に覚えているわけでもないから、似たりよったりです。でもって記憶は美化されてるから、毎年「あれ、なんか今年はしょぼいなー」とか思っちゃうんですよね、だんだん。

今年のやつもYouTubeのライブで見たんですけど、あれ、こんなもんだったかなーと動画で見てさえ思ってしまった。昔はフィナーレがもっとクレイジーな感じだったようなきがするのですよね。過去のファイルを探すと、2014年ルナパークの反対サイド(当時はまだ楽勝に見られた)で撮った動画ありますので、フィナーレ部分だけ抜粋しておいておきます。もうヤケクソのような、「撃ちまくり!」ってのが良かったです。直近(今年)のやつは、YouTubeで見る限り、総合芸術的には完成度があがってるのかもしれないけど、なんか「おきれい」で、昔のような「狂気」が薄らいだような気もして、そこが物足りない気もする。

 

シドニーの花火は、日本の花火大会とは違います。
日本の花火大会は、わりと長い時間、ゆったりした間隔で、花火が打ち上げられ、全体の非日常の開放感や雰囲気を味わう感じです。あっちゃこっちゃで上がるし、どこから見たら最高に見えるとか、そんな感じでもない。

でもシドニーの花火はわずか10分だけです。9時(早く寝る子供用)と12時(本ちゃん)がありますが、本ちゃんでも10分くらい。その10分にこれでもかってくらい集中砲火で上げるわけで、そのスペクタクルは凄いです。わずか10分程度のインパクトのあるイベントという意味では、昨夏に見た大文字焼(五山の送り火)に似てるかもしれない。

そうなるとですね、雰囲気を全体で味わうというよりは、どうしてもインパクト主体になるのであり、話がインパクト系になると、何度か見てると飽きてくるという流れになってしまう。

年々インパクトが薄れるのに反比例するように、見に行くにはどんどん気合が必要(有料、チケット予約、たどり着くまでの労力)になっていて、「そこまでしてまで」と思ってしまいます。

んでも、Glebeあたりにおると、夜にときどき花火が上がってる音がするんですよね、NYEでなくても、あれはなんだろうなーと。
検索で調べてみたら、
https://whatson.cityofsydney.nsw.gov.au/events/darling-harbour-fireworks
で、去年の10月22.23.24日の夜9時から10分間だけ、ダーリングハーバーで花火があったそうです。そうなんだ。これなら混まないだろうし、いいかも。そりゃハーバーブリッジを発射台にしたスペクタクルはないけど(それだけが取り柄といってもいいくらいなのだが)、普通ののんびりした花火大会でもいいんですよねー。わー、きれいだなーという。

今度から探してみよう、、、て探してみたら、もっと頻繁にやってました。


https://www.darlingharbour.com/whats-on/campaigns/fireworks?searchTerm=fireworks

ほとんど「毎週土曜日夜9時」になったらやってるという。そうなんだ。知らなんだ。でも、そんなにやってるかなあ?音が聞こえるといっても、そこまで頻繁だったかどうか。また調べてみよう。

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