シドニーインフラへっぽこ行政の歴史

Topの写真は、本文にでてくるLane Coveトンネル建設中の写真です(2006年撮影)。

西シドニー空港新設に関して、なんで空港を結ぶインフラ(道路や鉄道)を整備しないうちに空港を開いてしまうかなあ?という話の流れです。

以前、スイスに行ったときにびっくりしたのですが、空港が近い。行きはジュネーブ空港に降り、帰りはチューリッヒ空港から飛び立ったのですが、ジュネーブの空港から町中までほんの4-5キロで、電車も走っているんだけど、さほど料金を気にせずタクシーに乗れたくらいです。チューリッヒ空港は10キロちょいらしく(今のシドニー空港と都心くらいかな)、電車で10分程度でした。

しかし、スイスと言えば山ばっかりで、ジュネーブに着く前にアルプス(多分モンブラン)を越えていくんだけど(絶景)、こんなに山ばかりだったらフライトルートも限られているし、よくやってるよなと。スイスで出来るんだったら、シドニーでも出来るんじゃないかと。あれこれAIと問答してると、シドニー側の言い訳はあるんだけど(人口数が違うとか)、細かいことは省略するけど、スイスの方が先々のことを考えて、かなり細かく詰めきっている。オーストラリアは、なんとかなるさでやってて、なんともならないという「ぬるさ」がある。

多分オーストラリアは国土がでかいから、土地なんかなんぼでもあるし、海もあるしってな感じなんだろうけど、スイスは面積が狭いし、山ばかりだし、海はないし、フライトルートはもうどうしようもなく限られているから、最初からハードルが高く、だから必死に考えて考えて規制なりなんなりをしてきたんでしょう。

一方、行ったことないけど、香港の新空港(新といっても98年開港だけど)の場合、都心から30キロ離れたところに人工島をゼロから作るという関空みたいな感じでやってるけど、これも気合の入り方がすごい。空港とアクセスのための特急列車を同時に作り、且つ市内の九龍駅や香港駅でもうチェックインもできるし、搭乗券ももらえるし、荷物も預けられる。身軽になって町中観光をしても良いという便利ぶり。「本当に使える」ということを焦点に据えているのがわかる。

シドニーの新空港の場合は、出来ているのはM7につながる高速道路が無料で開通しているだけで、メトロは(早くても)1年遅れの開通予定。既に述べたようにこれもツッコミどころが満載なのだが、シャトルバスも30分に1本という、昔の利根川の渡し船みたいな輸送能力しかない。シャトルバスにせよ、メトロにせよ、それに乗ったところでセント・メアリー駅という中途半端なところまでしかない。

ちなみにシドニー南西のキャンベルタウンというめちゃ遠い所が栄えていますが、これは、キャンベラに向かう Hume Motorway(M31)というのが昔からあって、これがリバプール以西(南)を結ぶ大動脈になっているからです。古き良き時代のまま、現在も完全無料のまま。高速道路にはなってないっぽいんだけど、でも制限速度が普通に110キロだから高速道路と変わらん、というか一番走りやすいくらい。これがあるから(無料の大動脈)、キャンベルタウンエリアが発展して大ベッドタウンになっている。成功例が過去にあるんだから、今回もそうすればいいのに。

なんでこんなにヘタレなのか?なのですが、そういえば過去のインフラプロジェクトも大体そうでした。一住人として覚えているだけでもかなりあります。

★Lane Coveトンネル
いろんな理由がありますが、まずコーンソーシアム形式(世界的に出資企業を作り、そこに建築させ運営させ利益を上げさせることで税金を使わずに済む方式)があります。

これは上手なやり方っぽく思われるんだけど、大失敗して、それがあとに尾を引いてます。
失敗というのは、例えば、Lane Coveトンネルです。この運営会社(Connector Motorways)は、開通してわずか3年もしないうちに破産してます。見積もりほど利用者が少ないからです。だって、あの程度の利便のくせに料金高いんだもん。あれ、無料とか1ドルくらいだったら利用者も激増したと思うけど、微妙にためらう値付けなんですよね(開通当時2.55ドルで、今は4.3ドルだったかな)。経営やばくなってから値上げも頻繁になったし、それが悪循環で。

これの戦犯は誰かといえば、今や世界に評判の悪い、「世界征服を企む悪の結社」のショッカーみたいに言われているコンサル会社です。まず最初にこのコンサル会社が、毎日10万台通りまっせと嘘の見積もりだした。実際には半分の5万。
これは投資家からしたら詐欺みたいなもので、当然訴訟になったらしいんだけど、そこでコンソーシアム側が政府の入札を勝ち取るために、オフピークの交通量をわざと水増しして「採算が合うフリ」をさせていたことが発覚してます。やっぱ詐欺じゃん。

この頃から世界的にコンサル会社のショッカー並の悪評判がたつようになります。オーストラリアにいける4大コンサル(PwC、Deloitte、EY、KPMG)に対する国民の視線が厳しくなった。「独立した専門家による科学的な交通量予測」という大義名分だったけど、実のところ政府がプロジェクトを強行するための「免罪符(お墨付き)」を売る太鼓持ちみたいな存在(政府の無能さと責任逃れを助けてあげる代わりに巨額の報酬を得る)だと。

4大悪の結社のひとつ、PwC(プライスウォーターハウスクーパーズ)がありますが、ここはオーストラリア政府から「多国籍企業の脱税を防ぐ新しい法律」を作るための極秘の相談を受け、その法律の設計に関っていました。
ここまではまだ良いのですが、ここからがひどい。政府はこんな脱税防止策を考えてますよと、Google やAppleなどの優良顧客に政府の機密情報(新税制の内容)を漏らし、今からこういう抜け道を用意しておくといいですよといって巨額のコンサル報酬を得ていたのですね。ねずみ男もびっくりという卑劣さで、このあたりから(世界的に似たような話が聞こえてきて)、コンサル=ショッカー説が普遍化していきます。この事件は遡ること2015年あたりまでいくそうですが、発覚して騒がれたのは2023年頃です。

多少なりとも胸糞が解消されるのは、主犯格であるピーターコリンズと会社はそれぞれ連邦警察に告発され、今もなお捜査が続いており、最大禁錮10年になる可能性あります。
他の幹部連中も、会計士や税理士の資格剥奪、数十人のシニアパートナーの数億規模の退職金と報酬はパーになった。会社そのものも税務署から巨額の追徴金を受け、官公庁から出禁になり、スタッフの大量流出がおき、ドル箱だったコンサル部門は存在しえなくなった。
このあたり、まだオーストラリアは司法や他の機能が動いているのがわかって、多少はすっとします。
だけど、このコンサル部門をわずか1ドルで買い取ったのが、また国際資本だったりするのですね。本当にもう悪党の上前をはねるのが上手いんだわね。

ずるい顧客のGoogleやApple、Microsoft社は、基本お咎めなしでした。コンサル会社からの節税スキームを受けただけだという主張が通って(反証出来ず)、知らんわけがないだろうとは思うのですが、刑事罰などはないものの、新節税スキームとやらはすべて無効にされて納税させられて、節税メリットはゼロ。しかも社会的なダメージ(悪の一味というイメージ)も大きい(今更だが)。

ところで、Google Mapでやたら有料高速を使わせようとするナビの異常が顕著ですが、こういった事例を見るにつけ、なんかありそうな気がしますね。

Lane Coveトンネルの話に戻りますが、トランスアーバン社という、シドニーの高速道路を牛耳るドンみたいな会社に二束三文で買い叩かれています。
トランスアーバンの本体は、ブラックロックやヴァンガードという、おなじみの世界のハゲタカファンドであり、ショッカーのさらに上の存在ですね。こいつらが、オーストラリアの政治を丸ごと買っているから(二大政党に等しく献金して言うことをきかせてる)、もうどうしようもない。少なくともシドニーの高速道路網はクソ高いわ、使いにくいわで無茶苦茶になっている。

ともあれ、他人の褌で相撲を取ろうという甘い考えでインフラ整備をし、計画についてもコンサルに全振りしてしまうという、政治家と官僚の「甘さ」「ずるさ」「ぬるさ」があります。大体、政策を実現するシュミレーションをするのに何十億も払って外部の業者にやってもらうんだったら、自分の行政能力が無いと自白してるようなものではないか。でもって、そのコンサルは嘘をつくわ、コケたらハゲタカが飛んできて、トンビに油揚げ状態で持っていかれているわ。つまり主体的に責任をひっかぶってやろうとしていないんじゃないかって気がしますんね。

一旦このパターンになってしまったら大変で、一般行政でも高速道路を使わせるように「協力」するようになります。このLane Coveトンネルでも、トンネルと競合する一般道(Epping Road)を使いにくくするようにしました。すなわち、もともと片側3車線(計6車線)あった主要幹線道路を、一般車用は「片側1車線」のみに削減し、残りの車線は24時間運用のバス専用レーンや自転車道へと転用されました。3車線あったのが1車線に減ったので、昔から渋滞しがちであった(だからこそトンネルを掘った)この道路は、さらに大渋滞になった。地元からは大反発で、無理やりにでも有料高速を使わせるために、一般道を意図的に使いにくくしていると。

これが陰謀論ではないのは、民間の資金でトンネルを建設させる見返りとして、州政府は「開通後に周辺の一般道を狭め、トンネルの利用者を増やす(=利益を保証する)」という約束を交わしていたことが発覚してます。
発覚の経緯が情けないのですけど、2007年に開通した頃に、間の悪いことに州選挙があり、州政府は選挙対策として、車線削減の工事を半年延期したのだけど、このためにトンネル会社から2500万ドルの賠償金を請求され、支払うハメになったからです。

このEpping Rdの3車線→1車線は驚くべきことに、現在もそのままで再拡幅はされていません。したら契約上また払わないといけないし、次の交渉相手はトンネルを二束三文で買い叩いた強力な国際ファンド連合軍(トランスアーバン社)だから妥協してくれるはずもなく、国際資本に対する地元政府の愚かさと無能さを日々立証しつづけているような形になっています。

日本だって同じことで、コンソーシアム方式とかいうから聞き慣れないだけで、「第三セクター方式」といえば馴染みがあるでしょう。あるいは「民営化」とかもそうです。

★崩落事故
Lane Cove トンネルは作ってる最中に地盤が崩落して大騒ぎになったことがあります。当時、僕もすぐ近所に住んでいたので、深夜2時頃に大きな音がしたのを覚えています。既存のマンションの下の地盤が崩落し、直径約10メートル、深さ10メートル以上の巨大な陥没穴に突き出すようにマンションが宙ぶらりんになっているというスペクタルになった。住民はパジャマ姿で緊急避難させられ、急遽のべ100台のミキサー車が1000立米のコンクリを流し込んで応急措置。
後に最高裁まで争われたなかで明らかになった原因は、まずは杜撰な地質調査、そして現場での天井補強工事の不十分さと言われています。つまり、いい加減に調査して、いい加減なやっつけ仕事をしたからだそうです。

画像検索すると沢山でてきます。

 

なお、このトンネルのやっつけ工事のツケは今もなお続いていて、買い叩いたはずのトランスアーバン社も、2017年の段階で数百箇所に及ぶ不良箇所(雨漏りがするとか)を発見し、施工した建設会社相手に巨額の賠償訴訟をおこしています。訴えによると夜間工事しかできないので、直していたら20年以上かかるし、その費用だけでも300億円かかると。また2048年の政府への返還時に完了してなければ、賠償金をとしてさらに300億円払わねばならないので倍増する。訴訟は、壮絶な責任のなすりつけ合い(下請けのせいにするとか)で混沌としてます。

もともと1100億円の工費で作ったトンネルを、破産したことをいいことに、約半値の600億円で買い叩いたハゲタカファンド(トランスアーバン)だったんだけど、蓋をあけてみれば買値分くらいの損害が生じているわけで、「ざまあ」と言うか(笑)、世界のハゲタカもびっくりというくらいのオーストラリアの工事のいい加減さというか。

ダメ工事はオーストラリアの深刻な病気であり、この国で家なんか建てるもんじゃないなーという気がしますね。ほかにも、M6でも崩落事故があったし、オリンピックパークのタワマンに亀裂が発見されクリスマスというのに住民全員避難させられた騒ぎがあったし、建設工事現場の巨大クレーンが倒れる事件が一切ならずあります。
ブロードウェイのクレーンが倒れて、UTSのビルにのしかかったという、AI生成のような場面ですが、探したらYouTubeでありました。最後の方でポッキリ折れます。

もうこの種の事故だけでも特集が組めるくらいですが、調べると数限りなく出てくるので、興味がある方はAIに聞いてみたらいいです。なぜそうなるのか?という理由も。

★クロスシティトンネル事件
Lane Coveトンネルに先立つ事例としては、シティの下を東西に貫くクロスシティトンネルです。
こっちのほうが世界的に大失敗事例として有名なんだけど。
2005年8月に開通して、2006年の12月にもう倒産。もう1年ちょいであっと言う間に倒産。
理由は、とにかく通行料が高いこと。わずか2キロちょいに3.56ドルは高い。利用者は事前予想の3分の1しかいない。
理由その2は、無理やりに有料トンネルを使わせるために、周囲の道路を意図的に不便(閉鎖や右折禁止)にしたり、標識変えて誤誘導させたことです。
これが理由その3につながるのですが、ブチ切れた住民から大炎上してしまい、大スキャンダルになり、「意地でも使わない」というボイコット運動になり、政府もこれに屈して一般道の改悪を戻した。これによってさらにトンネル利用者が減った。
理由その4は、さらにこれを買い取った別のコンソーシアム会社も、結局採算が合わず、且つ州政府との間に泥沼の訴訟騒ぎになって、また倒産している。
そしてボロボロになったこのトンネルは、トランスアーバン社がまた買い叩いているという。そして今現在の通行料は7.4ドル!とくっそ高いまんまです。たかがシティを東西に通過するだけで、7.4ドルはないだろう。

年代的に前後してますが、まずクロスシティトンネルがさんざん炎上してボロボロになって、あらゆるセコい策略が白日のもとにさらされて、そして懲りずにLane Coveトンネルでまたやってるので、「またか」ということで、皆の視線も厳しかったわけです。

★Cityのトラム問題
当初は2015年に着工して「2018年には走ってます!」と言っていたのに、フタを開けたら開通したのは2019年末から2020年初頭。倍以上の時間がかかっている。

ジョージ・ストリートの地下を掘り起こしたら、100年前の誰も存在を知らない水道管や古いケーブルが次々と出てきて、そのたびに工事が完全ストップ。コンサルと施工会社の泥沼裁判:政府と施工会社(スペインのアルストムなど)の間で「そんなの聞いてない!追加の工事費を払え!」と大揉めし、最終的には当初の予算を数百億円もオーバーする大赤字プロジェクトになってしまった。

で、便利になったのか?というと別に。
もともとセントラルからサーキュラーキーなどは歩いていける程度の2キロでしかなく、何にもなくてもいいくらい。地下に在来の電車があり、セントラル→タウンホール→ウィンヤード→サーキュラーキーと南北の主要駅は押さえてあるんだから、それで十分とも言える。大金かけて工事するくらいなら、仕入れ搬送用の車線を一本だけ残して、あとは全部歩行者天国にしたって良いくらい。
良かったのはタウンホール周辺などが広がって観光客受けしているくらいで、実質的に便利になったかどうかは微妙。

また、NSW大学にまでいくL3のKingsford線は、死ぬほどトロい(信号待ちしてるし)ので使い物にならない。昔のエクスプレス(急行)バスの方がよっぽど通勤には便利だったという地元の声は多い。

トラムは、たまにのると珍しいからいいんだけど、物珍しさをはずせば、座席はプラスチックで固いし、そもそも座席数が異様に少ないし、狭苦しいし、バリアフリーだプラム(乳母車)フレンドリーとか言う割には段差はあるわ、狭くて載せにくいわ、一般に車内空間の使い方が下手くそ。ヨーロッパの車両をそのまま買ってきてるだけで、特注仕様もないし、現地で修正することもできてないっぽい。

結局、何千億ドルと5年以上の歳月をかけて(工事期間中、路面店の売上は悲惨なことになったらしい)、結局前よりも不便なものを作っただけと言われてもしまっても仕方がない感じです。

★坂を登れない電車~Chatswood – Epping線
電車の問題でいえば、ChatswoodからEppingまでの路線ですが、最初は従来の二階建て車両のままやろうとしたらしいです。でも、登坂能力的に問題があるので、登れない坂があるから無理だということが判明。それもかなり工事が進んでから判明。なんで事前に調べないのか?という大批判がおきる。苦肉の策として、別の在来の車両(ブルーマウンテンとか山岳エリアを走るパワフルな車両)をひっかき集めてやってみたけど、そもそも車両自体が少ないので満足なダイヤも組めないし、めちゃくちゃうるさい。

そこで、この際メトロ(自動運転で車体が一階建てで小さい)にしようということで、ChatswoodからEppingまで現在のメトロになったらしい。しかし変更の間、9ヶ月はピンクの代替バスを使っててこれも評判がよくなかった。

★サイズが合わない
また、買ってきたままで使おうとしたらサイズが合わないという、信じられないミスもあった。
近郊路線(ブルーマウンテンズ線など)向けに海外から輸入した最新の2階建て車両「New Intercity Fleet(Dセット)」というのがあって、これが電車が広すぎて既存のトンネルやホームのサイズに合わないのが後から判明。だからトンネルを拡幅したり、ホームを削ったりする羽目になった。また海外の自動運転式だから安全確認用のカメラがオーストラリアの基準に合わないから危険だとかで、政府と労働組合がガチでバトルをやって、ストライキや法廷闘争の末、改造されるようになったとのこと。しかし、買う前に調べろよって気はしますね。なんで買う前にきちんと調べないの?

そういえば、ハーバーブリッジの架線事故で、乗客が車両からおろされて、トボトボと線路で移動するとかいうのもあったな。

★フレキシビリティはすごい
ただ電車の名誉のためにいうと、フレキシビリティはすごい。新年の花火大会の最寄り駅のミルソンズポイント駅では(他の主要駅も)、客があまりにも多すぎるので、切符を求めたり改札やったりしてると大混乱するので、一律無料にしている。改札全部無料開放。料金的には大損なんだろうが、それでも事故や混乱を防ぐほうが優先するという姿勢は、今もそうらしい。そのあたりの大胆な割り切りと柔軟性はすごいね。

そういえば、公共交通機関でストライキををやるときも、バスや電車の運行はそのまま継続しつつ料金だけ徴収しない(市民には迷惑をかけず、政府当局の財政にだけ打撃を与える)というやり方もあったな。

ただこれは政府や官僚のお偉いさんではなく、現場の人達の賢さだと思います。

遡ればシドニーオリンピックのとき、セントラルからオリンピックパークまでの特別電車を、全部無料にしたのは英断でしたね。しかも会場には駐車場をゼロにして、絶対公共交通機関で来い、その代わり全部無料にするから、というやりかたは、今でも称賛されてます。

★そこに行けない~ホワイトベイ、古くはダーリングハーバー
新空港の、先に作るだけ作って、アクセスは後回しという知恵遅れみたいな奇癖は、昔っからそうです。
古くは、ダーリングハーバーがそうです。産業港湾を根本的に観光空間に変えてしまったのはすごいんだけど、そこにたどり着けない。僕もオーストラリアに来た90年代当時、どうやっていけばいいのか途方にくれたことがあります。「ダーリングハーバーは良い所なんだけど、ただ一つ欠点がある。そこに行けないことだ」というジョークが流行ったようだけど、本当に行けない。今はかなり改善されて、どこからでもいけるようになってますけど。

同じことは、ホワイトベイというRozelleのエリアもそうです。
昔ながらの発電所も保存されて、文化ホールになってるそうなんだけど、家の近所にありながら、今回調べて知ったくらいで、目立つわりにはアクセスgが不便なのでわからないのですよ。
一回Walkingであそこらへんを歩いて途方にくれたんだけど、車だったらまだしも、徒歩でそのエリアに行こうとしたら、大動脈の幹線道路と巨大な交差点があるだけで、歩行者用の道がない。眼の前に見えているのに、そこに行けない。とんでもないところまで歩いてから横断歩道を渡るしかない。トラムのロゼルベイ駅もあるんだけど、これがまた林の中に隠された秘密基地みたいなところにあって見つけにくいわ、その駅に行くこと自体がかなり裏道を知ってないと無理だわ、そこから大きな迂回をしないとダメとか。やがてメトロが開通するそうだけど、それも6年後とか気の遠くなる思いです。

ホワイトベイというのは、クルーズ船などの発着場所として再開発されたもの。サーキュラーキーによく停泊してますが、何隻も係留できるスペースはない(ハーバーブリッジをくぐり抜けられない大型船のみかな)。だから地味なロゼル側にある港湾に作ったんだけど、ほんと何もない産業港なので、お客が可哀想よね。お客さんから大ブーイングらしいけど、わかるわ~。シャトルバスもないし。船会社が自腹でシャトルを作ることもあるかな、予約必須の民間シャトルがあるかなって程度。世界周遊船の旅、次はシドニーだ、オペラハウスだーで来てみたら、こんなギャングが麻薬の取引に使ってそうな殺風景な港湾じゃ、がっかりでしょう。

だからなんでもっと事前にアクセスとか考えないの?ってことです。利用者が利用できるようになって初めて完成でしょうに。とにかく、作りました!完成です!とドヤ顔で言いたいだけって気がしてなららない。そんな子どもじみたメンタリティで動いているのだろうか?というと、どうもそうみたいなのが悲しい。

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空港ノイズの激減

同じく空港の名誉のためにいうと、これは大金星!と称賛されているのは、空港ノイズの激減です。
僕は、最初の頃ニュータウンあたりに住んでたので、リアルタイムに爆音を知ってますが、もう凄かったですよ。インナーウェストはどこもそうで、ライカードのバーイタリアにジェラート食べに行っても、飛行機通過中はうるさくて会話が一時中断するというくらいでした。

それが気がついたらほとんど無音になっている。
あれ?なんでだろ?と思ったら、まず飛行機の機体そのものの静音化が大きい。そしてルートの徹底改善で、可能な限り海に抜けてから離発着するようにする。シティ上空を下がってきてそのままタッチダウンや離陸をすることを避ける(よっぽど強風のときとかは別として)。あと、高度を下げていく際、早い段階でエンジンを抑えてグライダー状態で降りるようにする。着陸直前の無音時間が暫く続くのが、僕は乗っていても好きなんですけど。これらの努力は、素直に称賛すべきでしょうし、こんだけ静音化していったらシドニー空港も24時間でいいんじゃね?という話もありますが、それはそれで別の話です。

ところで市民は踏んだり蹴ったり
巨大プロジェクトには、政府(政治家)、行政機関(官僚)、外部コンサルタント、ゼネコン、下請け業者などが登場しますが、大体においてお定まりのパターンに収斂されていくようです。
まず高級茶坊主のようなコンサルがでてきて、高額な報酬を受け取ります。が、報告書に必ず「あくまでも予測であり、最終決定は政府の責任である」といった免責条項(保険)があって最初から逃げ腰です。もっとも上で見たように詐欺罪の実行犯といってもいいくらい悪質な場合は、逃げ切れずに壊滅状態の罰を受けますけど。政府や官僚も自分の責任で決断して泥をかぶる度胸も誠意もないから、あれはコンサルの報告書が、、とかいって逃げ回る。
工事になると、おさだまりの手抜き工事。いい加減な計画と現場のしわ寄せ、適当に誤魔化してやったことにする。Lane Coveトンネルの補修箇所が200箇所にも及び、真面目に補修していくと20年もかかるという、ほぼ全面手抜き工事という惨状。そもそも作ってる時点で、手抜き掘削工事で地上のマンションが宙ぶらりんになるなんて事故になる。もう限度を超えています。
そこでまたトラブルをめぐって訴訟が起きる。場合によっては工事中の段階で訴訟になる。Cityのトラムのときでもそうです。裁判沙汰になって工期が延長し、費用も増える。壮絶な責任のなすり合いを延々やっている。
裁判では大体政府が巨額の和解金を支払うことになる。数十億円の弁護士費用(いつも思うが高すぎる)も支払われる。
でも、それもこれも税金で払われるわけですよ。

こういったへっぽこプロジェクトで実害を受ける最たるものは一般市民です。延々何年も工事中で不便な思いをさせられ、路面店の営業に多大な支障が出る。そして内輪揉めの裁判で支払われる巨額な和解金も市民が払った税金、巨額な賠償金も税金。
つまり、被害を受けるのも僕ら一般市民であり、それを尻拭いするお金を払うのも僕ら一般市民であり、こんな低能極まる仕事をしていた実行犯のエリートさんは年収数億を貰っているという構図であり、これはシドニーだけのことではなく、全世界に共通している病気だと思いますね。

思い起こせば、コロナの際のドタバタですが、VIC州のホテル隔離プログラムに不備があり、大規模なロックダウンと経済的損失を招いたとして、約1万6000社の地元企業が州政府を訴えた集団訴訟がありましたが、そこで政府が支払った和解金は1億2500万豪ドル(125億円くらい)。これらは全部税金から出てます。州政府側が自らの弁護にあたらせた弁護士費用や、過去の隔離プログラム調査費用だけでもすでに数千万ドル(数十億円)出てますが、これも税金からです。

シティのトラム工事が延々長引いていることで、多くの現地のビジネス(主として路面店)は甚大な損害を受け(粉塵と騒音による健康被害も含め)、これにもとづく集団訴訟も起きてます。高裁で逆転されたとはいえ、最高裁では住民側の勝訴に終わり、数億円の損害賠償が支払われているのですが、その賠償費用を負担するのも市民です。
さらに事後検証として、また膨大な費用をつかって第三者委委員会で検証したとしても、忖度と大人の事情で、結局誰が悪いのかわかりませんでしたーとかいうアホみたいな結論で終わったりもする。

つまり被害を受けただけではなく、被害を賠償する費用も払わされるという踏んだり蹴ったり状況が構造的にあるということですね。というか世界的にだんだんそうなっていった。

このあたりは面白いのですが(面白がってる場合ではないが)、損得勘定やリスク計算の保身主義の人が権力を握ること自体が間違ってるとも言えます。古来の先人の例をひけば、政治家なんか銭金保身どころか、暗殺されてなんぼという世界です。リンカーンしかり、ガンジーしかり、大久保利通しかり。膨大な人々の生身の利害が激突している渦潮みたいなところなんだから、そりゃ人も死ぬでしょう。
そんなところに好き好んで身を投じる人間は、よほど人生レベルのモチベーションがあるか、よほど強烈な信念があるのでしょう。平和な世の中からすれば、ほとんど狂人レベルなんだけど、だからそれだけ世の中が平和になってきたってことなんですかね?なんか心情的には複雑ですけど。

猛烈に金が足りない
それにこんなに巨大プロジェクトをザル予算でやってたら猛烈に金が足りなくなり、ビザ申請料金の爆発的な高騰やら、交通反則金の高額化など、なりふり構わず金集めに奔走してるんじゃないかとと思ったら、そう思っているのは僕だけではなく、結構みなさんもそう思っているみたい。

またAIに聞いても「一般市民や立場の弱い労働者(+ビザ申請の外国人)からは厳しく1ドル単位でむしり取るのに、国を動かす巨額予算(数十億ドル単位)はガバガバのザル管理で消えていく」という構図は、現在のオーストラリアが抱える最も深刻な政治・経済の矛盾です」とか言われちゃってる。

経済界からの批判も強く、例えば、ここでは、抜粋訳でいえば「不適切なリスク配分、楽観的な見積もり、脆弱なガバナンス、そしてベンダーとの紛争が、「戦略的投資」を貸借対照表上のブラックホールへと変えてしまうのです。その総コストは? 年間2150億ドルの資本支出に対し48%の失敗率ということは、毎年数百億ドルが回避可能な無駄として蒸発していることを意味します」とまで書かれている。

もうボロボロなんだけど、ビザ代も罰金も天井知らずに上ってこっちの懐を直撃するとなると、笑ってばかりはいられない。ってか皆さん(僕も)怒り狂ってます。
特に運転される方はシドニーは鬼門ですのでお気をつけを。とりわけイヤらしいのは速度制限を知らないうちにこっそり下げられることです。昔は60km制限だったのが50キロになり、最近また40キロになるという。長年乗り慣れた道でこれをやられると、ほぼ間違いなくひっかかります。僕も前回の免停はこれでやられたようなものです。最近そういうことないなーと思ったらまた本腰入れてやり始めて、Google Mapの速度表示も変更が頻繁すぎて追いつかないし、出てこなくなったエリアもあります。
政府広報のこのサイトで面倒くさくともチェックするしかないです。直近の9/17からは、LeichhardtからBalmainに向かうBalmain Rdが40キロ制限になりました。まだ標識はないのですが(標識が出来てから取り締まり開始)、あの道、繁華街を超えるとガラガラになって、雰囲気ものどかですので、40キロで走っていると非常に違和感があります。知らないとまずひっかかるね。同じくLechhardとPetershamを結ぶCrystal Stも、MarrickvilleとDulwich Hillを結ぶCunterbury Rdもナチュラルに走ってるとひっかかるのでお気をつけを。というか、標識で確信もてなかったら全部40だと思ってたほうがいいくらいです。
なんでまた姑息な方法が復活したかというと、それ以前のコーリションの州政府は、移動式カメラの表示を全部取っ払って、日本式のネズミ捕りにするという盗撮系取り締まりしにしたのですよ。結果、罰金収入は一気に10倍!これが市民の怒りに火を付け、大炎上して次の選挙では惨敗。政権交代後、標識は復活したけど、カネがないことに変わりはないので、また姑息なしれっと速度制限を下げるという方式を復活させたようです。
盗撮系でいえば、駐車違反の切符もいっときは盗撮OKだったのが、これも大炎上して廃止になったのですが、シティ周辺のサバーブはそれでもまだ頑強にやり続けています(安全のために仕方ない場合とかいう例外規定にしがみついている)。
ともあれ、政府のへっぽこぶりを馬鹿だにゃ~と笑ってる場合ではないのですよね。

ビザについて付言すれば、かねてから「インド人いじめ」と思われるくらいインド人の学生ビザ申請の却下率が高く、もう目の敵にしてるくらいなんだけど、これも先見の明がなさすぎ。10-20年先の未来を考えると、インドとオーストラリアの立場が逆転する可能性は高い(てか時間の問題)。中国以上の人口と平均年齢の若さからいって無限の伸びしろのあるインドだから、ビジネスチャンスも、またよりよい教育機会もインドの方がはるかに大きくなる。だからオーストラリア人がより良い就職先、入学先を求めてインドのビザを申請する流れになるでしょうよ。そんな国の国民をいじめてどうする?です。ましてやインドから留学しようという人達は、本国では富裕層 and/or エリート層であり、将来の実権を握る人達だろうから、その人らの恨みを買って得することなど何もない。インド国内も既にオーストラリア政府のやり方に不満があふれているらしく、モディ首相も公的にはおとなしいけど、非公式の場ではブチ切れているとも言われてます。そりゃそうだろうなあ。